「狂ってる、そうは思わないか?」
「ん? 何が?」
「お前、性別を選ぶ権利、の話知らないのか?」
親友は、そういう方面の話にはうとい。
だから素直に女体化したのかもしれない。
「あーあの、15歳までの男子は男であることを選択できるっていう?」
「それだよ。それ」
「で、何が狂ってるの?」
親友は俺を軽く見ながら話を適当にあわせているのか。気の無い返事だった。
「考えても見ろよ。人生で一度しかない初体験が、5分にも満たない事務処理扱い。えげつないと思わないか?」
「あーそういえば、そうだね。世界の法則で童貞の定義があんなにあっさりしたものだったから……」
「俺だったら、男でありたくても、あんな方法ごめんだ」
「まー私はそもそも、どっちでもよかったし……」
「つーことで、親友。俺の誕生日が明日に迫ってる。そこで一つお願いが……」
「却下」
笑って断られた。まあ、予想はしていたが……。
親友は、俺が落ち込んだのを見ると俺の肩をポンと叩いた。
「好きでもない相手と軽々しくそんなことしたくないからね。ほら、早く。明日になるまでに私を惚れさせなさい」
「え……?」
「そしたら。そっちの勝ちでしょ?」
最終更新:2008年12月20日 13:19