アットウィキロゴ

俺と小娘・小娘視点編


①
私の名前は鈴木良美。

年齢は14歳、極々ふつーな中学生
…だった。
数日前までは。

今の私は俗に言う幽霊ってヤツだ。
トラックにひき逃げされて死んじゃったらしい。

当初は自分が死んだのに気が付かず随分と戸惑ったけど
我が家で行なわれた他ならぬ自分の葬式を見て自分が死んでいる事を実感した。

そう、私は死んで、幽霊になった。

道理で誰も私を見ず、いくら呼び掛けても返事もしてくれない訳だ。

これからどうしよう?

成仏したらいいのかな?
でもやり方なんて分かんない。
教わりたくてもみんな私をシカトするし。
仕方ないか…だって私は幽霊なんだもん。
でもやっぱりちょっと、悲しい。
一人は…淋しい。
私はぼんやりそんな事を考えながらふらふらしていた。



②
「浮遊霊ハケーΣ(゚∀゚)――ッ!Getだぜー!食らいやがれ、虚数素子ビィィーム!びびびび」
「…はぁ?」

目の前には見るからに怪しげな中年オヤシが。
これまた怪しげな事を叫んでいる。

ヤバいよ、ヤバい人だよ。
て、私に言ってるのかな?もしかして見えてるの?

「おや?なんか見覚えあると思ったらオマイ、斜向かいの鈴木さんちの末娘じゃん?」

斜向かい?…あぁ、お母さんが『絶対あそこの人に近寄っちゃだめよ!』ってよく言ってたっけ…

「よーし、小娘ッ!
喜んでいいぞ!
貴様を栄えあるツンデ霊探知機に任ずる!
ジーク、ツンデ!」
「話がみえないんだけど?ツンデ霊?何それ?」

「ジーザス!ツンデ霊も知らないなんて!ゆとり教育の弊害を目のあたりにした気分だぜ?」
奴はアメリカナイズに大仰に手を広げ肩をすくめてポーズをとる。
うわ、何かムカつく。



③
「あんた、頭おかしいんじゃない?」

「黙れアホの子、いいか?ツンデ霊サマは何よりも優先される…
食事よりも、水よりも、酸素よりも、だッ!」
逆ギレされた。
つまり、そのツンデ霊?とかいうのを探すのに協力しろと言いたいらしい。

「大体貴様に拒否権なぞ無い!
この俺の手に虚数素子装置、通信販売で税込\498000!!がある限りなぁぁ!」

いや、騙されてる。だってただのドライヤーだよ、それ。 
でも…黙っていよう。
成仏出来ないまま一人でいるよりも誰かと一緒に居れるならその方がいい。

それにコイツ、ちょっとキモいけどにぎやかで楽しいし。

「よし!行くぞ!
そのアホ毛でツンデ霊を探知するんだ!」
「アホ毛言うなぁ!」

  良かった。
 これで私は
もう一人じゃないんだ。

【続いたりします】




④
面白くない…
とても面白くない。

この男、こんな美少女がいるってのにほったらかしにしてエビフライやマグロの刺身にハァハァ興奮してやがる。

ハッキリ言おう、コイツはダメ人間だ。
まず32歳、独身、無職。
この時点すでリーチだが
ツンデ霊とかいうのに熱中し毎日学校やら安アパートやらを片栗粉片手に徘徊している。

おまけに全然私に構ってくれないし。

このままじゃダメだ。
私が屑人間街道まっしぐらなコイツを更正させてあげないと!

第一、私はエビフライより魅力がないって―の?
そりゃ、胸はあまり無いけどさ…
せ、成長期!
そう、成長期なんだからッ!

とにかく!何としてでもコイツの目を覚まさせてやる!
そうと決めたらまずは敵を知らないと。



⑤
『ツンデ霊』ってのをヤツのパソコンで調べてみた。

ふむふむ…ツンツンしてて…デレデレね?で、霊っと。
……腐ってるなぁ
しかし意外と認知されてるみたい。
ヒット数もすごいし。

マイガッ!ゆとり教育の弊害を目のあたりにした気分だわ!!

いけない、あのバカの口癖が移った。

しかし、実際かなりマズイ。
この近辺の霊はかなりタチが悪いのが多いし…アイツになまじ霊感があるってのが問題だ。
迂闊に近づくとチャンネルが繋がってとり殺されてしまう。

早く私が何とかしないと…

ツンデ霊を諦めさせるのが一番良い方法かな?
そうしたらヤツも社会復帰出来るし
ヤバい場所を徘徊することも無くなるだろうし…
私に構ってくれるかも!

方針は決まった、あとは作戦を練らないと。



⑥
本物の悪霊に近付ける訳にはいかないので、ヤラセでちょっと危険なメにあってもらう
そうすればツンデ霊に幻滅するだろう

…
準備はバッチリ!
幸い協力者も見つかった。
祠にいた祟り神様に事情を話したところ快く引き受けてくれた。

彼女はいいひとだ。ぶっちゃけ見た目ゾンビだけど。

と言うわけで次の日、いよいよ誘導。
しかし…あいも変わらずコイツはハイテンションだ。
そのエネルギーがあれば何処ででも雇ってくれるだろうに。
「…平日の真っ昼間からこんな事してないで働けよ」
「うるせぇな、探知機。いいから働け」

ダメだ、やはりツンデ霊を諦めさせないと真人間への道は開けない。




⑦
でもコイツ、私の事どう思ってるのかな…?
ちょっとサグリいれてみるか。
「つーか、私、成仏したいんだけど」

も、もしかしたら引き止めてくれたりしたりして?
少しどきどき

「ハハハ、君の成仏なんてツンデ霊サマに比べたら塵芥程の価値もないヨ」

「…死ね!キチガイ野郎!」
傷ついた、今のは傷ついた。
人の気も知らないで好き勝手な事をぬかすダメ人間め、祟り神様にキツくお仕置きしてもらわなくちゃ!

(こちらスネーク、ターゲットを連行する、八割方殺っちゃって構わないオーバー)
(こちらメタルギア、了解した。これより作戦実行フェーズに移行する)

廃墟で待ち伏せてる祟り神様と念話。
さてうまくいくといいけど…



⑧ 

「チッ…あと少しだったのに」
残念ながら作戦は失敗。
あと少しで逃げられちゃった。
「ふざけんな!このズベタ!そのツインテール引っこぬくぞ!」
「あーはいはい、次はちゃんと探すわよ、そうちゃんとしたのを…ね」
やはり懲りてないか…

まぁいいや、次はすごいのを用意してツンデ霊の幻想を粉々にしてあげるわ。
「その意気だ!アホ毛!次こそは!」

ヤツは能天気に盛り上がっている。
「そう…次こそは…ウフフフ」

そう、次こそは
あなたを
真人間にしてあげる
そしたら…

ちょっとだけ、ちょっとだけなら
ら、らぶらぶになってあげなくもないわよ?
最終更新:2011年03月01日 11:22