俺と小娘



俺は今年で33歳、まさに油の乗ったナイスガイな年齢だ。
職業はツンデ霊ハンター。
むむむ無職ちゃうわ。

今日も片栗粉片手にポイントを入念に徘徊中だ。
もちろん、公僕に見つからないように。

「…平日の真っ昼間からこんな事してないで働けよ」
「うるせぇな、探知機。いいから働け」

そう、今回はツンデ霊を感知する為の助手を連れてきている。
この無愛想な小娘がそうなんだが…斜向かいの鈴木さんちの末娘だ。
二日前にトラックに轢き逃げされて死にたてほやほやの中学女子。

事故現場でふらふらしてるのを虚数素子装置で捕獲した。
蛇の道は蛇、霊には霊ってわけだ。



「つーか、私、成仏したいんだけど」
「ハハハ、君の成仏なんてツンデ霊サマに比べたら塵芥程の価値もないヨ」
「……死ね!キ■ガイ野郎」  
なんて口汚い
ゆとり教育の弊害をまの当りにした気分だ。

「いいからキリキリとツンデ霊を探せ。さもないと今夜は妄想内でお前に3発放出するぞ」
「いやぁぁぁッ!!
誰かこのダメ人間を射殺してぇ!」

で、やってきました廃墟に。
うん、いかにもツンデ霊が出そうだ。
「この辺りに反応があったわよ」
「でかした!そのアホ毛レーダーは伊達じゃないな」
「アホ毛言うなぁ!」

「で、ツンデ霊サマはどちらにおわす?」
「そこ…」

アホの子が指差す先には

ずるずるに爛れて腐り落ちそうな皮膚。ウジ虫びっしり
白く濁った魚のような眼。黄ばんだ歯の隙間から涎と膿を垂れ流す口。

「ええっと…なんか想像してたのとチョット違うんだけど。ぶっちゃけゾンビ?みたいな」
「何言ってんのよ!チョーきもかわじゃない!果実と女性は熟れてるのが美味なのよ?」
そんなもんかね?



うがー

「なんか掴み掛かってきましたよ!?」
「随分と情熱的ね、きっとラテン系だわ!
ほら!あなたの熱い抱擁でぬくもりを与えてあげて!」

「おうよ!ぎゅ~」

うは、なんか、ぶちゅっていった。なんかドロドロするよ。ないすデレ?

がぶりがぶり

「えぇぇ!?、何か肩の肉、喰いちぎられてんですけど?」
「バカ!キスはちゃんと口で受け止めなさいよ!女の子に恥かかせないの!」

「おうよ!俺様の熱いヴェーゼを食らいやがれ!むちゅー」

うは、なんかとろとろに熟成したブルーチーズみたいな味のキス。
口内をはい回るウジ虫達が素敵に刺激的。




「いてぇ!唇噛みちぎられた!なんかクチャクチャ咀嚼してるよこの人!」

「大丈夫!それはツンだから!
nice-TieNE!YEAH!」
「YEAH!ツンキタ―――(゚∀゚)―――ッ!!


って!ぜってぇ違うだろ!これ違うよママン!」

全力で離脱。
なんか躰が痒いし痺れてきたけど気にするな、俺。

「チッ…あと少しだったのに…」
「ふざけんな!このズベタ!そのツインテール引っこぬくぞ!」

「あーはいはい、次はちゃんと探すわよ、そう…ちゃんとしたのを、ね」

「その意気だ、アホ毛!次こそは!」

「そう…次こそは…ウフフ」
小娘が薄ら寒くなるような笑みをたたえているが気にしない事にしよう。
俺たちの旅はこれからだ!

【続く…か?】
最終更新:2011年02月28日 22:58