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男「なぁ、死ってどんな感じなんだ?」
霊「ナ、何よ急にっ!ま、まさか…」
男「別に、俺が今すぐ死ぬ訳じゃない。ただ、経験したことが無いから興味を持っただけだ」
霊「ふん、初めて話しかけてきた話題がそれ?随分自分勝手なのねっ!」
男「今まで居て、気が付かなかったのか?それで、どうなんだ?」
霊「残念だけど、別に生きてる時と変わりは無いわよ」
男「そうか…変わりは無いのか」
霊「急にどうしたって言うの?貴方がそんなことに興味を持つなんて?」
男「別にたいした事じゃない。ただ、さっきこんなのが届いてな…」
霊「はがき?」
男「ああ、小学校時代の同級生が死んだらしい」
霊「そ、それで急に気になったって訳…貴方らしいわ、普段は私なんか構いもしない癖に」
男「ま、流石に本人が目の前に居れば気にはなる。それで、今はもう辛くないのか?」
霊「き、気付いてたの?何で?何時から?」
男「一度に色々訊かれても困るが、初めて逢った時から解ってた」
霊「そう、最初から知ってたのか…ズルイなぁ…」
男「それで、今はもう痛みで辛い事は無いのか?」
霊「ええ、痛みはもう何も無いわ。ただ、遣り残した事が有ったから…
  その無念だけしか残ってないわ…」
男「そうか…お前の好きにしたら良いよ」
霊「えっ?それって今、呪い殺しても良いって事?」
男「ああ、知らなかったとは言え、見舞いにも行かないで悪かったな。
  お前の中じゃ、あの約束もついさっきしたような物なんだろ?」
霊「お、憶えてたの?私ずっと待ってたんだよ…いつか貴方が来てくれるんじゃないか…
  手紙が届くんじゃないかって」
男「ゴメンな。俺に勇気が無くて…」
霊「も…もう、良いよ。」
男「そうか…今夜はもう寝るよ」
霊「おやすみ。」
男「ああ、おやすみ。暇なら其処の引き出し見てみな、少しは暇つぶしになるだろ」
霊「ええ、貴方が寝たら見るわ」

引き出しの中には出すことの出来なかった、初恋の相手への稚拙な手紙が溜まっていた。
全て彼女へ宛てた物だ・・・多分、今の俺にとって一番の宝物であり、最も見たくないもの・・・

その夜、俺は一晩中すすり泣く声で寝ることが出来なかった。
ただ、それは彼女と俺、どっちのすすり泣きなのかは解らなかったが…
最終更新:2011年03月03日 21:43