安価『図書館』
「ほら、コレとかオススメだよ〜。」
ヒョイヒョイと雑誌の棚から、ファッション誌やら何やら何冊か拾ってきて俺に渡す姉貴。
今日は「女体化時に必要な知識の勉強会」と称して姉貴に図書館に連れて来られていた。
図書館になんて、最近めっきり足を運ばなくなっていた俺には、
いつのまにかリニューアルされていたそこは、まさに未知の世界と化していた。
「いつの間にこんなことに…。」
「3年前かな〜。丁度私が"そうなった時"に改築が終わってね。」
ドサドサと更に俺の横に詰まれ続ける、本、本、本。
いつの間にか雑誌の他にも、ハードカバーのモノやら、教科書みたいな表紙のモノも混ざっている。
「…コンナニヨムノ?」
「もっちろん!楽して女の子をエンジョイできるなんて、思わないコトね!」
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あっという間に俺の前のテーブルに、本の塔ができあがる。
「いくらなんでも全部読むのはムリだろコレ。」
「そう!だからちょっとづつ借りてくの!はいタイトルノートにメモって!」
持ってこさせられたノートに、片っ端から本のタイトルを書き付ける。
「全部自力でやれってか…。」
「はいはい文句言わないの。女の子だったら持ってる15年分の知識を、すぐに仕入れないといけないんだよ?
わからなかったら、私が教えてあげるから、心配しないで、ね?」
安心させようと言うのか、囁きながら背中に抱きついてくる姉貴。
しかし、今の俺の作業を考えれば邪魔でしかない。
「いいからノート取るの手伝え、でなきゃ邪魔すんな。」
「わかった!じゃあ受付前にいるから終わったら本持って来てね!」
—相変わらず逃げ足だけは早い。
気がついたときには、姉貴は受付の前で係員の男と楽しそうに会話をしている。
ちなみに後日、係員のイケメンが妻帯者だった、図書館なんかもう行かないと、
泣きながら姉貴が帰ってきたのは、また別のお話…。
最終更新:2008年12月05日 21:09