「馬鹿ー!!」
「わぁっ!?」
 朝からうるさい同居人、アパートに住み着いている幽霊だ。
 追い出したくても追い出せない。そこらへん、かなり大変だ。
 なんと言っても、怒りやすい。
 今回はなんで怒ってるかと言えば、ホラー映画を見せたから。
 馬鹿みたいな話だが、幽霊がホラー映画を怖がっているのだ。
 ああ、馬鹿みたいだ。
「怖いじゃない・・・面白くない・・・怖いよー・・・・・」
 こんな風に、怖がっている。
 まぁ、これが凄まじく可愛いから良いんだが。
「ぐすっ・・・だいたいね、あんたの趣味は変!」
「恐怖映画が好きにはちゃんとした科学的根拠があるんだぞ」
 なんでも脳内で、ホラー映画を見るとノルアドレナリンだったかは覚えてないが、
 とにかく何かが出てくるのだとか。まぁ、
「そんなの知らない!!」
 こいつには、何を言っても意味が無いように思えるが。
「・・・まぁ、悪かった」
「ぐすっ・・・そんなこと言っても、許してあげないんだから・・・。
 でも・・・今度、面白い映画一緒に見てくれたら許してあげる・・・」
 なんだかんだで、俺はこいつを気に入っている。
 幽霊だけど、一人の女の子として。
最終更新:2011年03月03日 10:42