安価『TASPOかしてください』

今日は運がいい。デパートの外にある喫煙所でだらだらと煙草をプカプカさせていたら、なんだかとんでもなく綺麗な女の子がよってきた。
背は百六十センチ半ばぐらいだろうか? 髪は長く、肩にかかっていて何処か艶かしい。けれどなぜか、雰囲気はどこか幼くて、なんだか少し面白かった。
その上あまり似合わないボーイッシュな服装をしていたので、ちょっと勿体無いなと眺めていたら、話しかけてきたのだ。
曰く。
「タスポ貸してもらえませんか?」だそうだ。
正直に言って二十歳には見えない。貸してほしい何て言うくらいだし間違いなく未成年なんだろう。
——つうかこれ貸したら捕まるのかな? そうだとしたら勘弁してもらいたいな。
なんて考えていると、目の前の美少女がすまなそうに顔を伏せながら「お願いします」なんて言ってくる。正直断りがたい。
「未成年だよね? なんでタスポなんて借りたいのさ?」
とりあえず疑問を投げかけてみる。
「いえ、ちょっと、人生の不条理を実感してですね。グレてやろうかと思いまして」
どこかおどけた表情でそう言う彼女の見た目と雰囲気のアンバランスさで、俺は気が付いた。
——ああ、女体化したのか。
少し、同情しなくもない。それに、そう言う理由で吸いだしたいと言うのなら、俺には止められない。
「……ん」
そう言ってタスポを差し出してやる。
意外だったのか、目の前の美少女はキョトンとしてこちらを見ている。早く受け取ってくれ、照れるから。
「止めないんですか?」
「いや、俺も君と同じだし、吸い始めたきっかけ。止める資格がないんだよな」
まだ気が付かないのか、美少女ちゃんは困惑した表情を浮かべている。つうか可愛すぎるぞこの子。
俺の方が不条理感じちまうぞこんな格差があると。
ようやく気が付いたようで、驚いた表情でこちらを見ている美少女ちゃん。やっぱり可愛い。うらやましい。
いや、格差があるとは言ったけど、別に俺はキモくなってないんだぜ? 普通に可愛くなったし、そこそこ目立ったよ? ただ目の前の娘が可愛すぎるだけ。
「ありがとうございます!」
少し話してから、眩しい笑顔を浮かべて煙草を買いに行く美少女ちゃん。やっぱり可愛い。
——いやほんとに羨ましいね。まったく。

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最終更新:2008年12月14日 00:03
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