「なぁ」
「ん、なんだ?」
「やっぱり、いっぺん家に帰った方が良いと思うぞ」
「締め切りは明々後日だ。そんな時間の余裕は無い!追加料金を払う余裕も無い!」
「とは言えだな…」
「口を動かすヒマがあれば手を動かせ!時間は有限であり金だ、特にこの状況下では!」
そうは言われてもだな?目の前にノーブラにTシャツ+ハーフパンツという
無防備にも程がある格好の美少女が居たのでは集中して作業なんぞ出来る筈も無い。
つい昨日までこの部屋に泊まっていたのはサークル(同人の方な)の相方でそこそこのキモオタだった筈なんだがな…
事の発端はコミケ合わせの入稿締め切り直前、コイツん家のPCがお亡くなりになって「入稿までお前んトコに泊まりな」と言って来たので
原稿が遅れ気味だった(かなりヤバめという意味)俺は「原稿を手伝ってくれるなら」と承諾した訳なのだが
今朝、目を覚ますと俺を床に追いやりベッドを占拠していたキモオタは、
胸に手の平サイズの大量殺戮兵器を携えた美少女に変貌を遂げていた。
「兎に角、家族に連絡くらいした方が良いだろ!」
「入稿までココに泊まる事は言ってある」
「そりゃお前が男だった時の話だろ!俺が言ってるのは女体化しちまった事をちゃんと連絡しろって事だよ」
「そんな事したら病院で検査だの役所の手続きだので締め切りに間に合わねーだろ!常識的に考えて」
「常識的に考えたらそっちの方が優先だろうが…」
「いいや優先すべきは新刊だ!初めてコミケのスペースが取れたんだぞ!?必ず新刊は出す!!」
「そうは言うがな…」
「つべこべ言わずにペンを奔らせろ!疾風の如く!」
胸を張るな。胸がッ!?乳首ががががががががg…
「…せめて下着くらい買ってきてくれませんかねぇ」
「あ?だが断る!金は聖地・有明で薄い本を買う為にとっておかねばならんのだ!!」
「俺らの年齢じゃエロは買えんぞ」
「それは適齢までお楽しみにしておくッ……ぐぬぅ」
「そんな涙滲ませて唇噛むほどか…(…可愛いとか思ったら負けだ、冷静になれ俺…)」
女体化したばっかで女としての危機意識を持てってのが難しいのかも知れんが、このままではヤヴァい。
男の一人暮らしの家に女体化したばっかの友人がお泊りとか実に安いエロゲだ。
俺としてはこんな状況下で大切な相棒と間違いを犯したくはない…
家に帰らんと言うなら、せめてこの3日を乗り切る為にガードは固めておいてもらわねば。
「わかった、金は俺が出す!だから買って来い」
「駄目だ!それはお前がまどマギ本を買う為にバイトして貯めた金だろ?こんなコトに使わせる訳にはいかん!」
「どっちにしろ下着は必要だろーが!?いいから買って来いよ!!」
「家に帰りゃどうせ買って貰えるからここに居る間は男物で充分だ!」
「だからイチイチ胸を張んなよ!?乳首ががががががががg…」
「ぬ?あー、お前オレをえっちい目で見てんのか?コレだから童貞は…」
「てめぇだって童貞だから女体化したんだろーがッ!!」
「今は処女だ!!」
「だぁっ!?そーゆーコト言うなよ?!意識すんだろーが!!いいからブラやらパンティーやら買って来いや!!」
「だから、それは無理だって…」
「ッ…あーッ!もぅッ!お前さぁ、ちゃんと鏡見たか?」
「?おぅ、そりゃあ確認の為に…」
「お前、な……今のお前、可愛いんだよ…」
「はぇっ?」
「だからッ…!お前は可愛いんだってッ!!」
「お、おう…まぁ、前のオレとは随分変わって可愛げのある顔にはなったと思うけど…でも、ほら、オレだぞ?中身…」
「それでも、可愛いもんは可愛い、と思…っちまうもんは、仕方ねーだろ…」
「……」
「…俺に、こんな風に思われてキモいだろ?……だから、とりあえず帰れよ?」
「…それは、困る…」
「いや、でも」「可愛いとか…ッ!」「へ?」
「可愛いとか、言われて…何か、嬉しいと、思って…る、から…困る…」
「……へ?」
「うあ、やべッ…何だコレ…どくどくって、心臓とか…コレ…っ」
「え?えっ?」
「…なぁ?…オレ、本当に可愛い、か?」
「えっ?あぁ…はい」
「そっか……そっかぁ……」
「あのぉ…大丈夫か?」
「……なぁ?…おっぱい、とかも可愛くなってるかな?」
「はいぃ?!」
「いや、オレは一応確認したけどな……見て、みたいか?」
「えっ?!ちょ、えぇっ??!!」
「見せて…やろうか?」
「」
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え~と…安価ネタが思い付かないはらいせで書いてみましたが…この続きっていります?
最終更新:2011年09月23日 23:25