『帰ってきたサラリーマン』

34 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:10:07.15 ID:TomSNJfv0

ジュワッチ! あ、すいません(^_^;) いやね、タイトルがホラ、帰ってきたウルトラマン! みたいじゃないですか? だから私もね、それに合わせないといけないかと思いまして……。

あ、すいません申し遅れました<(_ _)> わたくし、香坂幸広(こうさか ゆきひろ)と申します。 いやあ何、しがないサラリーマンですよ。

今わたくし、家に帰っている途中なんです。 え、普通じゃないの? と思われるかもしれませんが、私にとっては一大事ですよ。

実はですね、わたくし一年間仙台出張に行っていたんですよ。 いやあ四十を超える男が一人暮らしするのは、寂しいもんですねえ(^^;)

36 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:13:16.71 ID:TomSNJfv0

その出張が終わったので、一年ぶりの我が家へスキップしながら帰宅しているという訳です。 私には娘と、息子がおりまして、これがまた困った奴らでしてね(^_^;) 学校で問題を起こす度に私が迎えにいったものです。

共働きでしたから、あの子たちに構ってやる時間が無かったんですよ。 もしかして、寂しかったのかもしれませんね。 子供たち――晶と綾音(あやね)と言うんですが――と今日一年ぶりの再開な訳ですよ。 一年でどれだけ変わっているのでしょうか。楽しみです(^_^)

たった一年とお思いでしょうが、この時期の子供の変化には目を見張るものがありますからね。 晶がどれだけたくましい男に育ったのか、綾音がどれだけ女を磨いたか。 この目で確かめてやろうではありませんか(>_<)

37 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:16:51.47 ID:TomSNJfv0

と……そんなこんなで遂に家に到着しましたよ。 いやあ楽しい時を目の前にすると、時間が過ぎるのが早い早い(^^)/ ちなみに子供たちには家に帰ることは伝えていません。 え? 何でかって? サプライズですよサ・プ・ラ・イ・ズ。

43 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:21:19.98 ID:TomSNJfv0 以下、帰宅時の想像図。

と、父さん! 帰ってきたの!? 帰ってくるなら連絡くらいしてよお父さん! 馬鹿あ!(アスカ風に) うむ。我が子供たちよ、一年で見違える程成長したな。 (お)父さん……(お)父さーん! (抱き合う三人。カメラが引いて三人の全身が映る)

晶、綾音……お前たちに寂しい想いをさせたな。 さ、寂しくないよ! 俺だってもう十七なんだから! そうよお父さん! 私はもう二十一よ。立派なレディなんだから!(ツンデレ風に) はっはっは! そうかそうか。もうお前たちは一人前だな。 (お)父さん…(晶、綾音、涙を流す)

44 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:25:08.49 ID:TomSNJfv0

とかなっちゃったりしてなっちゃったりして! いやあ父親冥利に尽きますなあ(*^_^*)

玄関には鍵がかかっていないみたいでした。 インターフォンを鳴らすべきかどうか迷いましたが、結局押しちゃいました。 少ししてから、とたとたと玄関まで歩いてくる足音が聞こえます。

「はーい」

おやおや? 女の子の声が聞こえましたよ? 綾音にしては妙に甲高い声でしたな……ちょうど女子高生くらいの……。 さては……いやあこれはまいった! 晶の彼女ですな!

46 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:26:10.72 ID:TomSNJfv0

私の妻は化粧品の会社に勤めていて、夜中も遅いことが多いんですよ。 綾音も大学三年生で、帰りが遅くなったと妻が電話口でぼやいていました。 おそらく今の時間は晶一人のはずです! それをいいことに家に彼女を呼んでいるんですよ!

これはちょっと叱ってやらなきゃ駄目ですな。 こんな遅い時間に、娘さんを家に呼んでるなんて、向こうの家にも悪いですよ(`ヘ´) しかも自分の彼女に客の対応を任せるなんて、不届き千万! 伝説のサラリーマンナックルを使うしかないですな!

向こうが玄関を開ける前に、私の方から開けてしまいました。 目の前にはなんとまあ、若々しい果実……もとい女子高生が。

47 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:27:42.41 ID:TomSNJfv0

これがまた何とも可愛らしい少女でf^^*) 妻の若い頃を思い出すようですよ。 それに加えてけしからん程の発育の良さで……いやね、女子高生の胸に興奮している訳ではないですよ。 私はどちらかと言えば三十代後半くらいの熟した女性の方がタイプで、こんな小娘に劣情を抱く男ではございませんからね!

「あ……」

晶の彼女は私を見て絶句しているようでした。 ひょっとすると私が晶の父親だとわかったのかもしれませんね。

「どうも、晶の父の幸広と申します。息子がいつもお世話になっているようで……」

私が大人の対応をして、格の違いを見せつけてしまったのか、娘さんまた絶句してしまいましたよ。 普通彼氏の親と初対面したら、挨拶くらいするもんなんですがねえ。 これだから今時の若い娘は……なんて思う辺り、私も歳をとったもんです(;´д`)

48 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:31:23.32 ID:TomSNJfv0

「あの……父さん」

とととととと、父さんですかー!? ちょっとちょっと待って下さいよ。うちの晶はどこまで進んでるんですか? 目を見張る成長と言うより目玉が飛び出そうですよ。

「あの、君ね。まだ若いんだから、結婚を前提に付き合うのはいいことだとは思うけどね。  もうちょっと常識というか、ちゃんとした礼儀を身につけないと社会では通用しないよ」

あまりにもびっくりして、変なタイミングで社会の礼儀を説いてしまいましたよ(ー’`ー;) そして娘さん、またまた絶句ですか。私の方がよっぽど驚いていいはずですよ。 出張から帰ってきたら息子が女の子家に連れ込んでるんですからね。

51 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:35:40.96 ID:TomSNJfv0

「晶はいますか? ちょっと話したいことがあるので呼んできて欲しいのですが」

もうね、サラリーマンナックルしかないですよこれはo(`0´)=0 新入社員歓迎会を騒然とさせたあの伝説の技をお見舞いしてやりますよ。

「あの……父さん……言いにくいんだけど……」

娘さん、貴方は早く奥に行きなさい。 これから真っ赤な血が辺りを染めることになるでしょう……くーかっこいいですな。 千葉真一あたりに言わせたい台詞です

「私、晶なんだ。女体化しちゃったんだ」

………………………………………………………………。

52 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:39:31.80 ID:TomSNJfv0 えーと、とりあえず……ですね。

「私、家を間違えました?」 「と、父さん!? いや、だから私が晶なんだって!」

お、お、お、落ち着きましょうよ。ね、とりあえず落ち着きましょう。 落ち着け! 私! 日本のサラリーマンがこの程度で慌ててどうする!

「そうだ、選挙に行こう」 「父さん!? もう選挙終わってるよ!?」

53 :帰ってきたサラリーマン:2007/09/07(金) 00:43:28.87 ID:TomSNJfv0

それから息子に……いや、もう娘ですか。 引っ張られるようにして家の中に連れこまれ、ゆっくりと話をしましたよ。

誕生日に女体化したこと。最初は不安だったけど、今は男の時よりも楽しいということ。 ちゃんと良い彼氏がいて、自分は大丈夫である、ということ。 まあいろんなこと語り合いましたよ(  ̄O ̄)

途中から綾音と妻が帰ってきて、久しぶりに一家団欒となりました。 いやあ、晶が女になったことで、何となく肩身がせまい感じでした。 まあ中年オヤジにはもったいないくらい華やかな夕食でしたがね<(@^_^@)

え? オチですか? ありませんよ? まあ世の中いろんなことがあるっていうそういう話ですよ。 私は家族が元気でやっていれば、何でもいいんですよ。

私のたった一つの、宝物には違いありませんから。

――帰ってきたサラリーマン 終わり


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最終更新:2008年09月17日 21:05
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