我が輩は猫である。名前は…「トラ」…って、だぁーーっっ!自己紹介の邪魔しないでください!
あれから数日、先住者様は我が輩に何かとちょっかいをかけてくるようになった。
ご主人様が構ってくれない分、退屈しのぎになるかと思っていたのだが、少しまずい事になってきた…。
ご主人様は、この部屋で起こる怪現象は我が輩の仕業だと思っているようだ。
先程も、先住者様が壁に字を書いていた。が…
『祝ってやる』
あのー…、“祝”じゃなくて“呪”じゃないですか?
何を祝う気なんですか。ご主人様も何を期待した風にソワソワしてるんですか。
あ、ご主人様ありがとうございます。今夜の食事は鶏の骨付き肉ですか。
…やっぱりお祝いを楽しみにしてたんですね…。我が輩、何か切ないです。
…いただきます…。
ガシャンッ!!
何をするんですか、先住者様。なぜ我が輩の食事をひっくり返すんですか。鶏の骨付き肉返してください。
「ふんっっ!アンタなんかにこんな物食べられる訳ないじゃないっ!」
折角ご主人様が用意してくれた食事なんです。返してください。肉をむしらないでください。
「あんたねぇ…分かってるの?鶏肉はいいけど、骨は食べちゃ危ないんだからねっ!喉や内蔵に刺さっちゃったらどうするのっっ!!」
「べ、別にあんたを心配してるんじゃないのっ!…そ、そうよ!あたしのストレス発散が出来なくなったら困るから…なんだからねっっ!」
「…ぃたっっ…」
あ、先住者様…指から血が出てるじゃないですか。我が輩の為に申し訳ない…。
「こ、こら!指舐めちゃだめだってばっ!…ほ、ほら。出来たよっっ。食べなさいよっっ!あんたのご主人にはあたしから言っといてやるからっ!」
…また消えた…。
まぁ良い、食べよう…。
ん?ご主人様いたんですか?というか、全部見てたんですか?でも、先住者様の姿は見えないんですよね?
という事は…。
ち、違います!化け猫なんかじゃありませんってば!
先住者様も壁に今書くなっ!
『骨抜いてやる』
これは、幽霊の仕業で…って逃げないでください!
「くすっ…逃げちゃったみたいね。…で、でも…あたしがいるじゃない…。ね…?」
もう構わないでください。我が輩は今、落ち込んでいるんです。
「きゃはっ!ほぉ~ら、猫じゃらしだよぉ~♪」
目の前で、そんな物プラプラさせないでください。気になるじゃないですか。本能が刺激されるじゃないですか。
遊びませんから、そんな物で。だから遊びませんって。遊ばないったら!
遊びま・・・・・・・。
あーもう!仕方ない。遊んでやるか!
「ほぉ~ら♪猫ちゃん、ほらほらぁ~♪後で肉球プニプニさせてね♪」
ご主人様、帰って来てください…。
最終更新:2011年03月01日 22:17