『まおっこ』8

159 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:21:13.59 ID:WK8RQyZb0

あらすじ  ~@{成せばなる!

女体化の影響により魔力を失ったジーク。 乗り込んできた勇者のエルに正体を隠し、魔王の城でまさかの同棲生活を送ることに。
ある日付き人のパラディンが魔力喪失の謎を解明 → 呪いによるもの その呪いを解くため、ジーク達はエルを連れて嘆きの森へ向かう。
嘆きの森の魔女、リリージョに会う為に……。





160 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:22:08.89 ID:WK8RQyZb0
うんちでもわかるキャラクター紹介
【ジークフリード】 魔王。女体化。魔力喪失。銀髪。スタイル良し、煮て良し、焼いて良し。

【エル・カインズ】
勇者。金髪。強い。剣士。人間じゃない疑惑有り。好きな動物はアリクイ。

【パラディン】
魔王軍参謀。ローブを愛用。フードで顔を隠している。髪の色は赤。まさかの赤。

【タナトス】
魔王軍騎兵隊総大将。大巨漢。顔怖い。肌は意外と綺麗。エル嫌い。人間嫌い。トマト嫌い。

  ノ|    うーんわかりやすい!
 ( ̄ ̄)  さあ次は本編だ!
( ̄ ̄ ̄)  うわあぁああバクテリアがぁぁ!
( ̄ ̄ ̄ ̄)  増殖してきたぁぁ!
  ̄ ̄ ̄ ̄


――まおっこ8




161 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:23:37.25 ID:WK8RQyZb0


赤黒く濁った空に、一際毒々しく光る真っ赤な太陽の下、その者たちは出発に向けて城の前に集合していた。
パラディンが全員揃ったかどうか数を確認している。 戦えないジークを守る為集まったのは、エル、パラディン、タナトスを筆頭に、魔王軍の精鋭たち二十名弱。
ジークの呪いを解く為に、魔界で最も危険で不思議な場所、嘆きの森へと彼らは向かうのだ。 嘆きの森の恐ろしさを知っている魔族達は、皆うかない顔をしていた。

たった一人、エルだけは軽い遠足気分で、久しぶりの外出を楽しむ気さえあった。 地上で生まれ育った彼は、嘆きの森がどのような場所なのか知らないのだ。




163 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:24:40.81 ID:WK8RQyZb0
「うむ。全員いるようだな。皆、こっちを向いてくれ。これから作戦と注意点を説明する」

パラディンが説明を始めようとしたとき、それを遮った者がいた。 巨大な体躯をしたその魔族は、魔王軍一の武闘派部隊、騎兵隊「クロノス」を統括する男、タナトスであった。

「パラディン。余計なことはやめようぜ。嘆きの森のことはよく知ってるからよ。  とどのつまり、死んじゃうかもしれないから気をつけて……ってことだろ?」
パラディンはフードの下で顔をしかめたが、タナトスの言葉は否定しなかった。

「隊の不安を煽るようなことは言うな。まあ、いいだろう。時間が惜しい。さっさと出発しよう」




164 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:26:22.56 ID:WK8RQyZb0

エルはパラディンとタナトスが話している最中、周りに何人いるか数えていた。 自分を合わせて総勢二十名。魔界で最も危険なダンジョンに入るには、少ない数のような気がした。
エルはそのことを聞くと、パラディンはため息をつきながら教えてくれた。

「例え百人で入っても、千人で入っても、あの森から出られる数に大差無い。  少数精鋭で行った方が、犠牲が少なくて済むんだ」

それを聞いたエルは、ようやく自分が窮地に立たされていることに気がついた。
パラディンは一人の姫の命を救う為(エルはジークをお姫様だと思ってる)、何人かの兵を犠牲にするつもりなのか。 命は数えられるものでは無いだろうが……。それにしても何故ジークの為に魔王軍はここまでするのだろうか。
エルはそう疑問に思ったが、数秒後、シンプルでわかりやすい答えにたどり着いた。





165 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:27:07.07 ID:WK8RQyZb0



(こいつら……めちゃめちゃ良い奴らなんだ……!)

周りの魔族たちは、思わず感涙にふせっているエルを、気持ち悪いので見ないようにしていた。




166 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:28:17.33 ID:WK8RQyZb0


ジークは空を見ていた。赤黒く濁った空は、いつ見ても気落ちするものだと彼女は考える。 ジークフリード。かつて絶大な魔力を誇り、魔界の頂点に立った男。 その男も今やジーク姫となり、一人の雑兵よりもか弱い、魔族の女になってしまった。

ジークは考える。何故自分がこのような運命を辿ってしまったのか。 物事には全て神々の意志があると、既に他界した母親から教わっていたが、彼女には今の自分の姿に意味があるなどとは到底考えられなかった。
運命は彼女にさらなる変化をもたらし、エルを含む全世界を巻き込む騒動へと導くのだが、それはまだまだ、先の話。


「皆さん。嘆きの森入り口に続くワープが、既に完成させてあります。さあ行きましょう」

パラディンの呼びかけに、隊の者たちは重い足取りで歩き始めた。 先ほどまで勘違いで泣いていたエルだけは妙に張り切っている。




167 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:29:20.62 ID:WK8RQyZb0

ぐるっと城を周り城の裏手に出ると、巨大な魔法陣とメイドたちの姿があった。 この魔法陣はダイニングへ続く魔法陣と同じ、転送用の魔法陣である。
「皆さん頑張ってください!」
「我々メイド隊は、皆さんのご無事をお祈りします!」
「帰ってきたらおいしいご飯作っておきますね!」


きゃぴきゃぴのメイドたちに励まされる男たち。 それでも彼らは余命半年と宣告された末期癌患者並に青白い顔をしていた。

魔法陣の前に集まったはいいが、誰も魔法陣の中に入ろうとはしなかった。 生存本能が彼らに前進を許さないのだ。





168 名前: まおっこ8 投稿日: 2007/09/09(日) 01:30:04.69 ID:WK8RQyZb0

そんな中、いまや最も戦闘能力の低いジークがすたすたと中へ入ってしまった。 光の残映を残し、ジークは転送されてしまう。 ジークを追い、パラディンとタナトスも慌てて中へと入っていった。

魔王軍のトップ3が中に入ったのに、自分たちが入らない訳にはいかない。 そう考えた他の軍兵たちは、意を決して中へと進んでいった。
一番最後まで残ったエルは、メイドたちに「肉料理を多めに頼む」と行って颯爽と中へ進んでいった。
嘆きの森で彼らを待つものとは一体……。

~to be continued~


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最終更新:2008年09月17日 22:42
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