クロス『短編集』

『訪問』

辰「まさか先輩が俺の家に遊びに来てくれるなんて・・夢のようです」
翔「おいおい、男同士にアポも糞も無いぜ。そんじゃお邪魔しまーす!」

ガチャ

母「お帰りなさい、祈美もお友達連れて帰って・・辰哉その方は?」
辰「いつもお世話になっている。学校の先輩だよ」
母「あら、いつも息子がお世話になっております。ご迷惑を掛けていないでしょうか?」
翔「いやいや、とんでもない。こっちも辰哉には色々助けられてますんでwwwwwwww」
?「相変わらず、外面は良いのね・・お兄ちゃん」
翔「――ッ!! つ、椿!!!」
祈「糞兄貴のお帰りなり~wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
辰「おいwwwwwwwwwwその表現はヤメレwwwwwwwwwwwwwwww祈美が連れてきたのって椿ちゃんだったのか・・って先輩?」
翔(椿ッ! 辰哉の妹には余計な事言って無いだろうな!!)
椿(さぁ? どうかしら・・)
母「オホホ、賑やかでいいわね」
翔「そ、そうだ。辰哉! 勉強でも見てやるよ」
辰「え? で、でも・・」
翔「固い事言うなよ!! なっ、な!!」
辰「は、はぁ・・」

辰哉と翔は逃げるように部屋へと向かう。

椿(逃げたわね・・)
祈「兄貴にも聞いていたけど・・実際会ってみると椿のお兄さんってカッコいいけど抜けてそうだね」
椿「ま、世間体を一番に気にするからね」
母「椿ちゃんは礼儀正しい立派なお兄さんをお持ちね。そうだわ、折角だから夕飯を一緒に・・」
椿「い、いえいえ・・折角のご好意は有難いですけど、ご迷惑掛けたらいけませんし、両親も私の帰りを待っているので・・」
母「残念ね」
椿(兄の体裁と保とうとする自分の癖が恨めしいわ・・)

166 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 12:27:23.05 ID:iFXS+pOjo
『監督』訪問続き・・

~辰哉の部屋~

翔「ここの問題はこの公式を使えばいいんだ」
辰「な、なるほど・・先輩は頭も良いし、解り易く教えてくれるから羨ましいですよ」
翔「あいつの家庭教師してるからな。このくらいはお茶の子さいさいだ!!」
祈「兄貴~・・ここ教えて」
辰「どうした祈美。また宿題がわからないのか? どれどれ・・って英語かよ!!!!!」
祈「だってぇ・・椿はすでに終わらせて私のPCで音楽ソフトで楽しんでいるし。教えを請おうとしたら一蹴されたwwwwwwwwwwwwwwww」
辰「お前は人を頼ろうとしすぎなんだよ。ちゃんと一人でこなしている椿ちゃんを少しは見習え」
翔「おいおい、辰哉。それぐらいにしてやれよ」
祈「おお~、ありがたや・・どうせわかりっこないんだろうなぁwwwwwwwwww」
辰「うるさい!! それに甘やかしたら余計につけ上がりますし・・」
翔「まぁまぁ、妹は大切にしておけば損は無いしな」
祈「おおおwwwwwwwwまさに兄の鏡やwwwwwwwwwwwwwwwwww神様や仏様やwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
辰「全く・・見せてみろ。って、えっと単語からして和訳はこうやってだな」
翔「・・辰哉、こんな事言って悪いけど。そこ間違ってるぞ」
辰「えっ・・すんません、英語は一番苦手でして」
祈「うはwwwwwwwwwwwwwwバカスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
辰「お前なぁ・・」
翔「さて、祈美ちゃんってだっけ? まずはこの単語についてだがな、こうなっているんだ、解るか?」
祈「おおっ・・解る! 解るぞぉぉぉぉぉぉwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
翔「よし、そこがわかったんなら・・次は問題に出ているこの単語はさっき教えた単語を組み合わせるんだ」
祈「な、なるほど!! そうか、解ったぞ!! この文章を訳せば犯人はヤスで黒幕は博士の裏にまだいるということか!!!!」
翔「正解。この調子で頑張れ」
祈「あなたは神かwwwwwwwwwwww1日でいいから家の兄貴と交換してくれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
辰「コラッ! 調子に乗るな!!! ・・すみません、兄妹揃って勉強見てもらって」
翔「気にすんな。それに兄妹仲を深めることは重要だぞ」
祈「でも椿は夏休みの宿題とかも順調にさっくり片付けて今までどおり私と遊んでいるんだよな」
辰「へぇ~、そうなのか。もしかして先輩が手伝っていたりしてwwwwww」
翔「まぁ、間違ってはないぜ。でも俺が手伝うのは椿が本当に苦しくなった時だけだ、甘やかすのは兄としてもよろしくないしな」

ここから翔が大幅に自分中心で脚色した話が続くので・・真実は以下の通り

~夏休み中旬、椿の部屋~

椿「流石にこの量はきついわ。でもお兄ちゃんに貸しは絶対に作らない、楽をせずに自分で乗り切る!!!」
翔「そんな頑張る椿に俺からの提案」
椿「わっ、お兄ちゃん!! また勝手に人の部屋に・・」
翔「細かいことは気にするな。この夏休み、遊びたい盛りの妹が宿題に苦しむ姿を見ていて兄として心苦しい」
椿(ダメよ、椿! こいつに掛かれば私の夏休みの宿題なんて1日で終わるけど、頼ったら最後よ!!)
翔「既に夏休みの宿題を済ませた俺は偶然にも余力がある。そこで宿題に苦しむ妹を解放してやろう!」
椿「その手には乗らないわ!! 自分のことは自分でする!!!」
翔「今のお前のペースだと夏休み中に宿題は終わるだろう。しかしッ! 遊びやら色々挟めばお前の学力では到底収まらない!! 想像して見ろ、宿題さえなければ長い夏休みはそっくりそのまま遊び放題の期間になる」
椿(だ、ダメよッ!! この男に頼ったらこれからの私の苦労はとてつもないものになるッ! この男の口車に乗せられては絶対にダメよ!!!)
翔「・・椿、ここだけの話だが俺もしょっちゅうあいつと遊ぶのはくたびれる。それに今後の資金を貯めるためにもバイトを更に掛け持ちしようと思う」
椿「な、何が言いたいの・・」
翔「宿題が終われば椿も余計なしがらみに解放されてあいつと遊び放題だ。お前には今まで苦労掛けたからな・・それにあいつからも椿を助けて欲しいと言われたんだ」
椿「せ、聖さんが・・そんなことを?」
翔「さぁ、椿! あいつがお前との一夏の思い出を待ち望んでいるぞ!!」
椿「・・・」

~時間は戻って祈美の部屋~

椿(あの口車に乗せられて私は夏休みの宿題を片付けたけど、お兄ちゃんはその事を盾にして私に後処理ばかり押し付けられたわ・・)
椿「冬休みこそは絶対に口車には乗せられないわ!!」
 

167 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 13:05:44.69 ID:iFXS+pOjo
『とある夏休み』

~夏休み初旬~

狼「ううっ・・今年も宿題は多い」
聖「何、くさった顔してるんだ。宿題ぐらいで」
狼「せ、聖さん・・でもこの量は正直ヤバイですよ!!」
聖「・・狼子、人間と言うのは根性で何とかなるんだ。それを常に引き出すためにも感性を磨き、気力を蓄えるにはどうすればいいと思う?」
狼「そんな方法あるんですか?」
聖「それはな・・徹底的に遊ぶことだ!!!! 夏休みってのはそのためにあるんだぁぁぁぁ!!!」
狼「なるほど!!」

~夏休み中旬~

刹「♪♪」
聖「いやぁ~、夏休み様様!!」
狼「ですよねwwwwwwwwww」
ツン「・・そういえばあんた達は宿題どうしてるの? 量がかなり多いから苦労してるけど・・」
刹「・・私も」
ツン「まさかとは思うけど・・この時期になっても全く手をつけていないわけじゃないでしょうね?」
聖・狼「!!!」
ツン「まさか・・」
刹「・・ここは勉強会を」
聖「甘いぞ刹那!! 今の俺達は根性を鍛えているためにあえて遊んでるんだ!!! チマチマとやるのは俺達の性に合わねぇ・・俺達は根性で勝負だ!!!!」
狼「そう!! 俺達はこの夏休みを平和に過ごすためにも根性で宿題を凌いで見せる!!! 余計な慰めは無用だ!!!」
ツン「・・どうなっても知らないわよ」

 

168 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 13:06:07.74 ID:iFXS+pOjo
続き
~8月30日~

狼「聖さん・・そろそろ宿題をしなきゃまずくないですか?」
聖「うっ――・・ だ、大丈夫だ!! 最終決戦に望む意気込みが大事だ!!! そのためには・・遊ぶぞ!!!」
狼「えっ、流石に・・」
聖「忘れたか狼子!! 俺達は気合と根性で乗り切るんじゃなかったのかッ?」
狼「そ、そうでしたね!! 忘れてました!!!!」
聖「そうだ!! 繰り出せェェェェェ!!!!!!」

~8月31日

狼「・・や、やべぇぇぇぇぇぇ!!! 辰哉ぁ・・宿題がぁぁぁぁぁ」
辰「あれほど少し手をつけとけと・・聖さんと培った気合と根性はどうした?」
狼「うるさい!! 噛んでやるwwwwwwwwwwwwwwwwww」
辰「痛てててて!!!!!! ・・ってこんなことしてる場合じゃないぞ、どうするんだこの量を!!!!」
狼「て、手伝ってぇぇぇぇぇ!!!!!」
祈「お兄ちゃん・・」
辰「祈美!! ・・まさか、お前も」
祈「もうYABEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!」
辰「俺も少し残っているのに・・全く手をつけていない2人の面倒までは流石にみれん!!」
狼「ううっ・・聖さんと遊びすぎた・・」
祈「最高にハイって奴だwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwもうどうにもな~れwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
辰「とりあえず刹那ちゃんに救援は送った。・・頼む、先輩!!!!」

ツー、ツー・・

『お掛けになった電話は、電源が入っていないか通話が・・』

刹那が来るまで辰哉は無意識に空を見ていた。

~翔別荘~

ツン「結局・・」
(; ^ω^)「俺達が」
(;´A`)「手伝う羽目になるのか・・」
翔「すまん・・恐らく辰哉も似たような状況だろう」
ツン「それにしても・・なんで宿題を手につけなかったのッ!!!!!!!」
聖「い、いや・・やろうと思ってたんだけどよ。身体が反応しなくて・・」
翔「狼子と培った気合と根性はどうした。・・というか、お前俺達が気がつかなかったらどうするつもりだ?」
聖「でも別にいいんじゃねぇのか? 高校なんて高い学費払ってるんだから適当に出席して置けばなんとかなるだろ?」
翔「・・少なくとも俺と一緒の大学に行けれねぇぞ」
聖「な、何ッ!! そ、そいつは困る――ッ!!! かくなる上は・・どうしよう?」
ツン・(#^ω^)・(#´A`)・翔「「「「そんな事言っている暇があるなら問題片付けろ――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」
聖「ひぇぇぇ・・」

人脈の強い奴が夏休みを乗りきれる。
 

169 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 14:00:53.75 ID:iFXS+pOjo
『未ちなる世界からやって来た、危険知らずな人・・略して未来人』

~翔の部屋~

翔「今日は土曜日、バイトも休みだし・・何すっかな? ・・あいつとデートするか」

行動に移そうとしたその時、翔の部屋に眩い光が放たれる。

翔「ま、眩しいッ!!」
?「ふぅ~、無事にタイムトラベル成功」
翔「だ、誰だ・・君は?」

光が消えて代わりに現れたのは自分と同年代の美少女。しかもよく見ると聖と瓜二つである。
翔はそのまま落ち着きを取り戻すといつものペースを保つ。

?「さて・・ここはどこかな?」
翔「何だよ。来てたのか・・お陰で連絡する手間が省けたぜ」
?「えっ、この人って・・親父!! 少し若々しいけどママと写っていた写真で見た通りだ!!!!」
翔「お、親父・・? 新手のギャグか?」
?「ゴホン。・・私は未来からきたあなたの娘よ」
翔「へっ・・未来ってどういうことだ? そ、それに・・俺の娘だとぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」
?「ちょ、ちょっと! 親父、慌てないで話を・・」
翔「俺はまだ父親になる歳じゃねぇぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

~小一時間後~

翔「・・つまり、お前は未来からやってきた俺の娘。実用される前のタイムマシンでこの時代にやってきたと?」
?「正解、やっぱりこの時代でも頭いいね。いろいろ制約があって名前とか名乗れないけど、私はあなたの娘・・納得できた?」
翔「できるかぁぁぁぁぁ!!!!!!! それにタイムマシンはどこにあるんだよ」
?「この小さいリモコン。防水、耐熱、頑丈、軽量仕様の優れもの。私の時代に理論が確立されて数度に渡る動物実験と技術的な実験を色々重ねた結果・・現代人の嗜好に合うように開発された優れものよ」
翔「某狸ロボットみたいに机には繋いでないのかよ」
?「ないない。それでこの時代でもお馴染みの平塚グループが開発して起動テストを目的としたプロジェクトの被検体に民間人の私が選ばれたわけ」
翔「ほー・・」
?「それじゃ、私について少しだけ話すわ。年齢は華の中三で特進クラス所属だけど何故か、大学への進路を熱望されているわ・・現にこの時代でも中学から大学への飛び級制度が去年に実験的に実施されて2人の男女がモララー大学へ進学したはずよ?」
翔「あ、ああ・・テレビでも報道されたな。つまりお前の時代には発展して中学から大学への飛び級が当たり前になったんだな」
?「正解。これで私が親父の娘で未来人だと・・」
翔「ちょっと待った。お前が未来に来たのはわかったが、俺の娘である直接的な証拠は無い・・だから、過去の俺について答えてもらおう」
?「えっ! まだ疑ってるの・・」
翔「当然だ、俺の娘なら答えられて当然のはずだ」
?「・・それじゃ、いくわよ。過去の親父は世間体を良くするために自分でおこした騒動の数々を周囲から隠すためにお姉ちゃ・・じゃなかった、椿おばさんにもみ消しをさせていた。それでその最もなのは僅か小学生の椿オバサンを警察の身元引受人に・・」
翔「そ、それ以上は・・」
?「他にも色々あるわよ、広まりつつあった数々の暴力行為をもみ消すために朝礼を利用して椿おばさんを呼び寄せて高らかに自分の無実を証言させたとか・・」
翔「や、やめてくれ!! わかった、お前は俺の娘だ。認める!! 認めてやるからそれ以上はやめろ!!!!」
?「ようやっく認めてくれてありがとう親父! さてここでお願いなんだけど・・1週間ばかり私を預かって♪」
翔「へ? なんで・・」
?「この時代に滞在して向こうに報告しなきゃいけないのよ。痕跡残しちゃ拙いって理由でお金も取り上げられちゃったし・・一文無しなの」
翔「えっと・・それは今の俺では流石に」
?「そんなッ! たった1人の血を分けたか弱い娘がどうなっても良いのッ――!!!」
翔「わかったよ、わかった!!! とりあえず何とかしてやるから・・」
?「さすが親父ね!! 後、私の存在は内緒にしてね。これも規定で決まっているから」
翔「はぁ・・」

とりあえず翔はこの超展開に対応するためにも溜息をつくしかなかった。
 

170 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 14:56:58.49 ID:iFXS+pOjo
~翔・別荘~

?「うわぁ~、私が生まれる前はこんなんだったんだ」
翔「はぁ・・とりあえずは大人しくしろよ」
?「当たり前じゃん、親父以外の人間とは会っちゃいけなんだから」
翔「とりあえずここだったらあいつが持ち込んでる服で当面は大丈夫だろ」
?「調理器具も一通りあるわね、この時代だとツンおばさんか狼子おばさんが作っていたんでしょうけど」
翔「ご明察だ、たまにあいつ等も呼んで騒いだりするよ。・・ってお前この家の間取りわかるのかよ!」
?「だって、今の家に引っ越す前はずっとこの家でいたのよ」
翔「ま、未来の俺もそんなに余裕無かったろうしな」
?「えっとマ・・じゃなかった、彼女がここに来たら私的にはかなりまずいんだけど?」
翔「心配しなくてもこの部屋の鍵は俺しか持っていないし、あいつは合鍵なんて代物は無い」
?「さすがね。・・って安心したらお腹減った。親父、何か買ってきて」
翔「仕方ねぇな。コンビニで何か調達して・・」
?「嫌よ!! あんなの食えた代物じゃないわ、私が食べるのは火の通った料理よ。だからスーパーでこれらを買ってきて」
翔「全く、あいつによく似ているせいか頭がクラクラしてきやがる。未来の俺はよくこんな娘に育てたよなぁ・・」
?「私の時代の親父は嫌な顔せずに買ってきてくれるわよ。これが買い物リスト教えるから携帯貸して」
翔「おいおい、メモでも・・」
?「メモだったら筆跡で私の存在がばれるでしょ!! ・・はい入力終了、これがリスト。後はよろしく~♪」
翔「わかったよ。んじゃ行ってくる・・」

~ギコギコスーパー~

翔「えっと、調味料に大根とごぼうと鶏肉っと・・後はジャガイモに牛肉と人参に白滝にゲッ、米まであるのかよ!!」
狼「あっ、先輩だぞ!!」
辰「ほんとだ。珍しく買い物かな? 先輩~!!」
翔(ゲッ、辰哉に狼子かよ・・まずはこいつ等からやりきらなきゃいけねぇのか!!!)
辰「あれ、買い物ですか? それにしてはかなり大量に買いこんでますね」
翔「まぁな。親から頼まれてな・・お前達も買い物か?」
狼「ええ、晩御飯の用意です」
辰「これから狼子の家で食べるんですけど・・よかったら一緒に来ますか?」
狼「いいなそれ!! それなら友や刹那やツンさんに聖さんも呼んで・・」
翔「(ま、まずい!)いや・・またの機会にしようぜ。それに折角2人きりなんだから邪魔するわけにはいかねぇよ」
辰・狼「「/////////」」
翔「ま、俺のことは気にせずに楽しんどけよ。・・そんじゃあな!!」

そう言って翔は2人の元を立ち去るが、残された狼子と辰哉は翔の挙動不信振りが少し目に付いてしまう。
ちなみに家の買い物だと翔は述べていたのだが、2人はまるっきり信じてない。

辰「しかし、随分買いこんでたな・・先輩ももしかして聖さんと一緒なのか?」
狼「あのな・・聖さんはああ見えて料理はからっきしなんだよ」
辰「マジかよ。初めて聞いたぜ・・あの人にも弱点があったんだな」
狼「意外だろ。でも本人は習得する気なさそうだけど・・」
辰「おっ、これ安いな。買ってくかwwwwwwww」
狼「無視するとはいい度胸だ!! 噛んでやる!!!!!!!!!」
辰「痛てててててててぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
店員「お客様、他のお客様のご迷惑となりますので・・」
狼・辰「・・すいません」

翔「・・あいつ等、何やってんだよ。っと、俺もさっさと買い物済ませねぇとな」
 
 

171 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 15:44:42.64 ID:iFXS+pOjo
~翔・別荘~

?「あっ、親父。お帰り~」
翔「ただいま・・って、随分片付いているな。服も洗濯されている・・お前がやったのか?」
?「女の子なんだから家事ぐらい出来て当たり前でしょ」
翔「これが俺の娘なのかよ。・・その技術を少しでもあいつにも見習させたい」
?(そっか、まだこの時代には・・でも親父、その願いはちゃんと叶うわよ)
翔「何か言ったか?」
?「別に・・それじゃ、作るから親父はお風呂でも入って・・汗かいたでしょ?」
翔(こんな娘に育てるとは・・未来の俺は立派なんだな)

・・・・
・・・
・・


翔「ふぅ~、サッパリした。おおっ・・煮物に唐翌揚げとは豪勢じゃねぇか!」
?「親父が買ってくれたからね。さて、いただきま~す!」
翔「う・・美味い!!! しかしこれはいつぞや食べた狼子の料理の味に似ているな」
?(似てるも何も・・直伝ですから)
翔「だけどよ・・なんで俺のことは親父なんだ? もしかして反抗k・・ぶべらッ!!!」
?「そんなわけないでしょ!!!!」
翔「い、いきなり顔面パンチかよ・・」
?「全く・・ま、物心ついた時から親父って言ってたわね。初めて言った時は覚えてないんだけど、随分ショックだったみたいね」
翔「そりゃ、自分の娘に親父って言われたら誰だってショックだろ。・・それじゃ次の質問」
?「答えられる範囲で宜しければ」
翔「未来の俺達はどうなってるんだ? 多少はいいだろ?」
?「ま、自分の未来を知りたがる気持ちはわかるけどね。・・えっとね、まず親父と辰哉さんは一緒の職場の先輩後輩ね」
翔「へー、あいつ等と長い間つるんでるんだな。家族ぐるみの付き合いなのか?」
?「ご想像にお任せします。あとね・・沙樹さんともご近所さんだから交流はあるわよ」
翔「沙樹さん・・って応援団の団長かよ!! 何だか凄いな・・」
?「はい、私が話せるのはこれで終了。後は未来的な事情で話せません」
翔「何だよ、タイムパラドックスって奴か? 黙ってるからもう少しだけ教えてくれよ、俺なら親の言うことを聞きなさい!!」
?「禁則事項です。それに親の権限を勝手に振り回すのは教育上よろしくありません、今度似たようなことしたらウオッカを原液ごとぶち込むわよ」
翔「まだ内蔵は大事にしたいからやめてくれ・・」
?「よろしい」

~翌日~
?「親父~、どっか連れてって!!! 出来れば親父の友達に会わないところ」
翔「藪から棒に滅茶苦茶な事を・・」
?「そうね、繁華街は親父が知り合いに会うとまずいから・・この遊園地ね!!」
翔「また勝手に決めて・・って、ここ県外じゃねぇか!! 俺は金にも余裕がねぇんだよ、却下だ却下!!!」
?「娘に尽すのが親の役目でしょ。それにこういった遊園地は私の時代になくなってるからここ行きたい~!!!」
翔「ダメなものはダメ! ワガママ抜かすんじゃありません!!!」
?「なんでよ!!! 娘とのデートって父親の最大の喜びでしょ!!!!」
翔「それを喜ぶのは仕事で鞭打っている中年親父だろ!!! 俺はまだその年代じゃねぇ!!!」
?「お願いお願い!! それにおじいちゃん所の車で行けばそんなにお金掛からないでしょ」
翔「実家に借りろってことか・・ま、免許あるし適当に言いつくろえばなんとなるかな」
?「さすが親父! それじゃよろしく」
翔「ハァ・・未来の俺を恨むぞ」
 

172 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 16:35:48.33 ID:iFXS+pOjo
~遊園地~

翔「ハァ・・」
?「親父! 次はあれに乗ろう!!!」
翔「わかったわかった。それにここで親父はやめてくれ・・」
?「どうして? 私にとって親父だし・・」
翔「あのなぁ、俺はまだ十代だ。それに傍から見たらどう見たってカップルだろが・・」
?「う~ん・・仕方ないな」

~夕方・道中~

翔「気は済んだか?」
?「楽しんだらお腹減っちゃった。作るのめんどくさいから外で済まそう」
翔「お前は自分の料理しか食わないんじゃなかったのかよ・・」
?「だったら親父が料理作ってくれるの?」
翔「はぁ!? 俺が料理なんて出来るわけねぇだろ!!!」
?「知ってる。・・あっ、あそこでご飯食べよ!」
翔「あそこって辰哉のバイト先じゃねぇか!! お前、俺の知り合いと会っちゃダメなんだろ。それにお前はあいつとかなり似ているから変な勘探りされても困る」
?「え~・・でもハンバーグが食べたい!!」
翔「わかったから大人しくしろ!! それにここら辺は俺の地元なんだから見られないように隠れておけ!!」
?「それなら心配ありません~!! このタイムマシンは他にも色んな機能あってその1つの機能である光学迷彩で私の姿を隠してくれます、つまり他の人からは車内は親父一人が運転しているように見えてます」
翔「だから親父から車受け取る時も姿隠していつの間にか車内にいたのか・・って、そんな便利な機能あるなら県外じゃなくても近場でもいいじゃねぇか!!」
?「あのね、こうして車内で移動するならいいけど外に出たら不自然でしょ。本来なら目的の時代に到着した瞬間に全ての人間の記憶を書き換えて擬態する機能は欲しいんだけど、残念ながら私の時代じゃまだそこまでの実現できないの」
翔「光学迷彩やタイムマシンの時点で凄いと思うんだけど・・」
?「そもそも私の時代のタイムマシンは潜入を目的として作られたものなの。時間旅行なんてされたら歴史書き換え放題じゃないの」
翔「な、なるほど・・それだったら並行世界についても研究されているのか?」
?「ハァッ? パラレルワールドなんてあるわけないでしょ、どこぞの闘争人間じゃあるまいし」
翔「タイムマシンが実現していて並行世界の存在を否定するとは・・変な世界だな」
?「そんな事より親父! ハンバーグはまだ!!」
翔「あぁ~!! もう少しだから大人しくしてろ!!!!」

~ハンバーグ専門店、天帝~

翔「ほら、好きなもの食え。ここは個室もあるから姿見られる心配ないだろ」
?「さすが親父。私の事考えてくれるなんて、マ・・じゃなかった彼女が惚れるのもわかるわ!」
翔「何言ってるんだか・・」
?「それじゃ、このモンちゃんバーグにマヤのサラダね!!」
翔「あんまり食べ過ぎると太るぞ」
?「その分運動しているのでご心配なく~」
翔「そうだ、肝心な事聞いてなかった。・・なぁ、お前等の時代になったら女体化はどうなってるんだ?」
?「え――・・女体化?」
翔「おいおい、未来人なのに女体化がわかんねぇのかよ!!」
?「・・・」
翔(あれ? 空気的に考えて聞いちゃまずかったのかな?)
?「・・タイムマシンが作られた理由はね、様々な時代に潜入して歴史の真実を明らかにするのが目的もあるんだけどそれ以外にも女体化の原因を探るためでもあるんだ。女体化は医学的にも驚異のメカニズムだからね」
翔「もしかして・・お前の時代にも女体化は存在しているのか?」
?「それは答えられない。・・ただ、はっきりと言えるのは女体化という存在は私の時代にもあるってこと」
翔「・・」
?「ごめん、変な空気になったね」
翔「いや、俺も変な事聞いて悪かった。・・とにかくお前の時代にも女体化はあるってのはわかったよ」
?(・・女体化、確かこの時代には常識になってるんだよね。そしてそれに関わっている偉大な人物も存在している)
翔「ほら、さっさと頼めよ。・・ハンバーグ、食いたいんだろ?」
?「うん! さっ、たくさん食べるわよ!!」
翔「お手柔らかにしてくれよ・・」
 

173 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 17:17:17.06 ID:iFXS+pOjo
~3日目~

翔「悪い、今日は帰ってからあいつと過ごすから適当にしてくれ」
?「はいはい。彼女とよろしく頑張ってね」
翔「それと俺は基本的に平日は学校とバイトだから顔だせる機会が少なくなるかも知れんから頼むな」
?「わかってるわよ。私もそろそろレポート纏めなきゃいけないからここに居るわ」
翔「そうか。なるべく顔出すようにするから・・じゃあな!!!」

~4日目~

?「ハァッ!! なんでここに彼女連れてくるのよ・・私は親父以外の人間と会っちゃダメなのよ!!!」
翔「例の光学迷彩で何とかしてくれよ」
?「・・わかったわよ。レポートをタイムマシンにしまうから」
翔「恩に切る!!」

ピンポーン

聖「おいッ! さっさと開けやがれ!!!!」
翔「うわっ、もう着やがった・・」
?「よし、光学迷彩始動。これで彼女には私の姿見えないはずよ」
聖「早くしやがれっ!! さもなくば・・」
翔「わかったわかった!! すぐに開けるからちょっと待ってろ・・」
聖「ようやく開けやがったか」
翔「お前な。近所迷惑も考えてちょっとは大人しくしてろ、借金取りに追われてるんじゃねぇんだぞ!!」
聖「だったらさっさとしろ!!! ・・ん、何か人の気配がするな」
?(えっ!! ちゃんと隠しているはずなのに・・)
翔「き、気のせいだろ」
聖「・・ま、他に浮気しやがったらてめぇの命はこの場でなくなっているからな」
翔「浮気するわけねぇだろ。お前相手に浮気する奴はホモだ」
?(ちょ・・ちょっと! 実の娘がいるのにやることやっちゃうの!!)

~5日目~

翔「悪い!! 今日もだ!!!」
?「えっ、またなの!!!!」
聖「扉をぶち破られたくなかった早く開けやがれぇぇぇぇ!!!」
翔「早く光学迷彩を!!!!!!」
?「この親父は・・!!!」


~6日目~

?「・・・」
翔「・・なぁ、そろそろ口聞いてくれよ。お前利用してあいつ連れ込んだのは悪かったからよ」
?「2度も親の性交シーン見せつけられてまともな娘はいません」
翔「ハァ・・」
?「このタイムマシンってね、動力はS2機関の如く永久機関でね。その手にありがちな動力不足による機能不全は無いの」
翔「・・何だよ、いきなり」
?「後ね説明していなかった機能だけど・・攻撃翌用に超電磁を放つの♪ それが身体に直撃した場合、どうなると思う?」
翔「そ、それって・・」
?「超電磁だから痛みを感じずに身体は瞬時に灰と化すわ。・・頭のいい親父なら私の言ってる事わかるわよね?」
翔「お、おい!! 俺がお前の親なら俺を消してしまったら・・」
?「・・あのね、歴史って修正する事が出来るの、例えば私が過去に飛んで親父を誘導すれば分岐点となる別の未来が発生する、それで親父をそこに誘導してパラドックスが発生する前に速やかに今の時間に戻って親父を殺せばこの時間は消滅して修正完了。この理論はタイムマシンの開発段階で証明されてるの♪」
翔「わ、わかったよ・・すまなかった」

~最終日~

翔「今日は登校日だから学校へ行ってくる・・」
?「行ってらっしゃい、私もレポート終わったからね」
翔「そうか・・今日でもう一週間か」
?「長いようで短い期間だったけどこの時代を堪能出来て楽しかったわ」
翔「じゃ、父の日は未来の俺にちゃんと感謝しろよ。それじゃあな!」
?(でも元の時代に帰る前に最後にやる事が残ってるのよね。・・でもレポートも終わったし、このまま帰るのは惜しいわ)

 

174 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 18:19:15.55 ID:iFXS+pOjo
~特進クラス・教室~

翔(ハァ・・思えば奇妙な一週間だったな。自分の娘と過したって言っても誰も信じないだろうし)
巌「どうした中野、ここ一週間でげっそりと痩せたんじゃないのか?」
翔「・・宗像か。なぁ、もし未来から自分の子供がやってきたらどうする?」
巌「おやおや、痩せたのは心身的な疲労が原因か。春日先生にでも診てもらったらどうだ?」
翔「おい!! 俺は別にどこも悪くはねぇし、至って正常だ」
巌「ふむ・・」
沙「面白そうじゃないか」
翔「今度は藤堂か・・ま、お前でもいいや。お前は未来から自分の子供がやってきたらどうするんだ?」
沙「愚問だな。今の俺の生き様を示すだけだ! それに未来なら女体化だって治っているだろ、俺は元の男に戻って家庭を築いているはずだ」
翔(なぁ、お前のとこの団長。変な妄想癖あったか?)
巌(何、未来なんて誰もわからない。案外そういった事が起きているのかもしれないぞ?)
沙「しかし、未来と言えば・・私から団長の跡を継ぐのは誰だろうな。そろそろ後継者も視野に入れなければいけないし」
翔「心配しなくてもこの学校の応援団は当分は滅ばねぇよ」
巌「そういえば相良君はまだ登校していないようだな」
翔「知るかよ。俺に聞くな」

先生「お~い、席に着け。授業始めるぞ」

~???~

?「さて、もう光学迷彩解除しても大丈夫ね」

?は人がいないことを確認するとタイムマシンの光学迷彩を解除する。自分の親である翔が育ったこの時代・・今の自分の知っている風景とはかなり違うが、それでも降り注ぐ太陽や身体を注ぐ風は自分の時代と何ら変わりは無い。

?「最後の仕事する前に最後の観光場所は・・やっぱり、親父の通っている学校よね!!」

そして?は翔が通っている学校へと向かう、そこで巻き起こる騒動は未来人である彼女ですらも知らなかった。


~お昼休み・生徒会室~

長谷川 友は立派な生徒会役員、彼女は書記の当番に当たってしまったのでお昼を食べたらすぐに人数文のプリントを印刷して放課後に行われる会議の準備をする。

友「さて、書類の配布はこれで終わりね。ハァ~・・疲れた」
奈「お疲れさま、長谷川さん」
友「奈美会長!! どうしたんですか?」
奈「ちょっと欲しい資料を取りにね」
友「そういえば生徒会の会議にはいつも応援団の人も出席しますよね。あれって何でですか?」
奈「応援団の活動内容は知っているでしょ? 各部活を取りまとめる応援団は生徒会の方針に沿って予算の分配や各部活の詳細な実体を生徒会の会議で報告しなければいけないの」
友「でもそれなら会議に出る必要は・・」
奈「応援団は各部活を取りまとめるだけじゃないわ。部活に関しての協議は応援団を通して行われるの、だから各部活は生徒会に要望が在れば応援団を通さなきゃいけないし応援団も部活要望を生徒会に通したり、生徒会が部活勝手にを廃部にしようとした場合はその議案を拒否する事も出来る」
友「と言うことは・・各部活は生徒会に関しては応援団を間に通さなきゃいけないんですね。つまり応援団は各部活を抑止と同時に生徒会の不都合から各部活を守る義務があると」
奈「平たく言えばそういうことね。他にも学校の治安に関しても応援団を通さないとダメなの。それで代々応援団の団長が生徒会の会議に出席しなきゃいけないんだけど・・」
友「そういえば藤堂さんが出席したの最初の挨拶以来、見てないです。代わりに宗像君を見かけますけど・・」
奈「彼女、ああいったの苦手みたいね。代わりに宗像君が出ているけど・・」
友「何か問題でもあるんですか? 私から見れば彼のお陰で円滑に回っているように見えるんですけど」
奈「傍からわね・・彼隙が無いからこっちからの部活の予算圧縮をかわされてしまうのよ。おかげで採算が取れないって会計から文句が出てるのよ」
友「はぁ・・」
奈「ま、今回の会議では何とかするわ。長話してごめんなさいね」
友「いえ、振ったの私ですし・・それじゃこれで」
奈「・・女体化して生徒会に身を置いているけど男女平等ねこの仕事」

溜息を突きながら奈美は目当ての資料を探し出す。

 

175 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 19:00:50.18 ID:iFXS+pOjo
~同時刻・校庭~

さてこちらは桃井リーダー、彼は至福の時を過ごそうとしているが話の展開からしそうは問屋は降ろさない。

桃「ふぅ~、やっと昼だ。今日の弁当は・・って、あれは相良 聖!!」
?「ここが親父の通っている学校ね。私の時代だと超名門校になってるけど、ここに進学するのもの・・ね」
桃「相良さんッ!! 今、何時だと思ってるんですか!!」
?「え? 相良って・・私のこと!?」
桃「あなた以外誰がいるって言うんです!! それに・・私服で登校するなんてもってのほか!!!」
?(ヤバイ! 光学迷彩を発動させるの忘れてたのね。まずいわ、この状況・・どうしよう)
桃「とりあえず、生徒会で制服を取りに・・グハッ――!」

桃井の腹部に?の重い一撃が放たれる。桃井の意識は暗黒へと消え去る・・

桃「またこの役目か・よ・・」
?「ご、ごめんなさい! 早く親父を・・」
団員1「も、桃井!!」
団員2「あ、あれは・・相良!!! 先輩、桃井リーダーをやったのは相良ですッ!!!!」
団員1「なんてこった・・早く団長に知らせねば!!!」
団員3「どうしたどうした!!! って、相良ッ!!!」
?(ま、まずいわ・・こうなったら全員叩きのめすしかないわ。いつも道場で団体戦しているから大丈夫だけど・・手加減できるかな)


~特進クラス~

団員「大変です、団長!! さ、相良がまた暴れてます!!」
沙「何だと!!!」
翔「おいおい・・マジかよ!!」
巌「状況は?」
団員「はい、我々で抑えようとしてるんですけど・・全滅は時間の問題かと」
巌「わかった。お前は負傷人を手当てしろ」
団員「押忍!!!!!!」
巌「さて、俺達も・・って、もう遅いか」

~校庭~

すでにそれ相応の団員の屍が?によって形成されており、?は騒動の大きさに内心困惑してしまう。

?(まずい・・早く親父と会わないと!! この時代の応援団団長は・・)
沙「相良ァァ――!!!!!」
団員「おおお!! 団長が来てくれた、ここは団長に任せるんだ!!!!」
?(遅かった・・沙樹さん相手で逃げるのはかなりキツイけど、やるしかない!!!)
沙「貴様、これだけの騒ぎを起こして置きながら私服で登校するとはいい度胸だ!!!」
?「え、えっと・・」
沙「問答無用!!!!」

沙樹が?に飛びかかろうとした時、単車に乗った翔が颯爽と現れる。

?「親父!!」
沙「お、親・・?」
翔「何してる! さっさと乗れ!!!」
?「助かるわ!!!」
翔「悪いな、藤堂。逃げさせて貰うぜ!!!!」

翔は?を乗せてそのまま単車を爆走させ、単車は明後日の方向へと爆走させる。唖然とする藤堂に宗像が肩に手を置く。

巌「見事に逃げられたな。・・どうする?」
沙「決まってる!! 残っている奴等で追うぞ!!!!」
巌「やれやれ・・」

 

176 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 19:35:20.72 ID:iFXS+pOjo
~道中~

翔「お前、何やってるんだ。未来に帰ったんじゃないのか!!」
?「いや、まだやる事があって・・」
翔「それにお前は俺以外の奴等に見られたら行けないんだぞ。不用意に外出するな!!!」
?「ごめんなさい・・」
翔「・・ま、起こしてしまったものは仕方ない。これからどうするんだ?」
?「とりあえず、私が用があるのは親父だから誰もいないところで。幸い彼等は私をマ・・じゃない、彼女と勘違いしているみたいだし」
翔「・・な、お前の母親ってもしかして?」
団員A「いたぞ!!! 中野と相良だ!!!!!」
翔「ゲッ、こんな所まで・・ここまで来たら答えて貰うぞ!!」
?「禁則事項だから無理!! そんなことよりも彼等振りきってよ!!!」
翔「簡単に言ってくれるぜ。・・ってあいつ等も原付で対抗してるのかよ!!!」
団員達「待てェェェェェェェ!!!!!!」
沙「待てッ!! 宗像、構わん飛ばせェェェェェ!!!!!!」
巌「買って貰った単車がこういう形で役に立つとは・・」
?「ちょっと!! 向こうも単車よ!!!!」
翔「クッ! 少々荒っぽい運転になるけどしっかり掴まれよ!!!!」
?「う、うん・・親父を信じるッ!!!」

本日、相良 聖は体調不良で遅れてしまった。最初は周囲に信じて貰えなかったのだが、病院から礼子に繋いでもらい何とか正式に遅刻として扱われた。

聖「あ~あ・・狼少年の気持ちが良くわかるぜ。・・ん?」

そんな聖の隣を1台の単車が通り過ぎる、聖の驚異の動体視力は単車乗り主である翔と・・その後ろに乗っている?の姿を捉えていた。

聖「あれは中野と・・女? あいつが俺以外の女と単車に乗っている・・あの野郎ォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!」
団員「待てェェェェェェ!! ・・って、貴様は相良ッ!! な、何故ここに・・ふべらッ!」

偶然通りかかったのは一番やりをもくろむ1人の応援団団員。聖の姿を見つけるや否や原付を止めたのだが・・聖の蹴りによって瞬時に意識を失う。翔が浮気をしたと勘違いした聖は怒りに燃え、体調を一瞬で壮快させると原付を奪い追跡する。

聖「あの野郎・・俺がいながら浮気するとはいい度胸だ!!!!! 待ちやがれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!」
巌「お、おい・・あの原付に乗ってるの相良じゃないのか?」
沙「何ッ・・」

宗像は距離を縮めると確かに原付に乗っているのは他ならぬ相良 聖であった、しかし目は血走っており般若のごとき表情で翔の単車を追う。

沙「さ、相良・・丁度いい、さっさと降りろ! 俺と勝負の続きだ!!!!!!」
聖「うるせぇぇぇぇぇぇ!!!!!!! こっちは今取り込み中なんだ!!!!! 邪魔すんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

怒りに燃える聖に原付は本来持っているリミッターを解除して驚異的なスピードを出して宗像達を突き離すと、遂には翔が乗っている単車が視界に入る。

?「ちょ、ちょっと親父!!」
翔「どうした! そろそろ振りきれたか? ってさっきから向かってくる原付は何だ、単車に並ぶなんて相当だぞ」
?「その原付・・親父の彼女!!!」
翔「何だとぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
聖「待ちやがれェェェェェェ!!!!!!!! 浮気した報いを思い知らせてやる!!!!!!!!!!!!!!!」
沙「宗像、こっちもあいつ等を追うためにフルスピードだ!!!」
巌「・・その事なんだが、非常に言い難い事実がある」
沙「どうしたッ! 応援団員たるもの根性を・・」
巌「もう少しでこの単車はガス欠だ。このまま奴等を追うのは不可能だ」
沙「なんだと・・」

奇妙なバイクレースが繰り広げられている中で先頭に立っている翔は何とか振りきろうとするが、相手が相手なので振りぬけずにいた。

翔「おい!! こっちもそろそろガス欠が近いぞ!!!!」
?「ええええ!!!!! 根性で持たせてよ、親父!!!」
聖「大人しく止まりやがれェェェェェェ!!!!!!!」
沙「待ちやがれッ! さっさと止まれェェェェェェ!!!!!!!!!」
翔「あの連中じゃ根性で乗り切れねぇよ。このまま振りきるのだって・・」
?「・・仕方ないわ。出来れば使いたくなかったけど、この状況を打破するにはあれを使うしかないみたい。親父、いい?」
翔「この状況が何とか出来るならやってくれぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
?「わかった。エネルギーオーバードライブ!! 座標セット! ・・行くわよ、空間転移!!」
翔「え?」

翔と?を乗せた単車は綺麗さっぱり消え去った。
 

177 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 20:16:40.84 ID:iFXS+pOjo
~浜辺~

翔を乗せた単車は?の手によってこの浜辺へと転位した、翔は慌ててキーを抜いて単車は止めるものの2人は衝撃によって振り落とされてしまう。

翔「痛てて・・大丈夫か?」
?「受身取ったから何とかね・・」
翔「流石は俺の娘だ」
?「海が綺麗・・私の時代と何ら変わりない」
翔「あんなことがあったのに現金なもんだな。・・そこが、母親であるあいつに似ているぜ」
?「えっ!! ちょ、ちょっと・・私は!!」
翔「お前の母親はあいつなんだろ。・・全く、俺達はロクでもねぇ娘を生んだものだ」
?「・・あ~あ、ばれちゃったか。過去の人間に情報与えちゃまずいんだけど」
翔「別にバラして無いんだから大丈夫だろ。・・それにそのタイムマシンはすげぇな、空間転移なんてゲームの世界だけかと思ったぜ」
?「タイムワープの応用よ。本来なら莫大なエネルギーが必要なんだけど永久機関であるこのタイムマシンだからこそ可能なの。それにこの時代にこのタイムマシン理論の骨子となる理論が提案されてその科学者達が資金援助のために平塚グループを頼るの、私がいた時代ではそれが承認されて平塚グループの援助のお陰で長い時代を経てこのタイムマシンは完成されたってわけ」
翔「お前の時代は相当すげぇ科学力なんだな」
?「まぁね。この時代で解明されていない難解な数学の定理もある程度証明されているし、医学だってこの時代では治療不可能だった病気もそれなりに解析されているし、中には治療法だって確立されているのもあるわ」
翔「未来ってすげぇな」
?「違うわ、人が試みて失敗してそれを学習して・・その繰り返しが未来を刻んでるの。過去の人のお陰で現実が在るんだって・・この時代に来る前に親父は言ってくれた」
翔「さすが、俺。未来でも娘にはガツンと言ってるんだな」
?「親バカだけどね。・・実は私悩んでたんだ、ママが女体化した人間だって聞かされてたけど・・この時代の親父とママを見て吹っ切れそう」
翔「・・そうか。な、もう一つお願いがあるんだけど?」
?「何?」
翔「お前の名前・・教えてくれよ。きっと俺達は色んな想いでお前の名前つけたんだろ?」
?「・・・“希”、中野 希。それ私の本来の名前」
翔「希か・・いい名前だな」
希「ありがとう。親父・・じゃ、最後の仕事するね」
翔「お、おい・・何リモコンを俺に向けてるんだ。ま、まさか超電磁で俺を――――!!!!!」
希「さようなら・・親父」
翔「お、おい・・・」

希はタイムマシンのボタンを押すと、翔は気絶する、そして少し躊躇してしまうがボタンを上空に向けて押す。

希「未来から来た私は決して過去に痕跡を残してはいけない・・それは接触した人間に対しても例外じゃない。
過去の人間に接触していい規格が1人なのは削除し易くするため・・今押したボタンは私と密接に接触した人間の記憶を操作して削除するボタン。目が覚めたら、親父はもう私の事を覚えていないし、決して思い出すことはない。消された記憶を思い出すのはこの時代のあらゆる技術を持ってもそれは不可能・・私のことは永久に思い出せない。
そしてさっきのボタンを上空に向けて押せばこの時代の人間達は私の事を忘れ去ってしまう。


でもね、さっき親父には嘘ついてたの・・私の父親は確かに親父だけど母親に関しては嘘。だって私がいる未来なんて・・結局は過去の人間のちょっとした行動ですぐに変わってしまうのだからね」

そして希は翔に視線を少し移した後、タイムマシンのボタンを押してこの時代から消え去った・・
 
 

178 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 21:23:14.24 ID:iFXS+pOjo
翔「うっ、うう・・」
聖「ようやく気がついたか」
沙「全く、何でこんな浜辺にいるんだ?」
巌「ま、若さゆえの衝動と言う奴じゃないのか?」
翔「お、お前等・・俺はどうしてここにいるんだ」
聖「知るかッ!!! 俺達も気がついたらお前を追っていたのは覚えてるんだが・・」
沙「そうだッ! 相良!! 貴様は・・」
聖「やるか!! 何故だか知らねぇが俺は今、無性に気が立ってるんだ!!!」
翔「お、おい!! やめろ!! というか宗像もこいつ等止めろ!!!」
巌「全く・・」

2人が聖と沙樹を止めようとした時・・単車が爆発する。

沙樹・聖「な、なんだ!!!」
巌「どうやら、中野が乗ってた単車が爆発したようだな」
聖「お前・・単車乗れたのか?」
翔「い、いや・・俺も余り良く思い出せないんだけど教職員の駐車スペースにあった単車をかっぱらってお前等とデットヒートしたのは覚えてるんだけどな」
沙「教員の単車をパクるとは・・いい根性してるな。見た限りもう使い物にはならないな」
聖「持ち主の先公は不幸だよな」
巌「恐らく、無理な運転がたたって爆発したんだろう。・・中野、お前が持ってるのは単車のキーじゃないのか? 見たところ名札もついているようだし、持ち主は特定できそうだぞ」
翔「本当だ。えっとreiko kasugaだと・・? もしかしてこの単車・・礼子先生の・・か・よ・・・・」

持ち主が判明したところで、全員は翔に背を向ける。

聖「ま・・謝れば何とかなるんじゃないのか・・?」
沙「人は誠心誠意謝れば心は動く」
巌「春日先生のことだ、あんな古い型の単車を所有してるのだから相当愛用があったのだろう」
翔「お、おい!!!!!! お前等、俺を見捨てる気か!!!!!! 責任の一端はお前等にもあるぞ!!!!!!!!!!!!」
沙「記憶が無いが、恐らくお前は俺達に追いかけられるような事をやらかして逃亡のために単車を使ったんだ。残念だ、お前は相良と違って賢明な人物だと思っていたのだが」
巌「まぁ、運ぶのは手伝ってやる」
聖「諦めろ。誰が見たって礼子先生の単車を壊したのはお前だ。観念しろ」
翔「は、薄情者ォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

黒煙を上げている単車がある浜辺には翔の悲痛な叫びが木霊する・・


 

179 名前: ◆Zsc8I5zA3U [sage] 投稿日: 2011/11/06(日) 21:23:45.18 ID:iFXS+pOjo
~???~

無事に自分の時代へと戻った希は待っていた両親と再会する。

希「親父、ママ!!」
?「おかえり、希。今回の時間旅行はどうだった?」
希「うん。色んな事が合ったけど楽しかったよ」
?「若い頃のこいつはどうだった? 随分だらしなかったろ」
?「お、おい!! 娘に変な事言うな!!!」
?「何だよ! てめぇがだらしねぇのは事実だろ!!!!」
?「お前だってな・・!!!」
希「親父は・・今と一緒だったよ。私に優しくしてくれて色々連れてってくれたよ」
?「おおっ! さすが昔の俺だ!!!」
?「そりゃ、自分の娘を蔑ろにする奴は親じゃねぇ!! 希は俺の立派な娘だからな」
?「まぁな」
希「後、それにね・・今と同じようにママとラブラブだったよ!!」
?「な、何言ってるんだ希!!! 俺とこいつはな・・」
?「全く、過去まで行って俺達の何を見ていたのやら・・」
希(これが私の両親だよ。・・昔の親父も早く私に会いに来てね)

~時代は戻って平塚コーポレーション社長室~

明「何だこの書類は?」
兼「とある科学者からの資金援助の嘆願書だ。何もタイムマシンの研究らしいが・・」
明「タイムマシンか・・開発に成功して実用されたら人類にとって劇的な発明になるな」
兼「ああ、まだ解明されていない歴史の真実が明らかになるし、もしかしたら戦争の根絶にも期待は出来るな。・・・それでどうするんだ?」
明「当然・・却下だ!!! タイムマシンなどという夢現抜かしている科学者集団など当てにならん!! それに人間は過去を振り返って未来を見据えて進んできた・・それに無闇に歴史を変えられたら俺達の築き上げたものが台無しにされる!!!!!!!」
兼「わかったわかった。理由つけて突っぱねておく」
明「それにこのような理論を抜かしてる目ぼしいパラノイア集団に徹底的に圧力を掛けろ。場合によっては実力行使も許可する」
兼「おいおい、実力行使とは物騒だな。やりすぎはよくないぞ・・」
明「このような理論が実現されるよりマシだ。関係機関を通じて俺から手配する」

こうしてタイムマシンを定義する科学者達の名実と発言は表裏の世界から完全に失い、タイムマシンに関する理論や論文は闇に葬り去られて二度と出る事は無かったそうだ。

~保健室~

あれから4人は単車の所有者である礼子に恐る恐る事情を説明する、心なしか無表情の礼子が4人に恐怖感を与えさせる。

巌「というわけです」
礼子「つまり、私が長年苦楽を共にして来た相棒は見事に鉄屑と化したと・・」
沙「我々も何とか修復しようと試みたのですが・・」
聖「気をしっかり持ってくれ。おい、おめぇが原因なんだから何とか言え!!!」
翔「礼子先生。そ、その・・」
礼子「・・事情はわかったわ。相良さんに藤堂さんに宗像君は帰っていいわよ」
聖「し、しかし礼子先生。こいつも悪気が合ったわけじゃ・・」
礼子「いいから、さっさと帰りなさい――」
聖・沙樹・巌「「「は、はい。・・失礼します」」」

礼子の有無を言わせぬ発言により、3人は保健室を立ち去る。それに3人は礼子の只ならぬ雰囲気に身体を震わせる・・それは武者震いでも無く、純粋な逆鱗によるものだったのは言うまでもない。

翔「す、すまねぇ!! あれはその・・俺もよく覚えてないんだけど、あれは多分・・」
礼子「皆まで言わなくていいわ。事情考えても事故だしね」
翔「弁償は当然する!! 今回は許し――」
礼子「許すわけねぇだろ!!!!!!!!!!!! 記憶が無いィ~? 人を舐めるのも大概にしろッ!!!!!!!!!!!!」
翔「だけど・・礼子先生だって鍵つけたまま放り出してじゃねぇか」
礼子「ハァ!! 教職員専用のスペースから俺の相棒をガメてきたてめぇが言うなァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!! あれは俺が男の時から共に乗ったかけがいの無い相棒だぞ!!!!!!!!!!!!!」
翔「気持ちはわk」
礼子「単車は買えるが思い出は買えるわきゃねぇだろ!!!!!!!!!! さぁ、覚悟はいいな・・中野ォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!」
翔「や、やめ・・・うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

尋常ではない叫び声が校内に響き渡る、翔はタイムマシンに飛び込みたい気分であった。


fin

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最終更新:2011年11月09日 14:20
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