こつこつこつ。
足音が響く。私のヒールとは違う、多分、男の足音が。
ショルダーバッグを握る手に力が入る。
静かな裏通り。近くには墓地もある。この時間帯になれば人通りなど皆無。後悔しても遅い。
足音は、ずっとついてくる。なんだか近づいている気もする。
墓地の手前に街灯らしき光が見えた。その下では女性らしき人影が光にあわせて揺らいでいる。
内心ほっとする。横を通り過ぎた。
ここを抜ければ、表通りまではすぐだ。自然早足になる。
気が付くと、後ろの足音は消えていた。ちらりと後ろを振り向くが、明かりの無い道が伸びているだけだった。
そこで、違和感を感じた。今度は立ち止まって後ろを振り返る。
墓地の前でさっきまで煌々と道を照らしていた光。あれは、どこへ行った!?
私はそこから走って逃げた。二度とこの道は通るまいと固く決意しつつ。
『何してたんですか若い娘さんの後を追いかけて』
『別に。無用心なあの娘が偶々俺の前を行ってただけだ』
『そうですか』
『そっちこそ、やけに派手に人魂飛ばしてたが?』
『落し物を探すのに照らしていただけです。この辺街灯ありませんし暗いと見えませんから』
『そうか?』
『そうです』
最終更新:2011年03月06日 06:31