「ククク・・長年の夢ができた!!」
雷鳴轟く嵐の中、半ば狂気の僕と化した男の片手で握られているビーカーの液体は現実離れした効果を持つ
とある薬であった。この薬を作り上げるためにどれだけの時間と年月をいたずらに浪費したのであろうか・・?
「この薬さえあればこの大陸・・いや、全地球上の童貞男性が女性と化す!!! まさに自然を超越した夢の薬ィ!!
フフフ・・フハハハハハハハハッ!!!!! これを完成させるためにどれだけの年月を浪費したか!!」
狂気を前面に押し出しながら男は完成した薬を生まれたばかりの我が子のように狂った笑みを浮かべた。こんな男でも
昔は生物学の権威と呼ばれ、倫理的にも常識的な志向を持っていた。だけどきっかけ一つ些細な事で人を180℃変えて
しまうものだ・・この男は自分の限界で狂い壊れ、空想ともいえる論文を実現させた。
もう、そこには生物学の権威な男の姿はない・・ただの狂人だ。
「・・さて、まずは飲むか! 人類の栄誉のために!!」
男は持っていた薬を一気に飲むと、人類が生まれながらにして培ってきた性別による人体の遺伝子をまるでコンピュータが
操作したように書き換えていった。数分して遺伝子操作が終わった自身の体を鏡で見つめると・・男は今度は別の意味で狂った。
「こ、これは・・醜い!! 性別を書き換えても醜いではないかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
全ての人間の本能にある排泄物に対する嫌悪感・・変化した自分の貌を見たとたんそれが働いてしまった。狂ったように鏡に映った
自分の顔を狂ったように何度も何度も・・拳が機能しなくなるまで自分の姿が映った鏡を殴った。
雨が降りしきる中・・その光景を皮肉にも懸命に生きようとする夜に咲く花が絶望に取り付かれた狂人を見ていた。
最終更新:2008年09月17日 20:30