いきなりの事にビックリして起きたのは夜中だった。
ついに出たのかと冷静に考える頭もあったがやはり驚愕はでかい。
に、しても何だってんだこの状態は。目の前に透けた顔があるんだが。
なんつうかもっとこう…ポルターガイストみたいなもんじゃねぇのか?
ルールなんて別にないけどさ、ここまで安い物件なんだからみんな怖がって出ていったってもんじゃないの?
かなり怖くないんだが。何せこのクリッとした大きな眼といい…タイプだ。
解らないな。もしや幽霊が出たってだけで今までの住人は出ていったのか?
リアルにありえねぇ。「こんなに可愛いのに…」ふと声に出して言ってしまった。
またたく暇すら与えない勢いで真っ赤になる目の前の顔。「な、何言ってるのよ!」と声を上げた。
せっかくだ。「可愛いって言ったんだよ、お前を」少しぐらい会話しよう。
ん~。何とキュートな反応な事か。今時の女じゃ絶対見れない素晴らしい反応だ。
がぜんこの部屋から引っ越す気は薄れるってもんだ。「の、呪い殺すわよ!」なんて言われても迫力に欠ける。
まぁ、むしろ「殺されたいかもしれない」と思った。
と、目の前の顔に動揺が広がった。「何か嫌な事でもあるの?」と心配そうに言ってきた。別にそういうわけでもないんだが…。

めっきり変わった態度に俺は感じた。こいつは死ぬ時に何かあったんだと。
のんびりと「いや、お前になら殺されても良いかなって思ってしまっただけさ」と返す。
時計の針がコチコチ動く音がする。「死んでも良いことなんて無いよ?」幽霊はそう語る。悲痛過ぎる顔で。
にっこりと笑って「解ってる。お前は優しいんだな」と返してやる。
改めて顔を赤くして「べ、別に…ただ出ていけって遠回しに言いたいだけなんだから…!」と言いやがる。
行いの一つ一つが可愛い。もしかすると俺はこの幽霊に一目惚れしたかも解らんね。
直視する視線がふと逸らされる。「いつまで見てるのよ…」と恥ずかしそうに言いながら。
しかしどこまでも俺のストライクゾーンを抉るな、本当に。
ていうか何でこいつは幽霊なんだろう。本当にそう思った。
おかしく急になんかなって、俺は泣いた。
きっといきなり泣き出した俺に驚いたのだろう。「どうしたの!?」と慌てだした。
まったく…なんでかな。「ごめん、お前に一目惚れした」
すっかり呆けた顔をしたそいつはハッとすると「ば、馬鹿! でも…嬉しかった、かも…」と言った。やれやれ。



授業中に何してんだか…
最終更新:2011年03月06日 07:48