幼馴染のミレンは、この夏休みに、交通事故で死んだ。でも何故か俺を恨んでいるらしい。
俺は半分強引に誘われてバンドをやってるんだけど、録音した曲全てに『怨んでやる』と台詞をかぶせてくる。
そして今日、初ライブのリハーサルで事件は起きた。
突然電気系統が全て沈黙した。ただの停電じゃない。
『絶対許さないんだから』
スピーカーから流れてきた少女の、ミレンの声。何が起こったのかわからず戸惑うメンバー。
「何で俺を怨むんだ!?」
虚空に向かって俺は叫ぶ。呼応するように、部屋の中央に、ミレンの姿が現れた。
きつい目で俺を睨みつけ、同じ言葉を繰り返している。
『許さない許さない許さない』
「…その熱い想い、素晴らしいスピリチュアルを感じさせるぜ!!」
『許さな…い…!?』
「前から思っていたが、その声新曲のイメージにぴったりだ。ぜひとも俺たちのバンドに!!」
『…あの、あたし、あんたに取り憑いて――!?』
「そんなの関係ない!俺たちには、いや俺にはお前が必要なんだ!!」
『あ、え、いや、ちょ、ば、馬鹿っそんな急にかか考えさせて!!』
何故か顔を真っ赤にして、彼女は消えた。
「で、何で俺を怨んでるんだ?」
ライブをつつがなく終えたその晩。独りになった俺の前に再びミレンが現れたので聞いてみた。
『…だ、だって…』
「…だって?」
『だって…夏休み、一緒に遊びに行こうって、約束したの、忘れてるんだもんっ!!』
ああ、そういえば始めたばかりのバンド活動にかまけて忘れていた。
『絶対許してなんかやらないから!!』
「うん、一生取り憑いてていいよ…ミレンなら」
その後、彼女は覆面シンガーとなり俺達のバンドのメインボーカルとして活躍している。
最終更新:2011年03月06日 07:19