寝ていたら、誰かに物凄い力で両腕を引っ張られた。
そのまま体から引きずり出されてしまった。
腕を掴むのは、女だ。顔はよく見えない。
そのまま天井を抜け、ぐんぐん上へ上へと引かれていく。
そして、雲をつきぬけ――
「…おお」
夜空に煌々と輝く、丸い月。
「今日は十五夜だったっけ」
何時の間にか上昇を停止し、腕を掴んだままの女に何とはなしに話しかけた。
「下にいたら見れなかったなぁ。ありがとう」
「べ、別に礼を言われる筋合いなんて無いわ!一人で高いとこに行くのがちょっと怖かっただけよ!!」
「そうか。でもこんな機会ないし、もう少し一緒に見てていい?帰ったら一緒に月見団子食べようよ」
「だから、その…し、仕方ないわね、付き合ってあげるわよ」
最終更新:2011年03月06日 07:04