第一話
「――あなたが落としたのはこの金のメスですか?それとも銀のメスですか?」
「ぬぅ…いや、ふつうのメスだが…」
「あなたは正直者ですね。ではこの金のメスを差し上げましょう」
「ありがたいが、これでは手術には使えぬ」
「それでは、もう大事な物を落としたりしませんよう、お気をつけて(ブクブク…)」
「待て……ぬぅ、困ったぞ」


第二話
「出て来い、泉の精霊とやら」
「またあなたですか。ほんとうに人間とは欲深い生き物ですね」
「いや、この金のメスは返そう」
「私のお渡しした物が気に入らないと?」
「い、いや、そういうわけではないのだが…」
「では問題ありませんね?(ブクブク…)」
「待て……ぬぅ、後手にまわったか」


第三話
「オレのメスを返せ」
「しつこい人ですね。目的は何ですか?金よりも銀のほうが良いと?」
「目的は言ったはずだが。金も銀もいらぬ」
「いらない?ではどうして何度も…ハッ、まさか!」
「ぬぅ、そのまさかは違うと思うぞ」
「せ、精霊に懸想しようとは何と不届きな…(ブクブク…)」
「待て……ぬぅ、話にならん」


第四話
「も、もう来ないでって言ったでしょっ!?」
「いや、記憶にないが」
「そ、そんな強引なのも嫌いじゃないけど、じゃないけど、スキ?とはちょっと
違うかな?みたいな?」
「悪いのは耳か頭か?ぬぅ、しかたあるまい…」
「しかたなくないよ!お互い分かりあってからだったらイイと思うの私たち!」
「――これより開頭手術を行う!」
最終更新:2011年03月04日 20:52