「えっへっへ~、はーちゃんとおかいもの~♪」
「って言っても夕飯の買い出しだけどね」
「いいの!しんこんさんきぶんあじわっちゃうんだから!」
「はいはい…」
うちの両親はいい年して未だにラブラブ(字面にするとうわぁ…)なので、二人で外食に行ったりする。
そんなときは僕たちは交代で夕飯を作って食べることにしている。今回は姉さんの番なので、僕が荷物持ちとして付いていくことになった。
「それで、今晩は何にするの?」
「んー…さむくなってきたし、おなべにしようかなぁ」
「鍋かぁ…」
思わず涎を垂らしそうになってしまう。
これで姉さんは結構料理が巧い。男だったときにはそれはもう幾度となく煮え湯を飲まされたものだけどね。鍋と言えば闇鍋だったし。
何で急に料理が巧くなったのか聞いたら、
「やっぱりはーちゃんにおいしいものたべてもらいたいから」
なんて、嬉しいやら気恥ずかしいやらな答えが返ってきた。恋する乙女ってすごいんだねってなんとも恥ずかしい感想を洩らした気がする。
「うーん…」
「まだ悩んでるの?」
「うん、おりょーりはしょくざいえらびからはじまってるんだって。水月がいってた」
へぇ、水月姉さんが教えてたのか。器用だもんな、水月姉さん。でも、姉さんが素直に水月姉さんの言うことを聞いたってのは驚きだなぁ。
…しかし何て言うか…食材を見る目があまりに熱心って言うか、異常に熱を帯びてるって言うか…。
しかも今は対象がきのこ。スーパーできのこを凝視する幼女の図ってなんかやだなぁ…。
「えと…やけに熱心に見てる、ね…?」
「うん、かたちとかおもしろいからね~♪」
ふーん、形ねぇ…あれ?
「え?形?」
「うん、かたち。ほら、これなんかはーちゃんのお[ピー(自粛致しました)]にそっくり~♪」
姉さんの一言で辺りが騒然とする。
「ちょっと奥さん聞きまして?!」
「聞きましたわよ!」
「幼女連れ去り!」
「地下牢!」
「鎖!」
「監禁!」
「調教!」
「サティスファクション!」
「サノバビーッチッ!」
その辺にいたマダム方がいわゆる後ろ指差しスタイル(?)でひそひそ話を始める。いや、全部聞こえてるんだけどね?
勿論僕は冷や汗ダラダラ。慌てて未だに嬉々としてきのこを物色する姉さんを抱えて逃げましたとさ。
最終更新:2008年06月14日 09:54