安価『誘拐(する方)』

人というのは過剰に捕らえて興味が冷めたら放っておく・・特にこの国はそれが強調されているようだ。

“――○○君が誘拐されて早、10年近くが感じます。犯人の方も・・”

「フッ、今でも世間はお前を“男”だと思っているようだな」

「・・」

俺の目の前にいる女・・もとい人間、こいつこそ今テレビで放映している10年前に誘拐をした世間で言う被害者だ。
何故誘拐したのかは大した理由はない、突如高ぶった俺の興奮を満たすため・・たったそれだけのことだ。
犯行の方法は心理的なことを中心として考えているようだが、そんな大それたような事じゃない。こいつが
小学生だった頃、いつものように下校をしてた時に声を掛けたのがきっかけでホイホイと着いてきたのだ。

それからは住所を転々と変えてとある知り合いから手に入れた戸籍でこいつを社会的に生まれ変わらせた、更に
俺にとって幸いしたのがこいつがまだ幼児で誘拐された身の上だったこと、当然のように自らの身を守るために
こいつは自らを殺して従順的に俺に接し女体化した。

“――・・一刻も早く犯人が捕まって○○君が保護されることを祈ります”

テレビに映っている司会者はこう言っているが、本当の所は余り関心なんてないのだろう。もし俺が捕まったら・・
こいつは誘拐されるよりも壮絶な人生を送る事になるだろうな。

ビールを飲みながら俺はテレビのチャンネルを変えた。

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最終更新:2008年10月25日 12:48
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