洞窟外
(やっぱり、アジトはここだったか・・)
サガーラ盗賊団のアジトである洞窟外にはフェイの姿があった、実はこの洞窟は修行時代にフランと一緒に寝床をともにした場所であるのでもしやと思って来てみたら案の定、人の気配を感じる。
「さてアジトが割れたところで・・“旋風の源よ。我が力の前でその力を発せよ!! ウインドソード!!”」
詠唱を終えるとフェイの右腕からは纏うように自身の半身ぐらいの剣が形成される、これも上位魔法の一つで風で作った真空の刃・・フェイは試しに軽く一振りすると発せられた衝撃波によって周囲の木々がなぎ倒される。さらいフェイは洞窟の穴倉に向けてある魔法を放つ。
「よし! “紅蓮の炎よ、我が手に集いたまえ・・ドラゴン・バーン!!”」
フェイから放たれた直径1メートルの火球は洞窟内部へと向かっていき、大爆発を起こし周囲からは煙幕が広がる。先ほどは穏便に済ませたいと言う発言が覆された瞬間である、周囲の煙幕が晴れると洞窟は岩の塊と化しておりその威力が窺い知れる。
「久々にドラゴン・バーンなんて使ったからちょっとやりすぎちゃったな。生きてると良いんだけど・・――ッ!!」
本来ならば少し小突く程度と思っていたのだが、久々の魔法で威力が調整できなかったようだ。普段の農業で魔法と使うときはちょっとした魔法で充分なのでこういった戦闘用の魔法なんて使う機会などそうそうないのだ、しかもこんな岩の塊の中で埋もれてしまったら常人であれば確実に生存はしていないだろう。
フェイは少し後ろめたさを覚えつつ生存確認を行おうとしたその時――突如としてとてつもない力によって岩の塊が周囲に吹き飛ばされる。そこには怒り心頭で既に魔力を充電して臨戦体勢に望んでいる聖と疲れ気味のお芋たんが現れた、寝込みを襲われアジトを破壊されたともなると聖の怒りは尋常ではない。
「てめぇ・・何者だ!!!」
「いきなりドラゴン・バーンぶっ放すなんて野党よりも酷いじゃないか!!!」
「うっ、嘘・・あの状態から生きてたの!!」
フェイからすればあんな状態で生存しているこの2人に驚きを禁じえなかったが、とりあえず気を引き締めてウインドソードを掲げて構えを取る。
「ウチ達・・サガーラ盗賊団に正面から喧嘩を売るとは良い度胸じゃないの!!」
「てめぇも魔法を使うようだが・・生半可な力じゃ俺達に通じねぇぞ」
「そのようだね。だったら・・“母なる大地の源よ・・その大いなる生命を与えたまえ! ガイア・ソウル!!”」
詠唱を終えると突如として地響きが唸り、フェイの周りからは無数のゴーレムが召喚される。しかも畑で作ったゴーレムよりも数段も強そうである、フェイと無数のゴーレムと対峙する2人には自ずと緊張感が広がる。
「ゴーレム召喚か・・数で押し切る魂胆だな」
「まぁね、降参して盗賊をやめるって約束すれば見逃してあげるけど・・」
「これだけのゴーレムを召喚するなんてね・・親分、こいつは本気でいかないとまずいですよ!!」
「ああ。・・皆まとめて叩き潰してやる!!」
こうして激闘が始まる。
無数のゴーレムたちは一斉に聖とお芋たんに襲い掛かる、フェイもその集団を掻き分けながら聖とお芋たんにウインドソードを駆使したり下位魔法で攻撃していくのだがどうも寸での所でかわされてしまう。どうやら2人の戦闘力はフェイの予想以上に高いようだ、生半可な魔法では却ってやられてしまうだろうし、上位魔法を発動しようと思ってもその隙を与えてくれそうにない。
聖達も襲い掛かってくるゴーレムを撃破しながら攻撃してくるフェイをやり過ごしている、お互いに牽制のまま前哨戦は続いていった。
「流石にやるじゃねぇか。・・おいっ! チビ助、あれをお見舞いしてやれ!!」
「ええっ~!! ウチばかりじゃなくて親分もちゃんと戦ってくださいよ」
「ゴーレムとあの小僧は俺が相手してやるから早いところ呪文を唱えろ!!」
(どうやらあの魔法使いに何かさせるつもりだな・・)
フェイはそのままゴーレムを率いながら自身の狙いをお芋たんに定めるのだが、聖にしつこく食い止められてしまって中々攻撃が届かない。
「よし! “虚空より司る漆黒の魔よ 我ここに力となってその身を捧げん。 その衣となりて姿を示せ!! ダーク・トランス!!”」
「あ、あれは・・暗黒魔法!!」
この世界に封印されている悪魔は独自の魔法を扱う、各地に散らばって封印されている悪魔の力を借りて扱う魔法はいつしか暗黒魔法と呼ばれ人も使うことができるのだが通常の魔法とは違って並々ならぬ魔力とキャパシティに才能があって始めて扱うことが出来る。フェイも両親によって何度も暗黒魔法で叩きのめされているので身体を持ってその威力は知っているし、何よりも暗黒魔法は姉であるフランがもっとも得意とする魔法なので今更驚いたりはしない。
お芋たんの身体は霧に包まてどこかの魔法少女のような姿へと変貌する。その名は・・
「リリカル言うな!!!」
「んなこと言ってる暇あったら早いところゴーレムを片付けやがれ!!!!」
「わかりました!! “全ての自然の力よ 我に集いたまえ そして混沌と破壊をもたらせ・・ マ ジ ッ ク ク ラ ッ シ ュ ! ! ! ! !”」
お芋たんから放たれた無数の隕石が襲い掛かる、聖は持ち前の運動力で回避してフェイも慌てて防御魔法を施すが折角召喚したゴーレムたちは全滅してしまった。改心の一撃に感心するものの聖からの激しいツッコミを浴びる。
「痛ッ! 何するんですか!!」
「うるせぇ!! てめぇはもう少し考えてから魔法を放て! かわすこっちの身にもなってみろ!!!」
「それが仕様なんですよ!!!」
しかしゴーレムを全滅したことによって状況は聖達に有利に運ぶ、フェイは防御魔法で降り注ぐ無数の隕石を対処したのだが相手が暗黒魔法の使い手ならばこっちがいくらゴーレムを生成しても魔力の無駄遣いになってしまうだろう。
「まさか暗黒魔法を使ってくるなんて・・それにもう1人も戦い慣れてて格段に強いッ! 道理で軍じゃ勝てない筈だ」
「この姿になれば副作用で女になってしまうけど・・親分の力を借りずとも充分に倒せる!!」
「しかしてめぇの余裕面は気にいらねぇな。ハァッ!!!」
聖は魔力を拳に集中させるとフェイに飛び掛る、咄嗟の判断でフェイは避けるものの拳がヒットところは大爆発を起こして地形を容赦なく変える。
「チッ、外したか・・」
「一発でこの威力! ・・!!」
「お返しだよ! “紅蓮の炎よ、我が手に集いたまえ・・ドラゴン・バーン!!”」
隙を突かれてお芋たんから放たれるドラゴン・バーンを避けるがこのままではフェイがやられてしまうのも時間の問題である。2人の見事なコンビネーションにフェイは更に不利な状況に追い込まれる、こっちもウインドソードで切りかかって攻撃するものの聖の拳によって相殺されてしまい手痛い一撃を貰ってしまう。
「ウッ・・」
「俺達に喧嘩売ったのが間違いだったな」
「ウチ達のアジトを壊してくれて・・許さないよ!!」
(こうなったら・・あれを使う!!)
覚悟を決めたフェイは目を瞑るとある呪文を詠唱し始める、両親のトラウマ物の修行の末に習得をした魔法の数々の中でフェイが本来得意としている魔法。それは暗黒魔法と対を成す魔法・・遥か昔にこの世界を創設して今なお君臨すると言われる4つの神の力を借りて放たれる神聖魔法である、フェイの周りでこの魔法を扱うことが出来るのは彼の両親のみで常人が使えば魔力は勿論のこと寿命を削ってしまう。
「“闘神を司る覇王よ その象徴の力をまとい現世に姿を現せ 降臨せよ! 魔法龍 エンペラードラゴン!!”」
「そ、それって・・伝説の神聖魔法!!」
「おいおい、マジかよ!!」
空からは雷鳴が轟き、咆哮が木魂する。そして呪文者に呼応するかのように遥か昔に起きた人間と悪魔の戦争によって古より覇王と呼ばれた4つの神のうち闘争を司る1つの神が使徒されたと言われる白を基調とした巨大な伝説の龍が降臨する。其の龍の名はエンペラー・ドラゴン・・数々の敵を焼き払い、絶対の勝利をもたらした伝説の龍が今ここに降臨した!
「ガオオオオオォォォォォォ……」
龍は其の姿を現すとけたましい咆哮を上げながら聖とお芋たんを睨み上げる、先の大戦ではある魔道剣士によって召喚された龍はその力を誇示するかのうように溢れん力を解放する。その力は先ほどフェイが召喚した無数のゴーレム達など比較すらならないもので2人に戦慄を与えるが、一方で聖にある変化が見られる。
「まさか伝説の龍がお出ましとは・・燃えるじゃねぇか!!!!!!」
(魔力が増大した!!)
燃え上がる聖は自身の魔力を更に増大させるとフェイに電光石火の一撃をお見舞いする、フェイは咄嗟にウインド・ソードで抑えようとするが圧倒的な聖の拳によって遂に砕けてしまう。
「そんな!! 上位魔法を力ずくで破るなんてッ―――」
「フッ、俺は追い詰められると燃える性質でね。さぁ・・ぶちのめしてやるぜ!!!」
聖は自身がピンチになればなるほどその魔力を増幅させて更に力を高めて持ち前の身体能力を上げる、これこそ彼女の特殊能力・・彼女を追い詰めてしまえばしまうほどその力はかなり高まって最終的には手がつけられなくなってしまう。フェイが見る限り今の聖の身体能力と魔力は姉に匹敵するぐらいにまで高まってきている、持久戦は不利と判断すると降臨した伝説の龍を動かす。
「クッ・・ドラゴンよ! 光となって我が身を包みたまえ!!!」
「チビ助ぇ!! てめぇもボサッとしてないで戦いやがれ!!!」
「は、はい!!!」
聖に促されてお芋たんは自身の最終奥義である呪文を唱え始める、そして龍は巨大な光の珠と化してフェイを包み込み、主を守る鎧となる。
「伝説の龍が・・鎧に変わった!!」
「憑依装着! もっと力があれば龍を意のままに操ることはできるんだけどね・・」
「面白ぇ・・てめぇごとぶっ潰してやるよ!! チビ助、ぼさっとするなッ!!!!」
最高潮にまで魔力を高める聖にお芋たんは更に自分の力を増大させると途中でやめていた詠唱を再開する。
「いくよ!! これがウチの最終奥義!! “すべての光と聖なる力よ! 我の力となりてそれを示せ!! ・・・マ ジ ッ ク バ ー ス ト ! ! ! !”」
「あの呪文は・・姉さんや父さん母さんに散々喰らわされた!!」
お芋たんからは自身やフェイが放った火球よりも遥かに巨大な魔弾がとんでもない速さでフェイに向かって放たれ大爆発を起こしてフェイに直撃する。その威力を物語るかのように周囲の地形は完全に文字通り藻屑と化しており巨大なクレーターが形成される、普通の人間ならば炭すら残さずに消えてしまっている、相変わらずのお芋たんが放った魔法の威力に流石の聖も感心してしまう。
「流石にあの魔法を喰らったら生き残っちゃいねぇな」
「逆に親分には吸収されて叩きのめされましたけどね。これを喰らって生きているはずが・・」
徐々に煙幕が晴れていく中で2人は驚愕の光景を目撃する、クレーターの中心には無傷のフェイが立っていた。とてもではないが信じられない光景に2人は暫く絶句してしまうが、フェイはそんな2人を他所に埃を払いながらすっかり変わってしまった景色に少しばかり心を痛める。
「「・・・」」
「うわぁ・・すっかり景色が変わったな。僕等が修行が終わった後は父さんと母さんが元通りに戻してたけど、今の僕じゃともかく姉さんと力と合わせても無理だしなぁ」
フランとの修行が終わった時は荒れた地形などは両親の魔法によってすっかり元通りの姿に戻してくれたものだ、今のフェイではフランと力を合わせても自然を元に戻すどころか草木を生やすことぐらいしか出来ない。荒れた地形を改善したり自然を元に戻す魔法は確かに存在はするのだが、その魔法も両親のように強大な魔力とそれを制御する力が必要なのである意味伝説の神聖魔法や暗黒魔法よりも遥かに難しい高度な魔法なのだ。
「ウチの奥義を喰らって無傷なんて・・」
「流石に父さんと母さんの魔法だったら死んでたけどね、でも姉さんよりも大したことないや」
「だったらこいつを喰らってから言いなッ!!!」
聖は更に拳に魔力を高めると電光石火の一撃でフェイの鳩尾目掛けて一突き放つ、フェイは避けもせずその身で聖の一突きを受けて止めていたのだが徐々にではあるが伝説の龍をまとった鎧にヒビが入る。
「こ、この人・・何者!?」
「うらッ・・!!! チビ助、時間稼いでやるからさっさと魔法を放て!!」
「親分!!」
流石にこのままでは拙いと思ったフェイは一旦距離を置くと今度はある呪文を詠唱する、お芋たんも聖の努力を無駄にしないためにも詠唱を始めるのだが・・今度はフェイの方が早かった。
「だ、ダメです!! 大魔法を使える魔力がありません!!!」
「な、なんだとおおおおおぉぉぉぉぉ……」
「“我が身に纏いし龍よ 覇を司りし神の力をその身で示せ 常夜の闇を光に包み・・再生の破滅を与えたまえ ダイナスト・バーストォォォォ!!!”」
フェイから放たれる龍のブレス、かつてフェビラル王国に侵攻してきた大軍を一瞬のうちに滅ぼしたといわれる破滅の閃光・・その桁違いの威力に周囲を巻き込んだ大爆発が広がり爆風は容赦なく木々を吹き飛ばし煙幕が広範囲に広がる中でフェイに纏っていた鎧は消え去り、魔力を使い果たしたのか屈強だった肉体は見事に女性の姿に変わる。これはフェイがまだ童貞なために起こりうる現象であって童貞の魔法使いであれば魔力が尽きた時に誰でも発症してしまう現象である、フェイが童貞を捨てるか女体化すれば無事に解決はする。
「はぁ・・やりすぎちゃったな。薬草は無事に確保したけど無事に残ってるかな? それにしても魔力使い切ったお陰で飛べないし・・久々に女の体で行動するのは堪えるなぁ」
魔力が完全に回復したら自然と男には戻れるが回復するスピードは人によって異なるし、尋常ならぬキャパシティを誇るフェイの場合だと完全に回復するまでには最低でも1週間は掛かってしまう。それにここからDT宮殿までは200キロ以上はあるし男の身体ならいざ知らず女の体でこの険しいナンメル山脈を下るのは一苦労だ。とりあえずは近くの村まで降りて迎えを待つしかあるまい、そのままフェイはトボトボとナンメル山脈を下っていくのであった。
フェイが完全に立ち去った後、地中からはボロボロになった聖とお芋たんが姿を現す。どうやらあの魔法を喰らって奇跡的に生き延びたようであるが、聖は身体の生傷があちこちに広がりお芋たんは魔力を使い果たして女の体になってしまったようだ。
「イテテテ・・チビ助、生きてるな?」
「な、何とか・・自分の治療してて魔力使い果たしちゃいましたけど」
「てめぇ、自分ばかり治療しやがって・・ッッ! 怒鳴ってたらまた痛んできやがった」
聖は治療魔法のやり方を知らないので当然のように傷は回復は出来ない、なのにあれだけの魔法を喰らいながらこの程度で済んでいるのだから身体の頑丈さはかなりのものである。
しかし2人ともアジトも破壊された上に魔力も空っぽなのだから盗賊家業は暫くは休業せざる得ないだろう、魔力を回復するまでの間に自分たちが敗れたのは伝わるだろうし今後の生活にも当然のように影響が出るのだが・・お芋たんは聖にある提案をする。
「親分、幸い今までの蓄えは全て銀行に預けてあります。ここは一旦盗賊家業はお休みして何か商売でもしませんか?」
「ハァ? てめぇ、何言ってんだよ。俺たちは盗賊だぜ、今更商売なんて出来っこねぇだろ」
「だから、副業ですよ。それに商売すれば盗賊たちの追っても止みますし良い隠れ家にもなります」
盗賊団にもいろいろ種類があるのだが、副業で商売をする盗賊など前代未聞である。大手の盗賊団などは人も多いし下手な軍隊よりも組織力はあるので大手を振って堂々と盗賊しているのだ、仮にも自分たちはただの盗賊・・商売なんてのは出来るはずもない。
「あのなぁ、俺は働くことがこの世で一番大っ嫌いなんだよ!! 誰が商売なんてやるか!!!」
「お、親分・・商売なんてあくまでも振りで構わないんですよ。店を閉めたら盗賊家業をすれば良いんです、店のほうは適当にやってくれればウチが何とかしますから」
商売はあくまでも世間の目をごまかすためのカモフラージュ、本業の盗賊は店を閉めたらきっちりとやればいいのだ。それにこの洞窟生活を続けていても埒があかないし住居で暮らしていくのも悪くはない、どうせ商売なんて自分は適当にすれば良いし、面倒なことは全部お芋たんに投げれば良いのだからその間に悠々自適に過ごすのもいいものだ。
「・・わかった、その代わり商売に関しては全部てめぇにやらせるからな。覚悟しとけよ」
「了解です。いやぁ~、これで洞くつ生活とおさらばできるよ」
こうして世間を騒がせていたサガーラ盗賊団はしばらくの間は鳴りを潜めるのだが、代わりに美人の女店主とサービス精神旺盛な店員がいる奇妙な店が繁盛するのだが・・それはまた別のお話。
翌日、DT宮殿
あれからフェイは何とか近くの村で一晩過ごすと村の近くにあった王家の前線基地があったので事情を話して何とか王宮まで送ってもらえたわけ、フェイの帰還を聞きつけたシンジュ王子とルリ女王の労いと歓迎を受けるとフェイは約束どおりそのまま馬を受け取る手はずを整える。
「フェイ=ラインボルト・・ただ今戻りました」
「おお、よく戻ってきたな。無事で何よりだ」
「ご苦労様です。盗賊団はどうなりましたか?」
「ご覧のとおり、魔力を使い果たしてしまいましたが無事に倒せました。アジトも潰しましたから当分は大人しくしてるでしょう」
フェイは昨日の戦況を報告すると2人の表情は実に晴れやかだ、しかし予定よりも大幅に遅れてしまったので姉の怒る顔が目に浮かんでしまうが馬と売り上げを渡せばすぐに機嫌は良くなるだろう。
「国王陛下、預かってもらった馬と所持金・・そして約束どおり馬の手配をお願いします」
「いいでしょう。本当にご苦労様でした・・しかし、馬だけでいいのでしょうか?」
「ええ、それだけで結構です。僕は農業をやっているほうが楽しいですから」
「ふむ・・本人がそういうなら仕方ないな。馬は手配しているから受け取ってくれ」
「はい、では失礼します」
そのままフェイは足早と宮殿を後にして待っていた翼から報酬の馬と預けておいた所持金と馬車を受け取るのだが・・どうも馬車のサイズが一回り大きい、というよりもう1台馬車が連結されている。
「翼、これはどういうこと!! 僕は馬だけって言ったのに・・」
「国王様からのお礼だよ、あのサガーラ盗賊団を退治したんだからこれぐらいは当然の報酬だと思うよ」
「うう~ん・・僕的には助かるけど姉さんに怒られそうだな」
ただえさえ国からの盗賊退治を引き受けた上にここまで豪勢な報酬を受け取ってしまえば姉からは大目玉を食らってしまうのは必然だ。それに国との関係を必然的に持ってしまえば両親からの言いつけにも背くことになってしまう・・もし両親が無事に帰ってこのことが知られてしまえばあのトラウマ物の修行以上のことをさせられてしまうだろう。
しかし折角の好意を無碍にするのも忍びないしとりあえずは受け取っておいたほうが無難だろう。
「ま、ありがとう。翼も元気でね」
「ああ、また近いうちに何か買ってくよ」
そのまま馬2頭+馬車を受け取ったフェイはとりあえず自宅へと向かうのであった。
自宅
自宅に戻ったフェイを待ち受けていたのはフランの大目玉と食い荒らされた作物に崩れ落ちたゴーレムの残骸というショッキングな光景がから始まる。
「全く! 魔力を使い果たした挙句にはナンメル山脈破壊しての盗賊退治ですって!!!」
「だ、だって・・とりあえず馬と新しい馬車はもらえたんだし」
「あんたが魔力使い果たしたお陰でゴーレムはただの土に成り果てて作物は荒らされるわ、馬車がなかったから今日の仕事は全部パァよ!!!」
フランのお怒りはかなりのもので説教はかなり続く、それに魔力を回復させないと農業すらも出来ないので暫くは休業しなければならないだろう。
「とりあえず、農業できるまであんたは馬の管理して私の仕事手伝いなさい。小屋は私が魔法で作ってあげるわ」
「はい・・」
「感謝しなさいよ、2人に知れたら今頃あんたはこの世にいることが怪しいんだから」
今でも行方不明の両親が帰ってこないことを祈るフランであった。
fin
恒例の質問コーナー
Q:魔法について教えろ
A:おkボーイ。一応魔法は各様々あって一般の魔法使いの方々は普通の魔法・・いわゆる下位魔法は扱えますが
上位魔法を扱えたら一人前の魔法使いDAZE☆
判り易く不等号で威力と習得難易度別に分けると
自然魔法>>>(越えられない壁)>>>>神聖魔法>暗黒魔法>>>>>>(越えられない壁)>>>>>>>上位魔法>各種下位魔法
神聖魔法と暗黒魔法はこの世界にいる悪魔と神様の力を借りて放つ魔法です、いなくなったら放てません。あれ? これってどこかできいたことある様な設定・・?
Q:キャラの強さ教えて
A:うむ・・スレイヤーズ基準だと、フェイとフランは力を合わせたらリナと互角、単独ではガウリィにさえやられてしまいます
2人の両親は故郷のねーちゃんレベル、聖は身体能力と格闘に関してはトップクラス。お芋たんはフェイとフランには及ばないものの戦闘経験は豊富
Q:というかぶっちゃけスレイヤーズの世界と・・
A:繋がってません。似てたとしても他人の空似です、フィクションです。某L様や部下S達はいません
そんな妄想はゴミ箱へ捨ててください
やっぱりファンタジーは難しいですね、独自で考えても気がつけば設定が酷似してたり・・
そして最後に・・リ リ カ ル が 味 方 だ と 誰 が 言 っ た ! ! !
最終更新:2012年01月12日 22:28