今日、俺は最低の気分だ。
というのも、朝っぱらからコイツ(名前は雪菜というのだが)がとんでもないことをしてくれたからだ。
「…何。まだ朝のこと根に持ってんの?器が小さいわね。」
「常識的に考えると、『バレンタインはバレンタイン司祭が棍棒で撲殺された日』だからって棍棒で殴ってくるお前の方がおかしい。」
そう、この半透明の
同居人にひどい目に合わされたのだ。
「あんたに常識なんてあったの?意外だね。」
「俺にだって常識くらいある!じゃあ何だ、バレンタインの日に棍棒で殴るのは常識的なのか?」
「う…そんなのいいじゃない!気にしないでよ!棍棒じゃ嫌だった?釘バットとか角材で殴ったらよかった?」
それ死ぬ。本当に死ぬ。
「そこまでして俺を殺したいか?」
「うるさいっ!」
あちこちからモノが飛んできた。仕方なく学校に避難。
夕方、俺は義理チョコの山を抱えて家に戻ってきた。
「ただいまー。」
ちなみに俺は(霊を除いて)
一人暮らしだ。高校生なのに。
「おかえり…何それ。」
「ん?義理チョコ。」
「…そう、よかったわね。」
静かだ。静かすぎて恐い。
「何かあったのか…?」
「何でもないよ!うるさいね!こっちこないでよ!」
…?何考えてるんだ?…ん?台所から甘いけど焦げたような匂いがするのだが…。
「あ!ちょっと!」
彼女は僕を台所へは行かせまいとする。が、僕は振り切って台所へ。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!消火器、消火器!」
台所で火柱が立っていた。天井に少し煤がついている。…って、呑気に観察してる場合じゃない!
十分後、火はなんとか消し止められた。
「で、何をしたかったんだ?俺を家無しにしたかったのか?」
嫌味が自然に出てくる。
「……。」
「どうした?…え?」
彼女は泣いていた。…確かに彼女は幽霊だが、心は人間のものだ。…ひどいことを言ったのかもしれない。
「だって…だって…!どうせ、あんた、チョコなんて…貰えないでしょ!
だから…可哀想だから一生懸命チョコ作って…あげようと思って…。ぐすっ」
「…ごめん…。」
「それに…朝ひどいことをしちゃったでしょ…?そのお詫びにも、と思って…。」
ここまで言われて許さない男がいるか?いや、いない。
結局僕達は予定調和的に仲直りしたのだった…
エピローグ
焦げたチョコはビターチョコよりも苦いはずだが、それすら甘く感じたのはなぜだろう。
「ねえ、ホワイトデー、お返しくれるよね?」
「え…ああ。」
「その…手作りじゃなきゃ嫌だよ?」
「ぐ…俺だって…やるときはできるさ!料理だって…!」
(もしかしたらホワイトデー編に続く)
最終更新:2011年03月04日 19:39