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私メリーさん、今あなたの後ろにいるの」
僕は電話を切り、背後の気配に話しかけた。
「君がメリーさん?」
「電話で言ったでしょ?可哀想だけど、ルールだからあなたを殺さなきゃいけないの」
僕はその言葉を聞き慌てた。
「ちょっと待った。…死ぬ前にちょっとやりたいことが2つあるんだけど、いいかな?」
「いいけど…何?」
「君の顔が見たいんだ。誰に殺されたかわからないなんて気分が悪いだろ?」
「それはできないわ。あなたが振り向いたら私は鎌を振らなきゃいけないの」
「…じゃあ2つ目、コインランドリーに洗濯物取りに行きたいんだけど、いい?」
メリーさんは少し悩んでいたようだったが
「それくらいだったらいいわ。でも、振り向いた瞬間にあなたは死ぬ。忘れないでね。」
コインランドリーまでは片道5分、僕はメリーさんとの会話を期待していたが、
「私の姿は電話がかかってきた人にしか見えないの。変人だと思われたくなかったら話しかけない方がいいわ」
と言われ、断念した。結構人通りが多い道だったから。

洗濯物をバッグに入れ、
(後は家に帰って遺書を書いて死ぬだけだ。)
と思いながら歩いていたら、目の前の信号が変わりかけていた。
その信号は待ち時間がとても長い。
これ以上メリーさんを待たせるのも悪いので駆け抜けることにした。
幸いその交差点は車があまり通らない。いつも自転車で通っている道だ。
横断歩道半ばまで来たとき、突然クラクションが鳴った。
大型のトラックだ。
(何でこんな道を!?)
と頭が考える前に僕の体が反応していた。
後ろにいるメリーさんをかばう。
僕ごときが盾になったところで大して変わらないだろうが、やらずにいられなかった。
メリーさんの鎌が振り下ろされる前に、トラックが僕達を跳ね飛ばした。

「…ここは、天国か?」
アスファルトに叩きつけられたところまでは覚えている。
あたりを見まわす。色とりどりの花が咲いていた。
「…私にかまわず逃げればよかったのに」
声に反応して振り向くと、メリーさんがいた。
「君も死んじゃったの?」
おそるおそる尋ねる。
「私はもともとこっちの世界の住人なの。死ぬわけ無いじゃない」
そうでした。…ってことは僕、無駄死に?
「全く…私は今まで一度も失敗してないのに…あなたのせいで台無しね」
「ゴ、ゴメン」
「…あなたが転生するまで待っててあげる。次は殺させてよね」
…そうして、メリーさんと僕の霊界生活が始まったのです。
ちなみに、僕はクリスチャン。転生などする訳無いのですが、そのことを話しても
「じゃあ最後の審判まで待っててあげる」
と言って聞かないんです。
最終更新:2010年02月01日 21:47