何回目のクリスマス?
『暇つぶしに構ってやってるだけなんだからね!
勘違いしないでよ!』
いつもそう言い残して彼女は消える…クリスマスイブの夜に。
そしてまたクリスマスがやってくる。
今年こそはあの『彼女』を捕まえてみせる!
「と、いう訳で協力してほしい。謝礼ははずむ」
幼馴染みの珠美を拝み倒した。
珠美は神社の娘で霊感がすごいので今回の任務にうってつけと言える。
ターゲットは幽霊さんなのだから。
「仕方ないわね、気が進まないけど」
「助かる。やはり持つべきは幼馴染みだ」
「別にあんたなんかどうでもいいけどね、その報酬金額は魅力だわ」
…守銭奴め
「つまり早い話、毎年クリスマスイブに来るという女幽霊の調査及び捕獲すればいいわけね?」
そう…彼女が俺の前に姿を現わすようになって三年が経つ。
決まってクリスマスイブの21時に現われて23時にかき消すように消える彼女。
もっと知りたい、自分のものにしたいという欲求はもう臨界点だ。
「事情は分かったけどさ、その二時間であんたらナニしてるわけさ?」
(…ナニに決まってるだろ、二時間しかないんだからベッド直行だっての)
不機嫌そうに問う珠美に心の中で答えた。
「なんだよ、たま?嫉妬か?」
昔のようにちょっとからかってみた。
「てめぇのグロなツラを見てからほざきな、蛆虫野郎」
昔はコイツも可愛かったんだがなぁ、こーゆー時は赤面したりしたのに。
そしてクリスマスイブ当日
朝から珠美と彼女の探索を開始。
13時についに珠美が彼女の霊気に感応し場所を突き詰めた!
なんて事のない安アパートの一室だ。
俺と珠美はドアに耳をつけて内部を窺う。
夢にまでみた彼女にもうすぐ会える、俺の心はワクテカが止まらなかった。
そして中から、彼女の声が―
『あぁん、素敵ぃ…いいの、奥まで来てぇ!あぁ‥ダメ、いっちゃうぅぅ!』
………
「真っ最中みたいね」
ギラギラと目を輝かせながら珠美。
そんな…
俺は絶望に打ち拉がれた。
その後も珠美主導で調査という名の覗きと盗聴は続いた。
ある時はラブホ、ある時はマンション、ある時は野外…
分かったことは彼女が二時間ごとに色々な男と逢っている事くらいだった。
そして21時。
『今年も来てやったわよ!べ、別に暇だから仕方なく来てやったんだから!
感謝しなさいよね!』
ミニスカサンタ姿で現われる彼女。
「ふーん、で、これは君にとって何回目のクリスマスになるのかな?」
嫌味ったらしく言ってやる。
『な、何の事カシラ?』
「黙れビッチ!調べはついてるんだ!」
『違うの!私は恋愛体質ってだけなの』
激しい俺の追求に狼狽える彼女。
「ねぇ?こいつ幽霊じゃないわよ?俗にいうサキュバスって奴だわ」
珠美が口を挟んでくる。
「サキュバスだと?畜生、やっぱり俺を騙したんだな!? 」
『な、何よ!何なのよ!
ロンリークリスマスて淋しい男達を慰めてやってるだけじゃない!文句言われる筋合いは無いわよっ!」
「一度でもサキュバスに精気吸引された男は5年後に死ぬけどね」
…
つまり、あと二年後に、死ぬ?
「なんて事しやがる!このビッチ!」
『何よぅ!もう知らない!
あんたなんか死んじゃえ!』
そう叫んでサキュバスは窓を突き破り逃げていった。
「どうしよう、たま?
俺、もうすぐ死んじゃうよ」
もう頼れるのはこいつだけだ。
「知らないわよ!勝手に死ねば?それよりカネ払いなさいよ
これから彼とラブラブなイブを過ごすんだからさぁ、早く!」
珠美は金を強奪するとホストクラブに突撃していった。
現実なんてこんなモンさ
最終更新:2011年03月04日 17:20