祈「今日は12月24日・・・一年で最も猫も杓子も付き合いが悪い日」
柚「なぁに祈美・・・ひとりでぶつくさ言って・・・」
祈「やあ、我が友・柚佳ではないか。今日は何の日か知っているかね?」
柚「クリスマスイブでしょう?」
祈「・・・否ッ!!もっと大事な日ではないか同志柚佳よ!!そう、例えば誰か大切な人の誕生日をお忘れで無いかい」
柚「わかってるって・・・イエス・キリストの誕生日の前夜でしょ。もうわかったから毎年毎年やめてよ・・・」
祈「待て!もうひとつ大事なことを忘れてはおらんか!!」
柚「クリスマステロ実行委員会・会合の開催日でしょ?もう今年はそういうのには付き合いませんから!以上!解散!」
祈「あ!ちょ!待たんか!」
祈「・・・」
祈「ねえ兄貴~?今日は何の日かちゃんと覚えてる~?」
辰「ああ。早いもんだな。もう一年も経つのか」
祈「だよね!だよね!やっぱ兄貴なら覚えてて当然だと思ったわ~♪♪」
辰「まあ、彼女が出来て初めてのクリスマスだからな。やっぱ気合入るぜ・・・!!」
祈「あ、いや、そうじゃなくて・・・ほら、もっと大事な日じゃん、今日」
辰「ああそうですそうです。そうでした。キリストの誕生日でしたよね。わかってるから毎年毎年妙なこと騒ぐのやめろよお前は・・・」
祈「あ、いや、そうじゃなく・・・」
辰「なに、またあの変な会合の日か?友達連れてくるのは構わないけどさ、普通にパーティーしろよ。毎年毎年あの会合のたびにお前の部屋から変なオーラが噴出してるんだよ」
祈「そうじゃなくて!って!もうういいよてめーさっさと出かけろ!サンタのトナカイにでも轢かれてろ!!」
辰「はいはいわかったわかった。父さん母さん今日は旅行だから、晩飯は台所に作っておいてあるの食べろ。じゃな」
ガチャ ・・・ バタン
祈「・・・あたしの誕生日だよ・・・」
祈「そう・・・この12月24日という聖夜に生まれながら、その為にこそ誰からも祝われない、そんな呪われた星の下に生まれた私・・・」
ズゴック(犬)「アウ?」
祈「そう・・・私は、生まれながらにしてこの日を生涯かけて呪い続ける宿命を背負っていたのである・・・」
ズ「アウー」
祈「ズゴック・・・キミならわかってくれるよね・・・」
ズ「クゥー…ーン?」
祈「もうやだよー♪誕生日おめでとうだなんてー♪一歳ババアになっただけだってー♪♪皮肉かこのー♪♪」
ズ「クゥーン・・・;」
祈「ねぇ・・・ここ寒いからお家入ろっか☆(ガシッ」
ズ「アウ!?」
祈「ほらほらもう寒いからぁ~♪(グイグイグイ」
ズ「ク、クゥ~ン・・・;(ズルズルズル…」
祈「ほらズゴック。今日はドッグフード奮発しちゃったんだから、一杯食べて?」
ズ「クゥーン・・・;」
祈「もう、ほぉ~らぁ~。ズゴックったら、そんなとこで小さくなってないでもっとこっちに来なさいな☆」
ズ「アウ!?キャン!キャン!(バタタタタ…」
祈「あ!ちょっと待ちなさいよ!!・・・畜生・・・犬にも振られやがった・・・」
祈「・・・あーあ・・・兄貴め・・・半端にクリスマス仕様の料理ばっか作っていきやがって・・・あ、チキンおいしい・・・」
祈「・・・ケーキの無い誕生日って何さ・・・」
祈「・・・ていうか一人きりのクリスマスってなにさ・・・」
祈「・・・何この暗黒の循環・・・」
祈「・・・」
祈「・・・何やってんのあたし・・・」
祈「・・・ねえ何やってんの・・・?」
祈「・・・畜生今日は飲んでやる・・・」
祈「・・・あれ、お酒ビールしかない・・・」
祈「・・・仕方が無い・・・親父の焼酎で我慢するか・・・」
祈「・・・」
祈「・・・うえ・・・何これ辛い・・・」
祈「・・・くっそーーー!!!(ゴクゴクゴク」
祈「・・・」
祈「・・・くたばっちまえアーメン!!(ガクッ)・・・すー・・・すー・・・」
祈「・・・うーん・・・うおつ!?寝てたのかあたし!!?」
祈「・・・」
祈「・・・?」
祈「・・・何してんの」
辰「メリークリスマス祈美ちゃん!いい子にしてたかな?サンタさんがいい子の祈美ちゃんにプレゼントを持ってきてあげたよ!」
祈「・・・何その格好」
辰「ん、サンタ。バイト先から借りてきた」
祈「・・・なんで」
辰「ああ。クリスマスだからな。メリークリスマス!」
祈「クリスマス・・・」
辰「おう。じゃ、ほい。これ、クリスマスプレゼント」
祈「・・・あ、どうも・・・」
辰「おっと待て!まだ開けんなよ。クリスマスプレゼントはクリスマス当日に開けるもんなんだから。今日はまだ4時間もあるからな」
祈「はい・・・って、小学生かよ・・・」
辰「よしよし。明日の朝まで楽しみにしておけよ。じゃ、次はメインイベントに入らせていただきましょうか!みんな入っていいぞ!」
祈「え?なに?・・・え?」
狼「ハッピーバースデー!!(ぱん!」
祈「え?え?狼子さん?」
柚「おめでとう祈美!(ぱん!ぱぱん!」
祈「クラッカーうるさ・・・え?なに?え?柚佳?え?亜聡さん?シズ野郎も?」
亜「えへへおめでとー、お祝いに来たよー」
静夜「し、シズ野郎・・・」
祈「え?え?みんな、なんで・・・」
辰「俺が呼んだ。両親も旅行でいないし、やるなら盛大にと思ってな。ほらケーキもここに」
祈「え、でも、みんな、クリスマスなのに・・・」
辰「ん、こういうクリスマスがあったっていいはずだろ?」
祈「あ、でも・・・」
狼「こいつのしけた顔ばっか見てるより、こうやってみんなの顔を見られるほうがいいからな!」
辰「お前言ってくれるじゃないの・・・」
狼「おお?なんだやるか?バシューッ」
辰「やったなズバシィーッ」
柚「ささ、お馬鹿なふたりはほっといて、いきましょうか。はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
祈「あ・・・」
亜「はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
静「は、はっぴばーすでーでぃあ・・・」
狼「き~~~み~~~♪」
辰「は~っぴば~すで~・とぅ~~~~~・・・」
狼「ゆ~~~~~♪」
柚「おめでとう!(パチパチパチ」
祈「・・・」
狼「・・・?」
辰「・・・祈美?」
祈「・・・馬鹿!お前らみんな馬鹿だ!!うわああああああああああああああああああん!!!」
辰「泣くなよwwwww」
柚「ほら、ローソク消して」
祈「うん、うん、ふぅ~~~~~~~ううううううあああああああああああああああああああ」
辰「よし、誕生日おめでとう!ほら、こっちは狼子と俺から誕生日プレゼント!すぐ開けていいぞ」
亜「こっちはボクとシズから!」
柚「これはあたしから。少ない小遣いから出して買ったんだから、大事に使ってよ?」
祈「うれしいよおおおおおおおうわあああああああああああああああああああああん!!!」
辰「いい加減泣き止めwwwww誕生日の料理もみんなで作ってきたから。お前キッシュ好きだろ?色々あるからみんなで食べよう」
狼「酒もあるぞ!」
柚「狼子さん、お酒は駄目でしょ・・・」
祈「みんなありがとうううううううううううううううわあああああああああああああああああああああああ」
辰「泣くなwwwww」
~その夜・辰哉の部屋~
祈「・・・兄貴?」
辰「んー?なんだ祈美、まだ起きてたのか。明日柚佳ちゃんと出かけるんだろ?起きられないぞ」
祈「だ、大丈夫だよ!もう寝る・・・あの・・・それでね・・・」
辰「なんだ?」
祈「今日はその・・・一緒に寝ていい?」
辰「んー?なんだ、どういう風の吹き回しだ?お前がそんなこと言うなんて珍しいな」
祈「え、だ、だって、あの・・・クリスマスプレゼント・・・サンタさんの前で開けてみたいから・・・」
辰「おまっ・・・!!だ、大丈夫か!!?頭でもぶつけたのか!?!?」
祈「ぶ、ぶつけてないよ!!もういい!!自分の部屋で寝る!!////////」
辰「す、すまんすまん、冗談冗談。こっちの部屋で寝ようぜ!たまには妹と寝たいなー。あれ、一緒に寝たくてたまらないぞー?」
祈「・・・じゃあここで寝る」
辰「マッジー?よっしゃーやったぜー!・・・手間のかかる奴」
祈「・・・なんか言った」
辰「あれ?聞こえちゃった?w」
祈「この糞兄貴ー!」
辰「はははw悪い悪い、じゃ、寝るか!」
祈「・・・うん!」
祈「・・・ねえ、兄貴?」
辰「んー?・・・」
祈「こうやって寝るの、久しぶりだね」
辰「おー、お前が幼稚園の頃以来かもなー・・・ぐー」
祈「・・・懐かしいね」
辰「そーだなー・・・ぐー」
祈「ありがとう・・・」
辰「ぐー」
祈「・・・お兄ちゃん」
辰「ぐお・・・んがっ!?」
祈「?」
辰「・・・お、お前・・・今・・・お兄ちゃんって言った?」
祈「え?う、うん」
辰「・・・・・・・た、大変だああああああああああああ祈美が狂ったあああああああああああああああああああ」
祈「もう・・・いい加減にしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
祈美にとって、この日は一生忘れられない最高のクリスマスになったとさ。
【おしまい】
【狼子とクリスマス・後日談】
~朝~
祈「・・・おはよっ」
辰「んー・・・ん?なんだ祈美、もう起きてたんだな」
祈「うんっ。ねえ、これもう開けていいよね?」
辰「おっ、クリスマスプレゼントか。いいぜいいぜ。開けてみな」
祈「うん!・・・(ビリビリ)・・・え?・・・何これ・・・」
辰「ああ。数年前に倒産した大人のおもちゃの名ブランド、『テラ☆カントン』製バイブレーターだ」
祈「バイブ・・・・・(ウイーンウインウイン…」
辰「なにせ、知り合いに頼んで△木馬を取り寄せるようなお前だからな。納得の出来を誇るものを探し出すのには苦労したぜ」
祈「この・・・・・(ウインウインウイン…」
辰「言っておくが、人に試そうとするなよ。お前がコレクションするだけて使わないって言ってるから買ってやったんだからな」
祈「この糞兄貴ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
辰「え!?ちょmアッー!!(ビビビビビ」
とりあえず、祈美が元に戻ってよかった・・・
最終更新:2008年07月21日 02:41