「うん…?」
「お、起きたか。」
目を覚ますと視界には夜空と…。
「ぅぉッ!近ッ!」
至近距離に友人タロウの顔があった。
「その姿での第一声がソレかよ…。」
「はぁ!?なんだよ、ソレ…っ…て…。」
タロウの呆れた声と奇妙な言で、ようやく自分の異変に気づく。
異様に声が高い。んでもって着ている学ランがダボダボだ。
「部活の最中にいきなりブッ倒れるんだもんよ。ビビったわ。」
「そうか、俺…。」
今朝方からなんだか気分は悪かった。
しかし、大抵誕生日前後らしいと聞いていたので油断していたのだろう。
連日の稽古の疲れが少し出ている程度だと、剣道部の稽古に出てしまったのだ。
「えっと、部活は?」
「終わったよ。保健室にいたけど、夜ンなっても目ェ覚まさないから家までお送りだ。」
そこで初めて気づいた。
俺はタロウに…。
「うわ!何してんだオイ!」
「だーッ、暴れンなコラ!」
「何が悲しくてヤロウにお姫様抱っこされにゃならんのだ!」
「うるせぇ!今のお前はお姫様だ!」
「アホなコト言ってんな!おんぶで良いだろ!てか歩ける!」
ようやく現状を理解し、腕の感触から逃れようともがく。
「そのユルユルの制服で歩けるか!お前の荷物も担いでる!」
が、がっちり抱えられていて、タロウの腕はびくともしなかった上、
冷静なセリフで反撃を受ける。
「おま…、冷静すぎだろ?」
「事実を言ったまでだ。もう無いな?」
「あぁ、うん…。」
正論すぎて言葉も無い。
大人しくタロウに抱えられて夜道を進む。
「しかし…。」
「ん?」
誰とも無くタロウがぼそりと呟く。
「胴剥いたらおっぱい出てきたときはびっくりしたなぁ…。」
「んなッ!嫁入り前の娘に何しやがる!」
「お前意外と切り替え早いな。」
「切り替えなくてもヤロウに裸見られて黙ってられるか!」
「いいじゃねーか、どのみち俺が脱がs」
「OK、宣戦布告とみなした。」
「あでででで!やめろって!」
タロウのアゴ下に肘打ちを連打しながら、俺はスケベの友人に抱えられ、帰路についた。
最終更新:2008年10月05日 14:30