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予備校に幽霊が出るというのは聞いていた。
ただの噂だと思っていた。

『あったま悪ー。こんな問題もわかんないんだー』
「うるせー!」
こないだまで俺は霊感無しのはずだったのに。
何ですかこれは。俺の頭の高さでふわふわ宙に浮いている半透明の女子は。
しかも何で俺にずっとくっついてきやがりますか?
見た目はかなり可愛いのだが、性格は…。
『参考書の後ろにエロ本はっけーん』
「うわやめれー!」
くっそう、壁抜けが出来るからって机の中も本棚の裏もチェックされまくる。
「つかお前そもそもなんで俺について回るんだよ!?」
『っ…それは、…面白そうだから、よ!』
一瞬戸惑ったように見えたが、やや逆切れ風味に大声を上げつつ奴はパンチを繰り出した。
当然の事ながら何の抵抗なく突き抜けたのだが、奴はそのまま身体ごと俺を突き抜けていくと、『ばーか』と悪態を吐いて出て行った。

その後も予備校で奴の姿はちょくちょく見かけたが、俺を見ると逃げるように居なくなる。
俺が気にする必要はないんだが。
気にしていたら成績に反映した。


『本当にあったま悪ー』
模試の結果が出た日。久しぶりに奴が俺の前に現れたと思ったら、即それですか。
「誰のせいだと…」
『誰のせいよ?』
「…俺のせいです」
マジ落ち込み気味の俺だったが、けらけら笑う奴を見て、何だかどうでも良くなってきた。
ついでにもう一つ解った事。
「俺、お前が好きなのかもしれん」
奴は何を言われたのかわからなかったのだろう、暫くほうけた顔をしていた。
『…ぇ?え!?いやあの、アタシ、えっと』
しどろもどろになる奴。
「まああれだ、受験終わるまでそういうのあれだけど、第一志望合格したら付き合ってくれ」
『あ、あ、頭悪い男子は嫌いって言うかそれって今のアンタの成績だと絶対付き合えないって言ってるのと同じだから!』
うを、クリティカルヒット!ダメージ三倍!
床にがっくり崩れ落ちている間に奴は姿を消した。

最近の奴は最初そうしていたように、いつも俺の頭の高さでふわふわ浮いている。
『アンタの本気度を確かめてるだけだから』とか言っている。
普段参考書の問題を解いている時、間違えていると溜息つかれる。時々具体的に指摘もしてくれる。
そういう時には必ず『頭悪すぎて見てられないだけだから』と注釈がつくが。
おかげで成績は上向き、第一志望も希望圏に入りそうだ。
最終更新:2011年03月06日 09:06