海の沖で、女が一人、あれは溺れているんじゃなかろうか。
周囲には俺以外誰もいない。
仕方ない。意を決して俺は飛び込んだ。
のはいいが、元々泳ぎは苦手な俺。
さらに服着たままだと泳ぎにくいのな。うを、足つった!ぐほ、水飲んだ!
誰か助けて!
目を覚ますと、ドアップの女の顔が目の前にあった。
白い頬に張り付いた濡れ髪がとても色っぽい。
彼女は安堵の笑みを浮かべていたが、直ぐに慌ててのけぞるように離れてそっぽを向かれた。
彼女の頬が赤いし、何だかちらちら見られてるし、微妙な空気。
「えっと…ひょっとして人工呼k」
「あ、あくまで人命救助よ勘違いしないでね!!」
きっと睨まれる。
「あ、後、泳げないくせに他人を助けようなんて無茶もいいとこよ!」
うねうねとくねる蛇状の下半身。
「危な、じゃなくて泳げない奴は溺れさせる前に自分で沈んじゃうんだから、た、楽しくないでしょ!」
言い捨てると逃げるような勢いで海に向かう彼女。
「泳げるようになったらまた来てもいい?」
一応たずねてみたら、きょとんとした顔で振り返られた後、「馬鹿?」と言われた。
「じゃあ、泳げなくても会いに来ていい?」
と聞いたら一瞬考え込んだ後真っ赤になって、また「馬鹿」と言われた。
その辺りの海は、遊泳禁止になっている。
何でも女の妖怪によって溺死させられるかららしい。
実際には離岸流が何とからしいけど。
最終更新:2011年03月06日 08:59