先輩の部屋で飲むことになった。鏡月を飲みながら就活の相談をした。
日付が変わるころ、先輩が眠気を訴える。腹もいっぱいになって酒も回ってるから当然だ。
俺も眠くなってきた。先輩はベッドに、俺は布団を敷いてもらって寝ることにした。
電気を消して横になったとき、あることに気付いた。
とっさに先輩に声をかける。
俺 「先輩、俺気持ち悪くなってきた。水買いに行きませんか?」
先輩「眠いし、水道の水じゃだめ?」
俺 「俺、東京の水道は体に合わないんすよ。余計気持ち悪くなるんすよ。」
めんどくさがる先輩を無理やり外に連れ出した。
俺は今見た光景を話す。
俺「先輩、あの部屋ヤバイっすよ!俺布団で寝てて、先輩の
ベッドの下に包丁持った奴がいるの見たんですよ!!警察に行きましょう!!!」
眠いところを起こされた先輩は不機嫌に答える。
先輩「めんどいからいいよ。早く水かって帰ろう」
俺「・・・え?」
先輩は早歩きでコンビニに入っていった。
俺は先輩の言動が理解できずにいた。包丁持った奴が自分の家にいるのに怖くないのか?
しかもまだ、あいつがいるかも知れない部屋に帰るつもりなのか?
呆然と立っていると買い物を終えた先輩がでてきた。
先輩「何ぼーっとしてるんだ?お前が来ないから水買っておいてやったぞ。寒いから早く帰るぞ」
先輩は水を俺に渡して歩き出した。どうやらスナックと暖かい飲み物を買ったようだ。
まだ食うのか。
俺は考えることを止め、先輩の後を追った。
アパートの前に着くとやはり恐怖がこみ上げる。先輩は何事も無かったように自分の部屋に入った。
俺はいつでも逃げられるようにドアを開けたまま、部屋の様子をうかがった。
先輩がベッドの下に向かって何か喋っている
先輩「今日は寒いだろ?これ飲めよ。」
知らない人間「な、どういうつもり?私はあんたを殺すつもりなのよ!」
先輩「お前、俺が留守のときに買い溜めといたお菓子食ったろ?俺が死んだら腹へって困るんじゃねーの?」
知らない人間「バカにしないでよ!別にあんたがいなくたって・・・!」
先輩「そっか。でも今までのお礼だよ。飲んでよ。
溜まってたゴミ捨ててくれたり、サボってたベッドの下も掃除してくれただろ?」
知らない人間「べ、別にあんたのためじゃないんだから!
隠れるところがベッドの下しかなかったから掃除しただけ。
ごみだって、隠れてるときに臭かったから・・・。
勘違いしないでよね。」
俺は2人のやり取りを見てて同棲のすばらしさを知った。
俺も部屋に帰ってベッドの下を見たが、誰もいなかったし、汚いままだった。
がっかりしたけど、俺は諦めなかった。
今俺は気になっている女の子の家に上がりこんで、ベッドの下に潜んでいる。
たまには掃除もしてあげてる。早く気付いてほしい。
最終更新:2011年03月05日 21:49