喫茶店『すぃ~と☆ぽてと(はぁと)』

私がアルバイトをしている喫茶店『すぃ~と☆ぽてと(はぁと)』は少し変わっています。
男性はマスターだけで、それ以外の店員がみんな女体化した人達なのです。
お客さんも女体化した人達しか入店出来ないルールで、これは世間から差別されやすい私達に配慮しているとのことらしいです。
今の世の中、女体化した元男性の身分証には『元男性、現女性』…と記されています。
まぁ、これも差別を生む原因の一つだと思いますが。
私は裏口から事務所に入ると
「おはようございまーす!」
と、挨拶をする。
「おはよー、聖(きよみ)ちゃん♪」
「おはようございます早苗さん」
体中から元気が溢れ出ているようなこの人は『黒澤早苗』さん。
身長は160cmの私よりも頭一つ小さいくらいですが、大学生。
見た目が幼いので、よく小学生に間違われて困っているそうです。
「あれ、マスターはいないんですか?」
「聖ちゃん、聞いてよ~!マスターってば『今日買えばロト6が当たるような気がするから行ってくる。じゃ、聖ちゃん来るまで一人でよろしく!(シュタッ)』だってぇ!信じらんな~い!」
早苗さんはほっぺたを『プゥッ』と膨らませながら怒っている。
(あ、早苗さん可愛いです…)
「ま、まぁ…マスターらしいですね…」
「あ~、聖ちゃんってば…まぁ~たマスターのこと庇ってる!…恋は盲目じゃのう♪」
早苗さんは『うっしっし♪』と意地悪い笑みを浮かべながらそう言う。
「そ、そんなんじゃありません!!」
「嘘はよくないにゃー♪だって聖ちゃ…」
『早苗ちゃーん!コーヒーのお代わり頂戴な~!』
「ほら、早苗さん!お客さんが呼んでますよ!」
「ちっ…ゴングに助けられたな聖ちゃん」
早苗さんは『は~い。ただいまお持ちしま~す♪』と返事をすると小走りでホールへ戻っていきました。
「…ふぅ、助かりました」
私はそう呟くと着替える為、更衣室に。
「…恋…かぁ」
確かに私はマスターの事が好きですが恋愛感情とかそういったものでは無いはずです。
優しくて包容力があって…いつも私達を気にかけてくれている。
捉えどころが無くてミステリアスな所が素敵だとは思いますが…。
着替えを済ませて出勤時間の登録を…
「う~ん、今日は白かぁ。…清楚な下着に包まれたこのまぁるいお尻は素晴らしいねぇ…おじさん、興奮しちゃうわよ?」
後ろから声がしたのと同時に振り返ると、マスターが私のスカートをめくっているじゃないですか!!!!!
「ままままま…マスター!何してるんですか!!!!!」
「そんなにカリカリしちゃやーよ、聖ちゃん?」
―ムニュムニュ♪
「マスターの馬鹿ぁああああ~っ!!!!!」
私のお尻を揉むマスターの顔めがけて強烈な平手が飛…
「…はいは~い…二人ともラブコメってないで手伝ってよね~!お客さん増えてきてるんだから!」
…ぶ寸前で早苗さんが私の手首を掴む。
「…ヒック…だって…マスターが…」
「マスターはわたしが殴っとくから聖ちゃんはとりあえず泣き止む!マスターは早くキッチンに入ってオーダー作る!OK?」
「…ヒック…分かりましだぁ…」
「おじさんの軽~い冗談も聖ちゃんにはまだ早かったのね…」
―ゴンッ!
「たぁっ!…何すんのよサッちゃん!」
「…この女の敵!早く仕事しろー!がぅがぅっ!」
早苗さんはマスターを殴ると犬歯を剥き出しにして責め立てていました。
「…へ~い。…まったく…サッちゃんは怒りんぼなんだからぁ」
…喫茶店『すぃ~と☆ぽてと(はぁと)』は今日もお客さんが絶えません。
私の住む街にお立ち寄りの際には是非ともご来店くださいね♪
あ、それと女体化した人だけしか入店出来ないのでご了承ください。


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最終更新:2008年12月04日 22:35
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