安価『作者』

何時もの帰り道。俺は、なんとなく話題がほしかった。だからかもしれない。

「ハンター●ハンター休載してばっかだな。なんで作者働かんの?死ぬのか?」

ぽつりと、疑問符が口を突いて出た。さして答えを求めていたわけではないけれど。

「ああ、確かアイツんとこ息子が女体化したとかで今連載どこじゃないらしいよ」

されども、雄二は平然と答える。博識と言えば聞こえはいい、が。

「…へぇ。そりゃ初耳だ。さすが漫画オタク」

そう、雄二はオタクだった。『三次元なんざいらねぇ!』と言って憚らないような、ステレオタイプのオタクだった。

「…失敬な。でもいいよなぁ、女体化。俺も春彦みたく女体化したかったなぁ」

しかも、女体化に肯定的な考えをもった奇特な奴ですらあった。どうしようもなく救えない奴だ。


「……ん?なんでちょっと拗ねてんの?」

「…別に」

しかも、救えない上に何処までも鈍い。俺を差し置いてクラスメイトの名を———しかも、
よりにもよってクラスで真っ先に女体化した春彦を、だ———枚挙するだなんて、最早当てこすりじゃないのか。


春彦なんかよりも、よっぽど身近に女体化した奴はいるってのに。
雄二が気付くのは、いったい何時になることやら。


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最終更新:2008年12月20日 13:10
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