安価『携帯メール』

メールがきた。
中身は見なくても予想がつく。
「なった」か「ならなかった」の、どちらかだろう。
こんな朝からメールが来るなんてのは俺にはあまりないし、それに、今日は俺の友人――それもある賭けをしている相手の誕生日だ。
だから、このメールはその賭けの結果。つまりはあいつが女体化したのか、しなかったのか。それが書いてあるわけだ。
ちなみに賭けの内容はとっても単純。
あいつが女になっているか、あいつが女にならず、俺が女になったのなら、あいつと俺が、付き合う。
二人とも変わっていなかったら――お互い頑張ろう。
二人とも女になっちまったら? それは考えてないな。流石にそんなことにはならないだろうし。
そんな内容。
最近は、というより、童貞が十五六才で女体化する病気が発生してからは、よく聞く内容の賭。
だから俺は期待を込めて、そっとそのメールを開こうとした。
が、件名を見ただけで、結果が分かってしまった。
「残念だったな」……こんなふうに書いてあったらそりゃあ分かるだろう。
けれど、俺は僅かな期待を持ってメールを開いた。
内容は予想通り俺の賭けの敗北を知らせるものだった。つまりは「しなかった」だ。
そうして俺は落胆しつつも仕方なく、メールを返す。
件名は、「良かったな」


そして本文は――「なった」だ
そう、俺は賭けに「負けた」のだ。


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最終更新:2008年12月05日 00:24
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