一週間前、ジャクリーン・ハンマーが強盗殺人罪で捕まって以後平和な日々を過ごしていた俺の元に招かれざる闖入者が。

刃子「お久しぶりですぅ、またご奉仕にきたよ」
メイド服に身を固めた刃子は返事も待たずズカズカと上がり込んでくる

「馬鹿なッ!貴様はレベルEの海底監獄に収容されたはず!一体どうやって!?」
「うん。看守の人たち、ボクの邪魔するからみんな殺っちゃったぁ、えへ」

唖然とする俺を尻目に台所に向かう刃子。
「ほ、包丁か?包丁で俺をヤルつもりか!?」
思わず動揺する俺。

「そんな事しないよぅ、母さんや姉さんと違ってボクはとろけるように甘いデレデレキャラだもの」
「デレキャラは看守皆殺しにして脱獄なんてしないッ!」

「ま、それはともかく朝ご飯まだだよね?
今作るから待っててねぇ」 
都合悪い事はスルーしつつ台所に籠もる刃子。
チャンスは今しかない!
電話に飛び付いて110番をダイヤルする
しかし、電話機からは不通音しか聞こえない

「無駄無駄ァ、無駄だよぅ
電話線は切断してあるし
携帯はボクが預かってるからねぇ」
いつのまにかうっすら笑いながら刃子が背後に立っていた。
その手には握り潰された俺の携帯が。

確かにコイツは雄子やジャクリーンとは違う…まるで知能の高い猛獣を相手にしているような錯覚を覚える俺だった。


「出来たよぅ、さぁ召し上がれ」

朝からステーキだった。
付け合わせにマッシュポテトにスィートキャロット、コンソメスープにパンと意外とマトモだ。
少なくとも見た目は。

「これ、何の肉?」

「……知らないほうが、イイヨ」
うっすら微笑んだまま答える刃子。

「はい、あーん♪」
肉の破片にドスッとフォークを突き刺し俺に突き付けてくる。

「……」
バレンタインの雄子の仕打ちを思い出し、固く口を閉ざし歯を食いしばる。

ドスゥッ!

「ぐぼらっ」
笑顔のまま刃子が俺の鳩尾に刃物のような手刀を突きこむ。
思わず喘ぐ俺。

「うふふ、世話の焼ける甘えん坊さんなんだからぁ」

首を押さえ付けて空気を求める俺の口にギュウギュウと肉を押し込める刃子。

味は結構普通でした。
最終更新:2008年02月13日 03:28