無題 2014 > 01 > 07 ◆fJTEST3ltw

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沈黙が続く。
こりゃあなんかそろそろ言った方がいいか。
さーて、何を言おうか。
じゃあ――

「あ、あの……馬場さん。さっきまで言う機会がなかったから言えなかったんですけど…………」

「ん?なに?なんでも言ってよ」

「実は私……元男なんです」

とりあえず、元男だってことをカミングアウトすることにした。
当然、俺の正体がばれない程度にだ。

「…………」

「や、やっぱり軽蔑しますよね……」

ちなみに俺自身後ろめたいとかはこれっぽっちも思ってない。
というより、今時周りの人間はいちいちそんなことを気にしない方が多数だ。
自分で言うのもなんだけど、もし付き合えたならこういうしおらしい女の子がよかったな。

「小雪ちゃん」

返事しようとした瞬間、グイッと体が引っ張られた。
馬場が俺のことを抱き寄せたらしいく、顔やら胸やらが馬場と密着している。

「そんなことない!前にどんなことがあったって関係ない。一番大切なのは今、ここにいる小雪ちゃんなんだ」

「え、ちょ、ばっ、ばば、馬場さん!?」

馬場は俺の言葉を無視して抱きしめたまま頭を撫でてくる。
何告白みたいなこと言ってんだこの馬鹿は。

それでも身体の底からカーッと熱くなってきた。多分今リンゴみたいな顔してるんだろうな、俺。
女になっても男に反応することだけはないと思ってたのに、こんなクサい台詞を言われただけで顔が熱くなるなんて。


そこから神社までどうやって来たのか覚えてない。気がついたら神社に来ていた。
歩いたってことだけは確かだが。

クソっ、これじゃまるで俺が馬場を意識してるみたいじゃないか。
いや待て落ち着け。こいつは女の子をナンパするために友人の約束をなかったことにしたド畜生だぞ。
そう思うと火照りが一気に冷めてきた。
うん、よし。もう大丈夫だ。
……………………多分。
神社に到着したはいいのだが、如何せん列が長い。
こりゃ賽銭箱につくまで結構かかりそうだな。

馬場と話してればすぐだ、だなんて思っていたのはさっきまでのことだ。
今となっては、

「こ、小雪ちゃん……さっきはゴメン」

「えっ、あ、ひゃ、ひゃい!だ、だいじょうれす!」

この通りだ。
完全にお互いギクシャクしてしまっている。
結局俺は全然大丈夫じゃなかったらしい。
馬場はともかくなんで俺までギクシャクしてるんだ。
女になったからだとしたら恨むぞ神様。

結局、賽銭箱箱につくまでの間俺たちはほとんど無言だった。


賽銭箱に金も入れたし、そろそろ秘密を言わないとな。
流石に日をまたぐのは悪い気がするし。

「小雪ちゃんはお願い事何にしたの?」

「わ、私はですか?前、友達にひどいことしちゃったから謝りたいなって」

お互い様だよな。このセリフって。あとは馬場の反応を見たら全部バラすか。

「そういや俺も新年早々ひどいことしちまったな……」

馬場がボソリと呟いた。
こいつも実は悪いとか思ってたのか。

「そう思うなら直接謝りましょうよ。お互いに」

「え?小雪ちゃん何言って…………まさか…………あっ…………!」

馬場の顔がみるみるうちに形を変えていく。
「やっと気づいたか。馬鹿」

「て、てめー!よくも騙しやがって!」

「約束をすっぽかしたお前が言うな。いや、まあ俺もやりすぎたとは思うが…………すまんかった」

「返せ!俺の青春を返せ!」

「今時あんな女の子いるわけねえだろ!現実を見ろ!現実を!」

「ああ……てことは俺はお前を抱きしめたってことになるのか……はぁ……」

馬鹿。思い出させんな。あれのせいで一時はどうなるかと思ったんだ。
今でも思い出すだけで顔が赤くなるっていうのに。

「ってお前なんで顔赤くしてんだ」

「うるさい!だまれ馬鹿!」


新年のあいさつは言いそびれたが女体化して初めての日。
なんとなくこいつとの付き合い方も変わりそうだな。
そんなことを不意に思った。
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