647 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 00:44:08.14 ID:ERvJKwvo0
お前に足りないのはッ!情熱思想理想思考気品優雅さ勤勉さ!
そして何より――
あ ら す じ が 足 り な い !
あらすじ
女体化の際、魔力喪失という呪いにかかってしまった魔王ジーク。
勇者のエルに正体を隠したまま、呪いを解く為嘆きの森へと向かうことになった。
魔界最恐のダンジョン、嘆きの森。そしてその森の主、魔女のリリージョ。
これから彼らを待ち受けるものとは一体――。
648 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 00:45:21.70 ID:ERvJKwvo0
「承太郎ッ! 君の意見を聞こうッ!」
「……あらすじをして今までをおさらい。そしてキャラ紹介もしておく……。
挟み撃ちのかたちになるな……」
キャラ紹介:
【ジークフリード】
魔王。女体化。エルには自分のことを魔王に囚われた姫だと嘘をつく。
銀髪。肌真っ白。全体的に白。でも下着は黒。
【エル・カインズ】
勇者。剣と魔法の使い手。人間の限界を越えた強さを持つ。生い立ちは不明。
金髪。性格は単純。まおっこ4ではジークの尻を触った。むしろ揉んだ。
649 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 00:46:42.90 ID:ERvJKwvo0
【パラディン】
魔王軍参謀。ジークの付き人でもある。いつもローブを着ている。
フードで顔を隠し、素顔はジークしか知らない。長髪。髪の色は赤。まさかの赤。
【タナトス】
魔王軍最強を誇る騎兵隊「クロノス」の総括。大柄。むきむき。顔いかつい。
性格は単純。人間が嫌い。特にエルが嫌い。でもトマトが何よりも嫌い。
【リリージョ】
禁呪法を使った罪により、嘆きの森へ流罪となる。しかしそこで生き続け、森の主となる。
呪いに精通しており、自らに呪いをかけ不老の体となっている。不死じゃあないんだコレが。
――まおっこ9
651 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 00:50:03.87 ID:ERvJKwvo0
嘆きの森の前で、パラディンは最終確認をしていた。
「いいですか。かたまって進みます。決してはぐれないで下さい。
はぐれた者は死んだと見なします。ツヨースの警戒信号を聞き逃さないように。
何か気付いた時はすぐ私に知らせて下さい」
パラディンの言葉に、隊の者たちが頷く。
タナトスだけは頷くこともせず、腕組みをしてじっと森を見つめていた。
嘆きの森は魔界の魔力が集まる、不思議な場所である。
巨大な樹木が立ち並び、昼間でも中は暗い。中忍試験二次会場を想像して頂ければ(ry
中の生態系はカオスの域に達していて、他では見たこともないような動植物を見ることが出来る。
食肉植物は魔族でさえ喰らうし、凶悪なモンスターがうろうろしている場所だ。
653 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 00:52:07.77 ID:ERvJKwvo0
「行きましょう皆さん。ジーク姫を常に隊の真ん中にして、先頭をタナトスにします。
後方は私と勇者殿がつきます。では、出発です」
ジークを入れて総勢二十一名の隊は、ぞろぞろと森の中へと入っていった。
三時間ほど進んだだろうか。出発したのは朝だったが、今はもう太陽が真上にきている。
先頭を歩くタナトスは道を知っているらしく、迷うことなくずんずん進んでいた。
隊列の一番後方にいるエルは、いつモンスターが襲ってきても対処できるよう身構えて進んでいた。
しかし三時間も中にいるのに、モンスターは影もかたちもない。
今ではエルは再び遠足気分で、のんびり歩いている。
654 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 00:54:10.41 ID:ERvJKwvo0
時間を持て余していたエルは、横を歩くパラディンに嘆きの森のことを尋ねた。
「ああ、そうですね。貴方は人間ですから、この森のことはよく知らないでしょう。
では簡単に説明します」
「頼む。それと一つ気になったんだが、お前誰に対しても敬語を使うよな?」
「ええ、そうですけど……」
「前回の話で、お前敬語使って無かったけど」
「え? そうでしたっけ?」
「……まあいいや。教えてくれ、この森のこと」
パラディンがエルに説明している間、ナレーションのわたくしが皆さんに説明しておこう。
嘆きの森とは……。
「……という感じです」
「なるほど」
早っ! もう説明終わったのか……ま、まあいいけど別に、そんな重要な設定じゃないし。
655 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 00:56:15.80 ID:ERvJKwvo0
釈然としないナレーションのわたくしをよそに、パラディンは話を続けた。
「最も気をつけなければならないのは、やはりモンスターですね」
「やっぱり強いのか?」
「ええ。個々の戦闘能力はさることながら、嘆きの森のモンスターは知性も高いです。
集団で襲ったり、罠をしかけてきたりする場合があります。
まあ最も脅威なのはツヨースの存在ですね」
ツヨース、という聞き慣れない言葉に、エルは首をかしげた。
パラディンはエルの為にツヨースの説明を始めた。
「ツヨースは魔界で最も凶暴なモンスターの種族で、中でもテラツヨースは魔界最強です。
他にもギガツヨースとメガツヨースという種類がいます」
「へえ……!!!!」
エルの足が、止まった。
656 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 00:59:28.67 ID:ERvJKwvo0
「どうしたんですか? はぐれると危険ですよ」
パラディンはそう行ったが、よく見ると先頭のタナトスも歩くのをやめていた。
他の隊員たちは何が起こっているかわからないというように、周りをきょろきょろしている。
「タナトス! どうしたんですか!」
パラディンは大声で先頭にいるタナトスに呼びかけたが、タナトスは上をぼんやり見上げているだけで、パラディンに返事はしなかった。
もう一度呼びかけようとパラディンが口の前に手を持ってきた時、エルが呟くように言った。
「なあ……パラディン。あの上にいるやつが、テラツヨースか……?」
パラディンは、ゆっくり、ゆっくりと上を見上げた。
657 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 01:02:04.04 ID:ERvJKwvo0
『グルル……グル……』
巨大な蜘蛛のような怪物が、木々の間からこちらを見ていた。
頭には無数の目があり、足の指一本で牛を三匹は踏みつぶせそうだ。
「……いや……これはギガツヨースですよ……逃げろおおおお!!!!」
パラディンの声で彼らは脱兎のごとく逃げ出し始めた。
逃げ遅れた者はギガツヨースの爪の餌食となり、体ごと飲み込まれていった。
「こうなったらばらけるしかねえぜパラディンさんよお!」
いつの間にか後方のパラディンの横に、先頭を走っているはずのタナトスがいた。
「……わかりました! ではジーク姫とタナトス、私と勇者殿で隊を二つにばらつかせましょう!」
後ろから木々をなぎ倒し、猛スピードで迫るギガツヨス。
660 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 01:04:19.46 ID:ERvJKwvo0
この切迫した状況で、タナトスは静かに言った。
「……囮になる気かよパラディン」
「……」
タナトスはため息をつき、小さく「わかった」と言った。
「おいお前ら! 今からばらけるぞ! 俺とジーク姫につくもの!
パラディンにつくものに分かれろ! 分かれたらこの先の湖で落ち合う! いいな!
……死んだら承知しねえぞ」
「……はい、わかっています」
タナトスがジークの隣に行くと、次第に前方と後方で隊が二つにまとまってきた。
前方がタナトスたちの隊で、後方がパラディンの、囮の隊ということになる。
661 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 01:05:57.95 ID:ERvJKwvo0
パラディンは周りに集まって走っている者たちに言った。
「皆さん、申し訳ありません。わかっていると思いますが、私たちは囮です」
申し訳なさそうにうなだれるパラディンに、隊の者たちは口々に叫んだ。
「何言ってるんですかパラディン様!」
「そうですよ! パラディン様は悪くありません!」
「俺たち、腐っても魔王軍です! いつでも死ぬ覚悟は出来ています!」
「……ありがとう」
エルはそのやりとりを見て、感動して言葉が出ない様子だった。
「……タナトス! ここで一端お別れです! 先に湖へ行っておいて下さい!」
「おう!」
パラディンが徐々に走る速度を落とし、ついには立ち止まった。
他の者たちもパラディンに合わせて立ち止まる。
「タナトスたちに逃げる時間を与えなければなりません。ここでギガを食い止めます」
663 名前: まおっこ9 投稿日: 2007/09/10(月) 01:09:38.16 ID:ERvJKwvo0
エルたちはしっかりと頷き、それぞれの武器を持って、戦えるよう身構えた。
ギガツヨースの姿こそ見えないが、巨大な物体が移動する音が、どんどんこちらに迫ってくるのは聞こえていた。
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキメシャッ
『グルル……タァベェモォノォ……』
大木を真っ二つにし、ギガツヨースは圧倒的な恐怖と共に、パラディンたちの前に姿を現した。
「来ます……!」
嘆きの森、一日目。パラディン隊 VS ギガツヨース。戦闘、開始。
~to be continued...if they can survive~
最終更新:2008年09月17日 22:43