その後、私たちは高校生活を経て大学に進学。それぞれの道を進んでいた。
章吾君は大学卒業後に、ポジティブメンからポリスメンになった。
私はというと・・・
「ふぅ 今日も疲れた」
私は椅子に深く腰掛ける。
需要の少ない不遇の職業と呼ばれる職についた私は、今日も遅い時間まで職場のデスクへ向かっていた。
不遇と言われる割には、最近は患者の数も増えてきた。それが良いとは正直思わないが。
そう思ってほっと一息いれようしたとき、付けっぱなしになっていたテレビからタイムリーなニュースが流れていた。
『近年まれに見るスピードで増える女体化男性の自殺率は──』
またか─と思った瞬間テレビの電源が落ちる。
「はぁ、あたし報道って嫌いだな だって、思わない?」
横のデスクに座っていた同僚が報道について何か物申したいようだ。
私は横の座る同僚の方に首を向けて話を聞くことにした。
「そうでしょ?ああいう報道を無機質に他人事のように話してる」
「それが全部事が悪いとは言わないけど、報道を耳にすることで傷つく人だってたくさんいるのに」
そのとおりだと思った。
でも、そんな傷ついた人を癒してあげるために私たちがいるわけで。
そんな同僚の言葉を黙って聞いていた私に、すぐさま話題を切り替えた同僚がこう言った。
「ねぇ、まこ そろそろ休んだらどう?」
まだまだ面倒を見てあげなければならない患者も多い。
私を女体化経験者だからと頼ってくる人が絶えないからだ。
「アハハ まだまだいけるよ でも、危なくなったらその時はお願いね」
私はそう言うと、大きくなったお腹を優しくさすり問いかけた。
『あなたは男の子?女の子?』