無題 2014 > 01 > 06 ◆fJTEST3ltw

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どこからか音が聞こえる。
携帯か。うるさい。眠いっていうのに。
俺は枕元の携帯をとろうと手を伸ばした。

あれ?
これ俺の手?
いや、違うに決まってる。
これはどう見ても女の手だ。
俺のはもうちょっと――


だんだん寝起きの頭が覚醒してきた。
そうだ、たしか俺は女体化の前兆があったからベッドまで行って…………そこで倒れたんだ。
てことはやっぱり……パンツに手を突っ込む。

べとりと嫌な感触。指に白いねばねばした液体がついた。
女体化する人間の一部は気を失い女体化する直前に最後の射精をするらしい。どうやら俺もその中の一人だったようだ。
気を失ってたのがちょっと惜しい気もするな。
それと、なくなっていた。男性なら本来あるべきはずのアレが。

「だよなあ…………」

声も高くなっている。
身体も小さくなってるみたいで、パジャマはブカブカになってる。
髪もかなり伸びてる。脇くらいまでの長さはあるんじゃないかこれ。
胸には二つの塊。触ると柔らかい。
結構でかい。推定Eカップ。
……って童貞がこんなこと言っても説得力ゼロか。
とどのつまり、俺は女体化したの
だ。

携帯を開いた。当然手やパンツについた精液は拭き取ってある。
時刻は一月一日零時三分。
さっきの携帯の音はあけおメールか。
まあどうせ似たような内容だろう。まあ親に女体化を報告する前に見ておくのもいいか。

メールを確認していると、また一通新着メールが来た。
送信者は馬鹿……じゃなくて馬場。
よく見たらこいつ11通も送ってきてやがる。やっぱ馬鹿だ。
よく名は体を表すと言ったものだ。
あの馬鹿め。

11通のメールを要約すると

  • あけおめことよろ
  • 新年だから1/1、つまり11通送っちゃったぜ
  • モテない男同士初詣行こうぜ!

よくもこの内容を11通に分割できたものだ。
しかし初詣……か。
せっかくだし行ってみるか。
あいつのことからかうついでにな!
母さんに初詣に行きたいとの旨を伝えたところ、簡単に許可がもらえた。

服は赤色のシンプルな振袖を着ていくことになった。
というより俺のサイズにあうのがそれしかなかったのである。
当然今まで着てた服は着れないし、母さんのも無理。
というよりたとえサイズがあっても着たくない。それが年頃の元少年の心理だ。
あとは妹や姉もいないし、服や下着は今日の昼までお預けということになっている。

というわけで家を出て、今は馬場との待ち合わせ場所の公園のベンチだ。それにしてもあいつ、自分から誘ったくせに俺より遅いってどういうことだ。暇だから携帯でもいじってようか。

それはそうと、胸が重い。
和服は下着をつけないのが正装、てのを母さんが言っていた。
下着もないしちょうどいいのだが、とにかく重いのだ。おかげでさっきから腕を組んで支えてないとやってられない。
こんなもんあっても喜ぶのなんで男だけだろ。
女になって体験してみると、胸についてる脂肪の塊が邪魔にしか思えなくなってくるもんなんだな。

あ、人影が見える。馬場か?
あいつには俺が女体化したってことはまだ伏せている。バラしたときのあいつの顔が楽しみだ。
馬場が来た時、こちらをチラっと見た気がした。
最初は気のせいだと思ったのだが隣のベンチに座って数分経ったあともチラチラ見てくる。
からかうネタが増えた。

そう思って連絡帳から馬場の番号へと電話をかけた。当然馬場の携帯に電話がかかる。マナーモードにしていたのか、着信音は聞こえなかった。
余談だが俺はまだ携帯を耳に当ててない。
相手がでてから携帯を耳に当てる派だからだ。どんな派閥があるのか知らんけどな。

話を戻すか。馬場は携帯を取り出して、何したと思う?
あの野郎、名前をみて通話を切りやがった。そしてさ、こっちにきてなんて言ったと思う?

「誰か待ってんの?」

「はい?」

「いやー、俺実は友達と初詣行く予定だったんだけど、すっぽかされちゃったみたいで」

すっぽかされた…………だと?
まさかこいつ。

「奇遇ですね。実は私もすっぽかされちゃったみたいで」

「ははは、じゃあさ、よかったら一緒に初詣行かない?すっぽかされた者同士でさ」

えーと……まさかこいつ。
俺をナンパしてるのか?
俺との約束をなかったことにして?

…………やってやろうじゃないか。
絶対後悔させてやるからな馬鹿が。
別にこの馬鹿に対して怒ってるわけではない。
俺だってこいつのことからかおうとしてたわけだしな。
ただ、せっかくだからどこまでこの馬鹿を騙せるか試したくなっただけだ。
覚悟しろよ。

とりあえず携帯の録音機能つけとくか。
馬鹿と神社に向かい始めてからそこそこ経った。
神社まであと半分ってところか。
さっきから俺はできる限り女らしく振舞っている。
絶滅危惧種である大和撫子の様に振る舞い馬鹿を魅了する。
これが現時点での目標だ。
新年からなにやってるんだろな……俺。

それにしても馬鹿のマシンガントークが凄い。
こうして神社まで歩いてる間、さっきから話しっぱなしだ。

「ところでさ、小雪ちゃんと待ち合わせしてるやつって誰だったの?」

「ただの腐れ縁ですよ。馬場さんは?」

とりあえずは坂本小雪と名乗ることにした。母さんの旧姓、名前だがかってに使わせてもらった。

「俺もそんな感じだよ。モテないやつ同士行こうぜって向こうが誘ってきたんだ」

俺から誘ったことにしてやがるこの馬鹿野郎。

しかもこの馬鹿、いつもと感じが違うぞ。いつもは下ネタトーク全開の変態馬鹿野郎のくせに。
知ってんだからな。さっきお前がメールで新年早々『新年あけおめこ!』なんていう下ネタぶちかましたこと。

話はどんどん切り替わる。
やがて話は馬鹿の聞きたかったであろう方向へと向かった。

「小雪ちゃんて彼氏とかいるの?」
「いませんよ。いたらその人と来てますし」

「へ?そうなの?てっきりさっきの腐れ縁ってのがそうだと思ってたよ」

内心ガッツポーズしてるんだろうな。この馬鹿。

「馬場さんはどうなんですか?カッコイイし、いそうなオーラ漂ってますよ」

嘘は言ってない。
実際この馬鹿は顔はかなりいい部類だ。ただ、それ以外が残念すぎるのだ。
うちのクラスのとある女子曰く、
「知れば知るほど魅力のなくなる男」
だそうだ。

「いないいない。俺と一緒に初詣行く予定だった奴も男だしね」

「へえ……そうなんですか」

「うん」

いかん。そろそろ会話が途切れてきた。
まあずっと話しっぱなしだったし当然か。
どうする。こっちから話題をだすか?
もう少し待ってこの馬鹿が何も言わなかったらこっちからなんか言ってみるか。
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