無題 2010 > 06 > 24(木)

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無題 2010/06/24(木)」を以下のとおり復元します。
男は15,16歳で女体化。

確立はかなり低いらしい。

俺の住んでいる地域ではまだ事例の無いことだ。ただニュースで聞いたことがあるだけ。

「あ~、女にならないかな~」

珍しい事例故にそんなことを言う男もいる。

俺はごめんだ。別に女という生き物を嫌っているというわけではないが、別段なりたいわけでもない。

でもそんな俺もあと2時間で16歳。ちなみに今日は6月24日だ。

「そろそろ寝よ・・・」

考えるだけ無駄だと考え、寝ることにした。


「ん・・・」

いつも通りの感覚で目が覚めた。

「もうこんな時間か。早く支度しないと・・・」

いつもかかせず食べている朝ごはんをカットして、鏡の前で寝癖を整える。

鏡に映っているのはいつもと変わらない自分。容姿は・・・まあ普通といったところだろうか。

「なんだ、やっぱり変わってないじゃん」

別に期待していたわけでもなかったが。 

準備が終わり家を出た。


「おはよう」

いつも通り挨拶をしてきたのは同じクラスの小島である。

「そういえば今日って絆の誕生日じゃなかったけっか?」

覚えていてくれたのか。こいつにはそういう律儀なところがある。

「ああ、そうだけど?」

「おめでとう」

「どーも」

素気なくなってしまったが実は少し嬉しかった。

「絆女の子にならなかったのかー・・・」

「童貞じゃなかったのかよ・・・」

この会話を聞いてた周りの奴らがそんなようなことを言ってきた。

「ならなくて悪かったな。そして俺は童貞だ。そもそもどうして俺がならなくちゃならないんだよ」

苛立ち気味に答えてやる。

「似合いそうだから。」

突然そう口を開いたのはさっきまで黙っていた小島だった。

「はぁ?」

「もし絆が女の子になってたら俺が嫁にもらってあげてたのになー」

頬杖をつきながら小島はそう言った。

俺はホモではない。男である以上、そんなこと言われても気持ちが悪いだけでだった。


そんなこんなしてるうちに授業が始まり、これもまたいつもと何も変わらない形で過ぎていった。

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――昼休み

突然激しい頭痛が襲ってきた。

「うっ・・・」

意識が朦朧とする。

だがそれも一瞬のことだけですぐに痛みはなくなった。

「なんだったんだ・・・」

普段頭痛なんて起こさない俺は妙な感覚を覚えた。



「んじゃ小島、先帰るわ」

「おう、大事になー」

昼間の頭痛の件もあって今日は部活の途中で早めに帰ることにした。

梅雨時ということもあって、外はどしゃ降りの雨だった。

「しまった・・・」

今朝慌てて出てきたこともあって、傘をもってきてなかった。

こんなことなら小島に傘を・・・。

今更しょうがない。

ずぶ濡れになることを覚悟で走って帰ることにした。


走ること5分、突然またあのときの頭痛が俺を襲い始めた。

「痛・・い・・・」

明らかに昼間よりも長く、そして痛みが強い。

「っ・・・」

ダメだ、もう立っていられない。

目の前が真っ白になった。

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「ここ・・・は・・・?」
目が覚めるとそこは見知らぬ部屋だった。俺はというと、髪が濡れた状態でベッドに横たわっている。服は知らないTシャツだ。
「気が付いた?」
部屋に入ってきた男が自分にそう言った。
「柿野・・・くん・・・?」
入ってきたのは隣のクラスの柿野という男だった。容姿端麗で名前は知っていたが、話したことも無いという関係だった。
「俺のこと知ってるの?」
不思議そうな顔でこちらを見る。
「だって隣のクラス・・・」
「君、隣のクラスの子なの?一度も見たことなかったな。」
そうか、俺が知っていても柿野くんが俺を知っているとは限らないか。
「君みたいな可愛い子6組に居たっけ・・・?」
ん?聞き間違いかな?今可愛いとか言われなかったか
「そんなことより寒くない?とりあえずジャージずぶ濡れだったし俺のTシャツだけど着せておいたから。あ、大丈夫、裸は見てないから」
彼は母さんが着せたから、と付け足した。
何か変だ。可愛いの次は裸見てない?男に何を言って――
そのとき俺はようやく自分の体に起きた異変に気が付いた。

「えっ・・・あっ・・・ええ!?」
胸がある・・・。
「どうしたの急にww」
「ちょっと鏡借りてもいいですか!?」
「いいよ、洗面所すぐそこだから」
動揺が隠し切れない。鏡に映っているのは肩くらいまで伸びた髪、ミディアムといったところだろうか。
大きくも小さくもない胸。目に見える範囲ではこれくらいだ。
これくらい?いや、十分すぎるくらいだ。
「女に・・・なってる・・・」
ショックを受けている場合じゃない。
下手したら死んでいたかもしれない自分を助けてくれたのは紛れも無く柿野くんだ。
目が覚めてから一度もお礼を言ってないことに気が付き、彼の部屋に戻ることにした。
「顔赤いよ?大丈夫?」
動揺していたせいか顔が赤くなってしまっていたようだ。
「あ・・大丈夫ですっ それと・・・ありがとうございました!」
命の恩人とも言える彼に頭を下げた。
「いいよいいよww軽かったし余裕余裕」
あははと笑いながら言う。顔もいいけど性格までイケメンなのか・・・。そんなことを思っていると彼から質問が飛んできた。
「で、君は・・・」
「絆です。斉藤絆って言います」
「絆ちゃんはどうしてあんなところで倒れてたの?」
ちゃん付けをされて違和感を感じるが今は質問に答えるほうが先だ。
「よくわからないんです。昼間も同じ頭痛がして・・・」
「そっか・・・。まぁ今日はもう遅いし、うちに泊まっていきなよ」
優しすぎるお言葉。だけどそこまで甘えるわけにはいかなかった。
「悪いですし帰りますよ」
「いいよいいよwwそれに俺の家からの帰り方わからないでしょ?」
立ち上がった俺の腕を彼は掴んでそう言った。
「あ・・・」
「ほらwwだから、ね?遠慮せずに泊まっていきな。あ、もちろん部屋も分けるしww」
「別に分けなくても・・・」
「え?」
何言ってるんだ俺・・・!
「あ・・そうじゃなくて・・・」
「よし!とりあえず泊まることは決定だね?それじゃ隣の部屋に布団敷いてくるから待ってて!それと、タメなんだし敬語じゃなくていいからね!」
そう言って部屋を出て行く彼の後姿を俺はただ見ているだけだった。

「風呂先いいよ」
一挙に多くの出来事が起こったために風呂に入ることすら忘れていた。しかしここは俺の家ではない。
「いや・・・悪いし・・・」
「だからいいって。体まだ冷えてるだろうしあったまってきな?」
ずいずいと俺の方を押して風呂場に案内してくれた。
結局言葉に甘えて風呂に入ることになったわけだが・・・
「ん~・・・・ほんとに女だな」
湯に浸かりながら自分の胸にある膨らみを触りながらつぶやく。
ビリリとした感覚が走る。やはり本物のようだ。
「柿野くんに事情話さないとなー・・・」
思わぬ形で彼と接点を得たとはいえやはり事実として話しておくべきだと考えた。
「ちょっとのぼせたかも・・・。あがろう」
「ふーん・・・なかなかいい体してるわね・・・。顔も可愛いし・・・私好みっ!」
出た瞬間いきなり体に抱きつかれた。
「ちょっ・・・!?」
「あいつったらこんなに可愛い子連れてきちゃって・・・。そんな弟に育てたつもりはないのになぁ」
とかなんとか言いながらギュッとされる。なんなんだ・・・。弟とか言ってたしこの人は柿野くんのお姉さんか?
「あなた下着持ってないみたいだし持ってきてあげたの。この下着かしてあげる!」
事前に準備してきたわけではないので無論何も持っていない。とはいえ渡されたものは水色の可愛らしい下着。
「・・・ありがとうございます」
「うんうん!言われて来て見ればこんなに可愛い子が!お姉ちゃんも嬉しいよ~」
訳の分からないことを言いながら行ってしまった。
「風呂あがりなのにどっと疲れたな・・・」

「これを履くのか・・・」
改めて渡されたモノを見て躊躇してしまう。
しかし着替えの無い俺はどうこう言える立場じゃなかった。
「なんか・・・窮屈っていうか妙にフィットするな・・・」
履き慣れない感触に戸惑いながらも服を着て部屋に戻ることにした。
「あったまった?」
部屋で漫画を読んで待っていた柿野くんが俺にむかって言う。
「うん、気持ちよかった。ありがとう」
何か言わなければならない。何か大事なことを忘れているような・・・
「あっ」
思い出した。事情を話さないと。
「ん?」
思わず声を出してしまった俺の顔を心配そうに覗き込んでくる。
「大事な話が・・・」
彼に事の流れを全て話した。俺が元男であることも全て。
はじめはまじかよと驚いていた彼も、どうにか信じてくれたみたいだ。
「まあ元男だろうがなんだろうが関係ないよ。今は確かに可愛い女の子なんだし」
なかなか褒め言葉に慣れない。というか何故こんな言葉をサラッと言えるのだろう。一体この言葉で何人の女子を・・・
「とりあえず俺も風呂入ってくるからさ、ゆっくり休んでてよ」
そう言って出て行ってしまった。
「うーん・・・どうすっかな・・・」 

外で鳥が鳴く声が聞こえる。
「んっ・・・今何時だ・・・?」
携帯で時間を確認する。
「6時半!?やばっ遅刻するっ!!」
ガバッと起き上がるとそこには制服姿の柿野くんが立っていた。
「やっと起きたww疲れてるみたいだったし寝かしておいたんだけど、悪かったかな?」
「いやいやいや、しかも俺がベッドで寝ちゃって・・・」
「あー、風呂から戻ったら気持ちよさそうに寝てたもんだからそのままにww」
どこまで図々しいやつなんだ俺は。
「姉貴が制服用意してくれたからさ、着替えてきなよ」
「え・・あ・・・でも・・・」
「早くしないと遅れるぞ?」
「着替えてくるっ!」
結局お姉さんの協力もあって女子の制服を貸してもらえることなった。本当に面倒見のいいお姉さんだ。
「どうもありがとうございます」
「いいのいいの。似合ってるよ~!」
照れくさい気持ちを抑えながらもう一度鏡の前に立つ。
髪の毛も昨日と違ってしっかりと整えられ、耳の辺りからランダムにパーマがかかっている。ミディという髪型らしい。
恥ずかしながら自分の姿に少しドキッとしてしまった。
「あっ時間」
自惚れてる場合ではなかった。あと登校時間まで15分ほどしかない。
「絆ちゃん早く後ろ乗って!」
待ちきれなくなったのだろうか柿野くんは俺の手を引いてひょいっと持ち上げて自転車の荷台に俺を乗せた。
「うわっ」
「しっかり掴まってて」
言われた通りに大きな背中に掴まるとペダルを漕ぎ始め、ものすごい勢いで自転車が走り出した。 

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