「キリシたん可愛いよキリシたん。
勢いで改宗しちゃったよ、俺。毎週日曜はミサの日だよ」
「ええと……まあ、その、なんだ。よ、よかったな」
「よくないよ!なんでお前は改宗しないんだよ!」
と、まあ俺の前で残念な発言を繰り返すヤツは一応俺の友人で。
酷く残念なことに、今はそのキリシたんとやらにそっくりな元男である。
「俺、無神論者だし……」
「神様はいるよ?!キリシたんが言ってたよ?!」
「神は死んだ
byニーチェ」
「…………うぅ~……!」
そしてさらに残念なことに、その困り顔は言い様もなく可愛らしいのだ。
「……わかったわかった、改宗するとまでは言わないが、今度の日曜ミサだけは付き合ってやる。それで勘弁しろ」
ちょうど俺の肘くらいの高さの頭をぽふぽふと撫でてやる。勿論俺がデカいわけではない。
「言ったな?!ちゃんと来いよ?!改宗しろよ?!!」
いつもはこんなことをすれば顔を真っ赤にして怒るのに今日はそれをしない。
それどころか俺の腕にすがり付いてくる始末だ。なんなんだ、この小動物は。
よほど信者が増えるのが嬉しいと見える。
「ああ、気が向いたらな」
「いいか?!絶対だぞ!」
……………
………
…
そしてヤツの無茶苦茶な宗教勧誘は、いつも俺だけがされていたことに気付くのはそう遠くない未来の話……。
最終更新:2008年10月30日 22:50