安価『着物を来て髪を結い上げた時のうなじ』

それは、とある初詣の時のこと。
「着物って、最高の文化だと思わないか?」
「そういうわりに、先輩は和装じゃないのね」
「うるさいっ! それより、なんでお前は着物なのに髪を結い上げない!?」
「めんどくさいの……女体化して分かったんだけど、長髪にしても巨乳にしても、お疲れ様、って感じ」
 後輩はめんどくさそうに言い放った。
 花柄の着物は背の高い彼女にとても似合っていて、しかし、下ろしたままの長髪は俺にとっては惜しい。
「先輩はもう17なのに、女体化まだなの?」
 くすくすと微笑みながら、俺を見下してくる後輩は、とても意地が悪い。
 俺は馬鹿みたいに背も低いし、おまけに童顔だ、そのせいで女体化についてひたすらからかわれる。
「まだとか言うな。俺はもう済んで……」
「はいはい」
「馬鹿にしやがって……今に見てろ」
 俺は、この日のために習得した髪の結い方を後輩に試そうとして、重大な事実に気づいた。
「届かねぇ!!」
「ん? 先輩、どうしたの?」
「うるさい、そこに座れこのデカにょた!」
 俺が近くのベンチを指差すと、後輩は「何よ?」と不満を漏らしながらもしぶしぶ座った。
 俺は立っていても後輩のうなじが見えにくいのだ。
「よし、今俺が髪を結ってやるから、動くなよ」
「先輩……いつのまにそんな無駄なこと」
 見事な手際で俺は後輩の髪を瞬く間に結い上げる。
 その際にばっちり見えたうなじは、役得というやつだろう。
「うしっ!こんなもんか?」
「ほんと、無駄に上手くなって」
「うるさい!」

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最終更新:2008年12月20日 13:28
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