「これはナカナカ良い所にお住まいですね」
「嫌味か?」
「イヤイヤそんなことは。ホラ、あそこの壁のシミとか、人の形に見えませんか?もうこれは
タマラン物件ですな」
「お、脅かすな。いいから早く除霊しろよ。こっちは高いお金払ってんだからよ!」
「まあ、悪霊だったら祓いますけどね。良い影響を与える霊もいるのですよ」
「……今、マグカップが空を飛んで割れたが?」
「これは!これは…っ! ハァハァ、ハァハァ…!」
「ど、どうした拝み屋っ?そんなヤバイ霊なのかっ!?」
「や、ヤバイどころではありません…!もうどうしていいやら…ハァ、ハァハァ…ックハァ!」
「お、落ち着け服着ろおまえプロだろしっかりしろ!」
「ハァハァ…す、すみません…!自宅でもないのに取り乱しました…」
「おまえ家で何やってんだ?」
「く…ここはキケンなので外に行ってていただけますか」
「イヤ、何かおまえがキケンな気がする」
「ご心配ありがとうございます」
「ちがうオレん家で何やらかすかわかんねーからだよ!…で、どうだ?祓えるか?」
「祓う!?そ、そんなもったいない…!」
「は?バカ言うな。見ただろ物は壊されまくりだし、いつケガしてもおかしくねーぞ」
「で、でもケガはしてない…ハァハァハァ」
「これからするかもしれないって言ってんだよ!」
「す、するハズがありません…!いいですか、さっきの、前の女が使ってたマグカップ」
「前の女って誰だよ!オレしか使ってねーよ!」
「そ、そんなモノがまだ置いてあることが、彼女は気に入らないのです…!ハァハァ…!」
「彼女って、女の霊確定かよ?」
「『こ、こんな趣味の悪いカップ割れて良かったでしょっ!?』と言ってます…!」
「……ちょっと訊くけどよ、おまえ悪霊に遭ったことあるか?」
「ないですねハァハァ」
「よしわかった超即帰れ」
最終更新:2011年03月04日 21:10