「好きです、付き合ってください―――」
昔から、僕は順応能力だけは人一倍優れていた気がする。
何が起ころうとも動じず、冷静でいられた。
言ってしまえば、僕はただ底抜けに楽天家だっただけなのだろう。
「大地震が起きても自分だけは助かる」という希望的観測にも似ている。
それを短所だと思わないところがまた、僕の楽天家たる所以でもあったのだと思う。
『15、16歳までに童貞を捨てなければ女体化する』
いわゆる女体化と呼ばれる現象を耳にしても、強い焦燥感は感じなかった。
- さすがに、鍛えた筈の自身の胸板が柔らかな乳房と化していた時には、少しばかり取り乱してしまったけれど。
それなのに、だ。
「えっと・・・付き合うって、僕と貴女が?」
「それ以外に、何が?」
「あ、いやその・・・」
しれっと愛の告白をかましたこの少女に、僕はすっかり動揺していた。
「いや、僕はもう女の子なんだけど・・・?」
「? それが何か問題なんですか?」
- ていうか、この状況でなお落ち着いていられる人間がいたら、それこそ見てみたいもんだよ。
ああああああ、どうしてくれよう・・・。
最終更新:2008年10月09日 05:03