「管理者は狂ってる。男を女に変体させるウィルスをばら撒くなんて。狂ってる」
硝煙と血が混じった臭いが立ち込める施設の中で、ぼろぼろになった戦闘スーツを身にまとった小柄な少女は、"狂ってる"その台詞を念仏のように何度もつぶやく。
「その台詞何度目だよ」
同じくぼろぼろになった戦闘スーツを身にまとった背の高い少女が呆れてため息をつく。
「2530回目。いや、2350回かな?」
「どっちでもいいよ・・・」
「そうだな。もうすぐ管理者の居る中枢だ。奴らを潰してこんな戦いは終わりにする」
小柄な少女はそう言うと、自分の体を自分で包み、ぎゅっと力を込める。その姿は恐怖や憎しみなど、様々な感情が伺えるほどだった。
「あぁ・・・。沢山の仲間が犠牲になった。こんな戦いはもう終わりにしよう」
自分達の部隊の戦力であり、仲間だった男達の女体化を抑制するために自らの体を差し出してまで"管理者"と戦ってきた。
女になった男達は自らの心を殺し男を抱き、真の意味で男になった男達はその女達の為に戦った。
しかし、彼女らの部隊も管理者の部隊との戦いで壊滅。
多くの男達、いや同志を失った。
「そうさ!終わりに──うぐっ!」
「・・・・やはり君は来るべきではなかった」
「ぐぅ・・・まだやれる!」
「だめだ・・・どの男の忘れ形見かは知らんが、私達の為に散っていった男の子だ。生んでやれ。それがあいつらへのせめてもの弔いになる」
「くっ・・・!」
「いいさ、どの道私はもう長くない。自棄になって始めたこの戦いにもこれでやっと理由が生まれた気がする」
「け、けど!!んぐ!!」
背の高い少女は小柄な少女の唇を強引に奪った。
「私の愛しい人、私は必ず帰る。待っていてくれ」
二人は抱き合う。
「俺もだ・・・愛している・・・だから、この子の為にも・・・・行ってらっしゃい・・・」
「ふっ・・・行ってくる」
あれ?おかしいな、世界観間違えた?
最終更新:2010年09月04日 22:41