それはボクが大学に入学する準備として、クローゼットを片付けていた時の事だ。
「あ~あ、いつのまにこんなに服が溜まったんだろ」
女体化してからというもの、ご飯の量や身長や体重は減ったものの、唯一服の量は4倍近く膨れ上がって
いる。
「まったく、ママもパパも、なんでこんなに服ばっかり……」
ボクはそう呟きながらも、最近はすっかり普通の女の子と同じくお洒落が楽しくなっていた。
そんな服達をごそごそ掻き分けていると、古ぼけた学ランを見つけた。
そっと手に取ったそれは、ずっしりと重く、少し汗臭い。
「あ、これ……」
それは、ボクの制服だった。
約3年ボクが着てきた、ボクの制服。
女体化した日の次の日から、女子制服が用意されていたので、どこに行ったのかと思っていたけど。
「こんなとこにあったんだ。なつかしいなぁ」
ふと、それを着てみようと思ったのは、何故なのだろう。
きっと昔に戻ってみたいなんて、そう思ったのかも知れない。
ボタンを外し、袖を通して羽織ると、袖はだぼだぼ。丈も合ってなくて、だらんと格好が悪かった。
そのままだと違和感があったので前のボタンを留めていくと、胸元だけがきつくて、第一ボタンを留める
のは諦めた。
「ボクいつの間にか随分ちぢんだんだね……」
袖を上げると、指しか見えないくらいで。
でも、少し昔が見えた気がした。
最終更新:2009年02月10日 11:09