「はぁ…」
自分でも少し驚く程度にため息が漏れた。
「どうしたの?生理?」
帰り道のファミレスで向かいあって座っているこのデリカシーの欠片もない男は、俺が童貞のまま15歳の誕生日を迎えて女体化し、その二か月後に付き合い始め交際二週間目になる、いわゆる彼氏というやつである。
俺はため息の理由を説明するために、「ある事実」を、顔を伏せながら告白する。
「太った」
「そうかぁ?俺の目にはその辺の女子より細身に見えるけど」
「太ったね、紛れもなく太ったよ」
突っ伏しながらカミングアウトする俺に、なおも懐疑的な視線が浴びせられる。
「足がさ、男の時に比べて12%増しって感じ」
「比べてって言われても男の時のお前の足にキョーミねーわ」
笑いながら言いやがっただと?
あんまりだ、彼女に向かって興味ないだなんてあんまりだ。
俺は激怒した。
「興味もないのに付き合ってんのかよ?俺は悲しい道化かコノヤロー!」
「男同士の時に足を性的な意味でチェックしてたら完全にホモの人じゃねーか!」
あまりの正論につい笑ってしまった。
笑ってしまったので今日はご褒美にこの肉付きの良くなってしまったフトモモちゃんで膝枕をしてやろうと思う。
そんな適当なオチをつけて俺たちはファミレスを後にした。
おしまい
最終更新:2010年09月04日 22:25