『俺様女 VS Oh!噛み女』

~???・刹那~


 取り憑かれた様に鍵盤の上で踊る指、奏でる旋律は悲愴。
 何故、俺がこんな目に遭うのか。
 毎週のミサに出なかったから?食事の前の祈りを怠ったから?
 否。
 この広い日本、神だのなんだの言わずとも、しっかりと社会に報われている奴だっている。
 俺がこんな目に遭ったのはきっと、愚かな神の気まぐれって奴に違いない。
 だから俺は、神を許さない。
 一生懸けて呪ってやるんだ。


~校門前・修~


 僕らの青春のメロディを紡ぐ五線譜・・・そう、僕らの全ては、いつもここから始まる・・・

高岡「はぁ~・・・どっかに運命の出会いと言う奴が一個ぐらい売れ残ったりしてはいないのだろうか・・・」

川合「違うな。選び、扉を叩くのはいつも運命。いつまで経っても買い手がつかない売れ残りはお前の方だよ」

高「・・・んんなアカデミックな喩えで夢を壊さないで欲しいもんだけどな。いつもいつも」

川「俺はお前が夢なんていうただ甘いだけでなんの栄養も無いジャンクフードに毒されないように願ってるだけだよ。いつもいつも」

高「まだ若いのにお前はそんなこと言って・・・若者は夢に生きなきゃ駄目よ。あんまり悟ったようなことばっか言ってるとモテないし」

川「あのね、俺はそういうの間に合ってるから。お前こそそろそろ現実見て、本気で考えた方がいいぞ。 16で女体化しなくて油断したところで、いい年になってから女体化しちゃう働き盛りの童貞もいるんだから」

高「・・・友達やめようかなこの野郎」

高「・・・?・・・あ!!あ、・・・あれは・・・あの人は・・・」

川「どうした。寂しさ余って妖精さんでも見えるようになったか?」

高「よ・・・妖精だ・・・」

川「あー・・・終わりましたね」

 僕らの背後、今まさに校門からこちらに入らんとするその姿、それはまさに妖精、いや!
 ・・・人間の言葉で形容せんとすることすら、その美貌の前にはおこがましい・・・!!
 そんな美少女が今、こちらに向かって歩いてくるではないか!

川「ん?誰だろうなあの子。あんなのウチの学校に居たっけ?」

高「ほらほら売れ残ってたじゃねえか運命の出会い!!」

川「・・・おい。やめておけよ。どうせまた相手にしてもらえないんだから」

高「いいや今度こそ本当に運命の出会いだ!!そして俺は、今度こそ!今度という今度こそ!!この運命をモノにしてみせる!!」

川「あ、おい!・・・あー、行っちゃったよ」

高「あっ、あのっ!」

?「・・・」

高「ぼっ、僕はっ!ここここの高校のっ!ににににににににに2年D組のっ!たたたたたたたたたたた高岡修(オサム)と申しますッ!!」

?「・・・?」

高「よよよよよよよよよよよろしければっ!!おおおおおおお名前とメメメメメメメメメメメアドを・・・」

?「うるさい。黙れ。話しかけるな。殺すぞ」

高「・・・」

高「・・・」

川「おーい。大丈夫かー。帰っておいでー」

 こうして僕の青春のメロディは、その旋律を紡ぐこともなく僕の手からするりと零れ落ちていったのだった・・・


~教室・刹那~


 この学校への編入は、全て両親の決めたことだ。
 共働きでほとんど家にいつかない両親が俺の変化に気づいたのは、俺の女体化から実に一週間後のことだ。
 俺の前で意味の無い責任の擦り付け合いを繰り広げる、馬鹿な両親。
 その結果、両親がしてくれたことと言えば、俺の一人暮らしの準備、そして転校。
 体よく厄介払いしたってわけだ。
 暇を潰す役割のピアノが新しい部屋に一緒に来ただけ、まだいい。
 結局いつも、俺の側にはこいつしか残らないわけだ。

「か、可愛いいいいい!!!」

「ヒューーー!!!」

 教室に入ると、そこかしこから上がる声。
 どこに行ったって同じだ。
 いい加減辟易する。
 ニコニコとした温和な雰囲気の担任は、教壇に俺を導くと肩に手を置く。

先生「では、転校生を紹介します。お隣の県からいらしたんですね。さ、自己紹介を」

刹那「・・・円城寺刹那です。よろしくお願いします」

 またしても上がる、煽り立てる声。
 ヒューヒュー軽薄な声を上げているのは主に男。その横で呆れ顔の女達。
 どこに行ったって一緒だ。誰も彼も馬鹿の一つ覚えみたいに、物事のうわべだけしか見ない。
 ・・・今ここで俺が、目の前の奴ら片っ端から蹴飛ばしてやったら、こいつらはどんな顔をするだろう。

先「円城寺さんの席は、月島さんの隣になります。急なことで一番後ろの席で申し訳ありませんが、席替えまで我慢してくださいね」

刹「・・・」

 先生の指した席へ向かう足の傍ら、また好奇の目を向けてくる生徒達。
 またこんな奴らの中で暮らす日がやってきたのかと思うと、早くも嫌気が差してくる。
 声で煽るだけならまだしも、手を伸ばして触れようとしてくる奴まで居た。鬱陶しい。
 そして、自分の席に辿り着くと、その隣にいた月島は、奇妙な女だった。
 顔立ちは悪くない、むしろいい方に分類されるであろう水準ではあるものの、 身だしなみは不器用なのか、頭には動物の耳のような変な癖が二つついてて、これまた癖の強そうな長い髪が腰の辺りまで伸びている。

月島「お前さー・・・」

刹「・・・お前?」

月「初めてなのにそんな顔してると、友達出来ないぞ」

刹「黙れ。声出すな。殺すぞ」

月「・・・」

 馴れ合いなんて初めから求めてない。
 こんな奴等に俺のことなんてわかるはずが無いし、わかってもらおうとも思わない。
 俺は、ひとりでいいんだ。


~学食・辰哉~


 本日は弁当無し。購買戦争に参加する気も無かったので、今日は学食でお昼をいただくことにした。
 食堂内は予想通りの混雑。しかし、先に来ていた川合達が席を取っていてくれたので、あぶれたりせずに済んだ。

辰哉「あー・・・それは災難だったな」

川合「お前からも何か言ってやってくれよ。すっかりデクノボーになっちまって」

高岡「(ヽ゚д゚)・・・恋するは幻・・・」

辰「・・・ま、まあ!女なんて星の数ほどいるしな!次があるって!な!だろ?」

川「元気出せー。いきなりメアドなんて聞こうとしたお前が悪いぞー誰が見ても」

高「・・・川合・・・女体化して俺の彼女になってくれ!!!」

川「(´・ω・`)ぶち殺すぞ」

高「・・・ごめん」

狼子「おーい辰!・・・や?」

川「おっと。彼女のご到着か。じゃ、俺らブラスの席行ってるから、後は楽しんで」

辰「あ、わ、悪い」

高「木村・・・貴様のことは今日から不倶戴天の敵と思っておく」

辰「・・・勘弁してくれ」

辰「なるほどねー・・・その転校生、こゆいキャラをお持ちで」

狼「お人形みたいな美人が、話しかけた途端あれだぞ。びっくりしたのなんの(もぎゅもぎゅ」

辰「お前みたいに物理的に噛み付いてくるよりはマシだろー。面白そうな子で良かったじゃんその円城寺って子」

狼「お前他人事みたく言うなーーー!!!(むしゃむしゃ」

辰「そりゃー仕方ないだろーだって俺とお前そもそもクラス違うし」

狼「お前はやっぱり一度噛んでやらないとわからないみたいだな・・・って、あ!!」

辰「ん?」

 狼子の指差す先、そこにはさらさらの髪をした綺麗な女の子が、キョロキョロしながら立っていた。
 学食に不慣れなのか、やはり席を探すも見つからず困っているようだった。

狼「円城寺!」

辰「へー、あの子が」

狼「うん」

辰「・・・なあ。他人事みたいに言うなって言ったよな」

狼「言ったよ」

辰「じゃ、俺もお前の友達の輪を広げるのに一役買ってみるとしよう」

狼「え?」

辰「行って来やーす」

 きょとんとする狼子を尻目に、席を立って円城寺の元へ向かう。
 ゆっくりと歩み寄る俺に対し円城寺は、人ごみの中目ざとくこちらを見つけて視線を送ってくる。
 訝しげな顔の円城寺に俺は、満面の笑みとともに小さく手を振り、声をかけた。

辰「キミ、月島狼子の隣の席の子だろ?座るとこ見つからないならあっちで俺らt」

刹「黙れ。耳障りだ。気安く話しかけるな。舌抜いてカラスに食わせるぞ」

辰「・・・」

辰「・・・」

狼「・・・な?」


~放課後の自室・刹那~


 長かった今日が終わり、自室のベッドに横になる。
 一人きりの部屋。
 前までと変わらない。
 違うのは、ただあまり帰って来ない両親が、絶対に帰って来ない保障があるくらいのことだ。
 ふと思いつき、ベッドから起き上がってピアノの方へ向かう。
 鍵盤を開き、ただ思いのままに指を走らせる。
 指先から零れる、まとまらない音達。
 なんの意味も無い行為でも、こうしているときが一番落ち着く。
 何も考えずに居られるこのときが。
 薄暗い部屋にひとり、ピアノに突っ伏して俺は眠った。
 

 

第二節

~教室・美弥~

‐英語‐

刹那「~~~,~~~~~.」

先生「OK,ミス円城寺。いい発音です。ありがとうございました」

‐数学‐

先生「じゃ、この問題、円城寺。前に出て解いて」

刹「・・・(カッカッカッ…」

先「・・・正解!先生まさか高校生が解けると思ってなかったぞこの問題www」

狼子「・・・おいおい」

‐世界史‐

刹「ウィーン体制・・・です」

先「赤の円城寺さん、その通り。あと1問でアタックチャンスに突入するのか・・・参ります」

狼「児玉さんかよ・・・」

「すっげーな円城寺さん」

「見た目も良くて頭も良し。天は二物を与えまくり。最高だな」

「俺、後で勉強教えてもらおうかな・・・」

「じゃあ俺も行くぞ!抜け駆けは許さねー」

子分A「・・・なんか、気に食わないよねー円城寺」

子分B「そんなの全然興味ないって感じの顔がムカツクし」

美弥「・・・あ。いいこと思いついちゃった」

A「えー?なにさなにさー!」

B「勿体ぶらないで聞かせてよー!」

美「フフ、あのさー・・・」


~教室・刹那~

 ドタタッ

刹那「・・・痛っ」

美弥「あ~ら、ごめ~ん。足引っ掛けちゃったね~」

子分A「でも円城寺さんがきちんと足元見て歩いてたらこういうことにはならなかったはずだよね~」

子分B「あ~、それ言えてる~。キャハハハ!」

美「ま、足元には気をつけなよ。ね」

刹「・・・」


~更衣室・刹那~

 次は体育の授業。
 慣れない女子の間で体操着に着替えるのには、いつまで経っても慣れない。
 どうしてもクラスメートから隠れて、部屋の隅で小さくなりながら着替えることになる自分。
 俺が、どうしてこんな思いをしなければならないのか。
 顔を熱くしながら、更衣室の隅で一人ごちた。

美弥「円城寺さ~ん?早くしないと遅れるよ~」

刹那「!・・・」

 やりきれない思いは置いておいて、ブラウスの中に隠して下げておいたロケットを外し、
 失くさない様に制服の胸ポケットに仕舞うと、大急ぎで着替え、更衣室を後にした。

子分A「・・・行ったね」

子分B「だね・・・フフ」


~昇降口・狼子~

 始業のベルはもう鳴っている。
 次の時間は、校庭で体育の授業。
 下駄箱前のすのこに腰掛けだらだら靴の紐を結んでいると、バタバタと走ってくる者があった。
 振り返って確認してみると、やはり体操着姿のクラスメートがひとり、そして、相変わらず忌々しそうな顔の円城寺。
 折角可愛いんだから、もっと柔らかい表情をしていればいいのにと思う。
 そして円城寺じゃない方のクラスメートの女子は、確か城嶋美弥・・・だっただろうか。
 あまり私と関わりの無いグループにいる女の子だ。正直、あまり好きじゃない・・・
 下駄箱を開き、スニーカーをたたきに置くと、円城寺は慌しく足を入れる。
 ・・・と、その動きが一瞬止まる。

刹那「・・・痛っ!」

狼子「?どうした?」

刹「!・・・うるさい。話しかけ・・・」

狼「!ちょっと靴脱げ!」

刹「・・・」

 無理矢理靴を脱がせると、彼女の白いソックスの踵から広がる、赤い染み。
 はっとして靴を下に向けて叩くと、ぽろりと落ちる光る何か。
 ・・・画鋲だった。

狼「誰がこんな・・・!」

刹「・・・」

美弥「ほんと、ひっど~い。でもきっと、日頃の行いが悪いからよね~。円城寺さん、なんか人から恨み買い易そうだし」

狼「え?・・・なんだよそれ!」

美「あたし先に行ってるね。このせいで遅れて先生に怒られても嫌だし~」

狼「あ!まっ・・・」

刹「・・・行くぞ」

狼「え?あ、ちょ、ちょっと待てよ!お前だいじょうb」

 言い終わる前に、円城寺はバランスを崩してその場に転んでしまった。
 私は慌てて駆け寄って、手を貸す。

狼「お前、無理するなよ!今日は体育休んだ方がいい!」

刹「・・・そんなことしたら、負けることになる。俺は授業を受ける」

狼「勝ち負けじゃなくて、お前いいから休め!保健室行くぞ!肩貸すから!」

刹「離せ。触るな。こr」

狼「黙れ。逆らうな。噛み殺すぞ」

刹「・・・」

狼「よし。いい子だ。保健室行くぞ」


~更衣室・刹那~


刹那「・・・ない」

 保健室でたっぷり一時間休んで、他の生徒より一足早く更衣室に戻り、制服の胸ポケットに収めたはずのロケットを探る。
 指先にはポケットの中を擦る感触があるだけで、ポケットを開いて中を見ながら探ってみても何も無い。
 ロッカーの中に落としてしまったかと思い探ってみても、見つからない。
 どこに・・・どこに行ってしまったんだろう。

美弥「・・・探してるのは、これぇ~?」

 はっとして振り返ると、恐ろしく陰険な笑みを浮かべて佇む美弥の姿。
 その手には、捜し求めていたものがつままれたいた。
 取り付けられた鎖が蛍光灯の光にキラキラと瞬きながら揺れていた。

刹「・・・返せ」

美「あら、見つけてあげたのに、その言い方はないんじゃな~い?」

子分A「ねぇ~?ひどくな~い?」

子分B「円城寺さんってやっぱ、口の聞き方知らないみたいだね~」

 見つけてあげた?
 違う。俺でもそれくらいわかる。
 こいつら、ロッカーの制服からわざわざ抜いたんだ。

刹「・・・返せ」

美「返して欲しいの~?じゃあね~」

 また、美弥の顔に陰険な笑みが浮かぶ。

美「・・・まず土下座してよ」

刹「・・・土下座」

A「あたしたち、円城寺さんにはかなりムカついてるんだよね~」

B「ほんとはこんなもんじゃ済まないんだけどさ~、ま、一歩譲るって言うか?」

美「この次もその次もあるけど、まずは土下座してよ。話はそれから」

 ・・・今、やっと美弥の言おうとしていることがわかった。
 さっきの画鋲も、やっぱりこいつらの仕業だったのだ。
 そして、こいつらもやっぱり、人のうわべだけしか見ていない。
 そして俺は黙って美弥を見返し、美弥の握ったロケットに手を伸ばした。

 その瞬間、手の中から弧を描いて放り投げられるロケット。

美「あれ!飛び出しちゃったよ~!円城寺さんのロケットってほんとにロケットなんじゃない?」

 ロケットは綺麗な曲線を描きながら、更衣室の片隅のゴミ箱に飛び込んだ。
 その瞬間、自分の中で何かが切れた音を聞いた。


~更衣室・刹那~


 ロッカーに叩きつけられた痛みで、我に返る。
 目の前には、肩で荒い息をつく月島の姿。
 その後ろで、美弥と取り巻きの二人が呆然とこちらを見つめている。

狼子「お前・・・何やってんだよ!!」

 美弥の胸倉を引きちぎらんばかりに掴みかかったところまでは記憶があるけど・・・
 真剣な眼差しでこちらを見つめる月島に皮肉の笑みを向け、俺は顔を逸らした。

刹那「・・・気に入らない奴の事、殴ってやろうとしただけ」

狼「お前・・・!!」

 月島は何を怒っているんだろう?
 こんな奴、酷い目に遭わされて当然じゃないか。
 そしてそれをするのが、俺だとしても、何もおかしいことはない。

狼「どんな理由があったって・・・女を殴る奴は最低だ!!!!!!」

刹「・・・」

 余程何も考えたことの無い奴なのか。
 こんなうわべだけの正論、俺たちに何もしてくれやしない。
 そこまで考えて、おかしな事に気付いた。
 ・・・今の俺、女じゃないか。
 こいつの話は、男の理屈だ。
 もしかして目の前のこいつは、俺が女体化者だと気付いているんじゃないか。
 ・・・まあ、隠そうとも思っていなかったし、それもいい。
 俺には関係ない。

美弥「こ、怖~い!ほんっと最低!行くわよ!」

 沈黙を破ってそんなことを言った美弥は、取り巻きを引き連れていそいそと更衣室を出て行った。
 残された俺もロッカーから背中を離し、出口へ向かう。

狼「待て!!」

刹「・・・そんなうわべだけの薄っぺらい説教、聞く気無い」

 何か言いかけた月島を尻目に、俺は更衣室の扉を閉めた。


~自室・刹那~


 面倒臭い。
 何もかも煩わしい。
 こちらがどんなに平穏を願っても、黙っていても、ああいう下らない人間は勝手な思い込みだけを根拠に攻撃してくる。
 人の表面しか見ようとせず、しかもそれに何の疑問も抱いていない。
 忌々しさに何度もベッドの上で寝返りをうつ。
 うてばうつほど目は冴えてきて、たまらなくなって起き上がり、ピアノに向かう。
 鍵盤に走らせる指が、うまく回らない。

『・・・女を殴る奴は最低だ!!!!!!』

 うるさい。
 お前に何がわかる。
 暗い部屋を包む、滅茶苦茶な旋律。
 狂ったように鍵盤を叩きながら、力尽きるように俺は眠った。

 

第三節

~翌日の教室・刹那~

 心の底に沈んだ重石は、まだ消えない。
 散々な気分で向かった朝の教室、戸を開けて中に入ると、ざわついていた生徒達が俺の姿を認めて一瞬静まり返った。
 いつものように集ってくるわけでもなく、遠めにただ見つめているだけ。
 なんだろう。どうしたんだろう。
 首をひねりながらふと黒板に目を向けると、そこには信じがたい光景が広がっていた。

『円城寺刹那は元男!』

『みんなを騙した最低のオカマ野郎!』

『×××が大好きなだけなの!』

 黒板に踊る、毒々しく色とりどりの文字、文字、文字。
 振り返って、ある席を睨みつけると、例の三人が相変わらずべったりつるみながら、ニヤニヤこちらを見つめている。
 ・・・こんなことの為に授業にわざわざ遅刻して行ったり、早起きして黒板を埋めたり、ご苦労なことだ。
 その周りで、恐々と言った感じでこちらを見つめるクラスメート達。
 見ているだけで、何もしようとしない。
 ほら、思った通り。
 うわべだけすぐ褒めたり、持てはやしたりする人間に限って、都合が悪くなるとすぐ手のひらを返す。
 ・・・もう、うんざりだ。
 クラスメートの視線を無視して席に向かい、何事も無かったように俺は腰掛ける。
 もういい。黒板の文字も消す必要は無い。こいつらに気を遣う必要なんて、初めからあるなんて思ってない。

「え、円城寺さん・・・」

「・・・あれって、本当なの?」

 俺が腰掛けると、やはり恐る恐る擦り寄ってきた男子たちが、おずおずと尋ねてくる。
 ・・・ああもう、うんざりだ。

刹那「・・・本当だよ。俺は男だ」

「で、でも俺達はそんなこと気にしたりは・・・」

「お、おう。だってこのクラスには前から・・・」

刹「・・・うるさいな」

「・・・え?」

刹「黙れって言ってるんだよ!!!!」

 自分でやったこと、なのに、その瞬間、目の前が物凄くスローモーションに見えた。
 蹴飛ばした机は派手に飛び、他の机を蹴散らしながら教壇にぶつかり、倒れた。
 水を打ったように静まり返る教室。
 ただ呆然とこちらを見つめるだけの、クラスメート。
 全部、終わった。
 もう、終わりでいい。

狼子「みんなーーーーーー!!!おっっっは・・・よぅ?」

 元気よく入ってきたところで、教室を占める重苦しい空気に気付いて硬直する月島。
 滑稽だ。すごく。
 月島は、一言も発せず硬直するクラスメートを訝しげに見回した後、視線を背後に移してまた硬直する。
 黒板に踊る文字と、机がぶつかってめちゃめちゃの教壇。
 そして、ゆっくりとこちらを向く月島。

狼「円城寺・・・」

 こちらを見つめる目は、驚きに見開かれているわけでもなく、何故か悲しげだった。
 見つめる視線に背中を向けて、俺は教室を出た。
 背後から呼びかける声が聞こえたのは、きっと気のせいだ。


~屋上・刹那~


狼子「円城寺!!」

 金網から手を放して振り返ると、そこに居たのは案の定月島だった。

狼「お前、何で何も言い返さないで出てったんだよ」

刹那「黙れ。消えろ。殺すぞ」

狼「・・・だからお前はどうして二言目には殺すぞなんだよ!!!」

 月島は、俺の言葉にひるむどころかむしろ向かってきた。
 月島の迫力に、無意識に後退りした背中が金網に当たった。
 ・・・二言目じゃなくて、三言目だ。

狼「そうやってなんでもかんでも拒絶して!!そんなんじゃ、誰がお前のこと理解しようとしたって出来ない!!」

刹「・・・また説教?」

 そんなうわべだけの何の意味も無い言葉、もう聞きたくもない。
 皮肉の笑みを残して、俺は月島の横をすり抜け、階下への扉へ向かう。
 だが、その足は、背後からの言葉に止められる。

狼「・・・上っ面だけなのはお前だろ!!?」

刹「・・・どういう意味」

 その言葉にじろりと睨みつけると、月島は更に凄まじい目つきでこちらを睨みつけていた。
 殺さんばかりの目だった。

狼「そうやって口では誰のことも拒絶して!!一匹狼気取って!!ほんとは信じて裏切られるのが怖いだけなんだろ!!?」

刹「・・・」

 ・・・うるさい。

狼「初めから信じなければ、裏切られたって痛くないからだろ!?!!?」

刹「・・・黙れ」

 ・・・お前に何がわかる。

狼「そうやって逃げてる自分見ないようにして、いい気で悲劇のヒーロー気取ってたんだろ!!!!」

刹「・・・黙れよ!!!!!」

 叫ぶように言い返して、月島を突き飛ばす。
 だが、次の瞬間今度は俺のほうがそれ以上の力で月島に突き飛ばされ、床に向かって強かに転んだ。
 起き上がろうとするが、それが叶うまでもなく月島に馬乗りになられていた。
 俺の体の上に乗った月島は、俺の襟元を掴む。
 次の瞬間には、月島の拳に顔を殴りつけられていた。

刹「ふざけん・・・!!」

狼「悔しいならやり返せよ!!女を言い訳にはさせないからな!!」

 言いながら、何度も殴られる。

刹「お前・・・!!」

狼「どうしたんだよ!!やり返せよ!!男なんだろ!!やられっぱなしのまま逃げてんじゃねえよそれでも男か腰砕け野郎!!!!」

 その言葉に、俺の中で何かが切れた。
 無理矢理身体をひねり、上に乗った月島ごとひっくり返す。

 床に横転した月島を蹴飛ばし、そのままマウントを取る。

刹「言いたい放題言いやがって!!お前なんかに俺の何がわかるんだよ!!俺がこれまでどんな思いで来たかわかるのかよ!!!」

狼「お前こそ俺たちの何がわかるんだよ!!自分が世界で一番不幸みたいなツラしていい気になってんじゃねえよ!!!」

 マウントを取られたままこちらの尻に膝蹴りを入れてくる月島。
 怒鳴りながら、俺も月島の顔面を殴りつける。

刹「うわべでは綺麗事ばっか言って結局簡単に裏切るんだろ!!?そんな奴らの事、どうやって受け入れろって言うんだよ!!!!」

狼「悟ったようなこと言って、お前こそ誰かを本気で受け入れる努力なんてしたことあるのかよ!!? 理解しようとする人が居ても、どうせいつもさっきみたいに怖くて自分から逃げ出してんだろ!!? 言い訳してんじゃねえよ!!!!なんでもかんでも人のせいにして逃げやがってお前こそ最低なんだよ!!!」

刹「うるさい!!!違う!!!」

狼「違わねーよ!!」

 今度は月島が状態をひねって、上に乗った俺をひっくり返す。
 そんな風に転がりまわりながら、ずっと言い合ってた。
 もう、何度上下がひっくり返ったかわからない。
 ひっくり返りながら、散々殴りあいながら罵り合った。
 お互いもう、ひどい顔になってると思う。

刹「だったら!頑張って受け入れて!愛されるように努力して!それでも裏切られたらどうするんだよ!! その気持ち、お前にわかるのかよ!!どんな気持ちになるか、お前みたいな奴にわかるのかよ!!!」

狼「わかるよ!!!でも裏切る奴ばっかりじゃないよ!!本気で応えてくれる奴だっているよ!!俺だって受け入れてもらえたよ!!」

 ・・・え?どういうことだ・・・?

刹「嘘だ・・・!!!」

狼「嘘じゃなーーーーーーーーーい!!!!(かぷっ」

 一瞬、何が起こったのかわからなかった。
 月島は、俺の首筋に思い切り歯を立てながら、そのままの姿勢で思い切り睨みつけてきた。
 遅れて、激痛が身体を走り抜ける。

刹「いっ!いたたたたたたたたたたたたたた!!!やめろーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 俺に抱きつくような格好の月島の背中を、力任せに殴る。
 でもそれでも、月島は離れなかった。

狼「お前、強がるのもういいよ!!!!!」

刹「・・・」

狼「今まで誰に頼っていいかわからなくて!誰も側に居てくれなくて!どうしていいかわかんなかったんだろ!?もういいんだよ!!!」

刹「・・・うるさい」

狼「お前の気持ちわかるから!!俺も同じだったから!!だから、お前もういいんだよ!!!」

刹「・・・うるs・・・っ・・・!」

 月島を殴りつけていた手が、止まってしまった。
 涙が出ていた。

狼「・・・俺もお前みたいに、怖かったよ。でも、大丈夫だった。こんな俺でも受け入れてくれた人、いたから」

刹「・・・」

狼「・・・俺は、お前と順番逆だったけど」

刹「・・・」

狼「・・・寂しかったんだよね」

刹「・・・」

狼「・・・もう大丈夫だから。全部、わかるから」

 自分が寂しかったんだと、初めて気付いた。
 見ない振りしてただけだった。
 本当は、ずっと寂しくて寂しくてたまらなかった。
 本当はいつも、誰もいない部屋に帰るのが嫌でたまらなかった。
 誰かにそばにいて欲しかった。
 誰かに受け入れてもらいたかった。
 何を気にかけることも無く、誰かを受け入れたかった。

狼「・・・また頑張ってみようよ」

刹「・・・」

狼「・・・ね」

刹「・・・わああああああああああああああ」

 前にこうして、誰かの体温に最後に包まれたのはいつのことだったろうか。
 抱きしめられたまま、時間も忘れて、子供みたいに声を出して泣いた。


~教室・刹那~


 ふたり並んで教室に戻り、黒板を見てみると、落書きはもう消されていた。

「あ、円城寺・・・さん!?」

「その顔・・・月島も・・・」

 戻ってきた俺たちのボコボコの顔を見て、みんなが呆然としている。
 その向こうで美弥たちも、こちらを見たまま固まっていた。
 振り返って目線を送ると、月島はゆっくり頷いた。
 俺も頷き返し、向き直って一歩一歩、美弥たちの方へ歩いていった。

刹那「・・・あんなことした理由、聞かせて」

美弥「・・・は?」

 俺の顔を見て一瞬きょとんとした美弥だったが、すぐに気を取り直したのか、いつもの陰険な笑みを顔に浮かべた。

美「なんのこと言ってるわけ?」

刹「・・・知らばっくれるな。人の事傷つけるようなことばっかして、楽しい?」

美「・・・黒板の落書きのこと?あたしらがやったって言うの?なんか証拠あるわけ?すっごい心外なんですけど~」

刹「・・・袖。チョークの粉ついてる」

美「え!?」

 慌てて確認する美弥。
 チョークの粉がついてる、なんて、勿論嘘だ。
 自分の袖が綺麗なままであることに気づくと、ゆっくりと顔を上げてじろりと睨みつけてくる美弥。

美「・・・騙したね」

刹「・・・これ以上やったら、もう許さないから」

 三人順番に睨みつけると、美弥たちは一瞬たじろいだような感じだった。
 そして、三人に背を向けると、誰かが直してくれていたらしい自分の席に向かう。

美「・・・大体なんなわけ!?あんたみたいのが女気取って!女体化症候群だかなんだか知らないけど気色悪いのよ!」

刹「・・・好きに思ってれば」

美「だったらみんなに聞いてみようかー?オカマはクラスに必要ですかー?って」

 そのとき、背後で誰かの椅子が倒れる音がする。

「・・・城嶋!お前、いい加減にしろよ!!」

「お前の方こそネチネチせこい真似ばっかしやがって性格最悪なんだよ!!」

 驚いて振り返ると、立ち上がっていたのはさっき出迎えてくれた男子生徒たちだった。
 そして、彼らに続いて他の男子生徒も続々と立ち上がる。

「いつまでもお前のわがままが通用すると思うなよ!」

「お前よか円城寺さんの方がよっぽどいいんだよ!」

「城嶋反対!!!」

 取り巻きたちは突然の糾弾にオロオロ美弥の顔を伺っていた。
 驚いた顔をしていた美弥だったが、すぐに気を取り直して言い返す。

美「うるさいわねミーハー男!あんたたちは顔さえ良ければどうだっていいんでしょ!あー、男ってサイテー」

「なにぃ!?」

「最低なのはあんたでしょう!!?」

 言いながら今度は、女子生徒達が立ち上がる。
 これには流石の美弥も、もはや驚きを隠せないようだった。
 俺も正直、驚いた。
 後ろの取り巻きの二人は、泣きそうになっている。

美「な、何よあんたたち偉そうに・・・」

「偉そうなのはそっちでしょ!?」

「人の知られたくないことまであんな風に茶化してばらすなんて最低!!」

「やられた方がどんな気持ちになるのか考えたことあるの!?」

「円城寺さんに謝りなさいよ!!」

「そうだ謝れ!!」

「謝れーーー!!!」

 教室に響き渡る、怒声の嵐。
 その迫力に押され、美弥が後ずさる。

美「わ、わかったわよ・・・謝ればいいんでしょ・・・・・・・・・ご、ごめん・・・」

「声が小さい!!!」

「聞こえないぞーーー!!!」

美「・・・ごめんなさい!!!これでいいんでしょ!!?」

「良くない!!!」

「真面目に謝れーーー!!!」

刹「・・・もう、いいよ」

 俺の言葉に、急に教室は静まり返る。
 みんな、何故か驚いた顔をしてこちらを見ている。
 美弥まで、きょとんとしてこちらを見ていた。

刹「本当は、自分で初めに言うべきだった。こういう形になったのは正直残念だけど、みんなに言えてよかったと思ってる。ありがとう」

美「・・・え?」

刹「こっちこそ、この前は掴みかかったりしてごめん。・・・みんなも、ありがとう。もう、いいから」

美「円城寺・・・」

 みんなの見送る視線を受取りながら、自分の席へ戻る。
 隣に座った月島は、にやりと笑って親指を立てた。
 俺はそれに、微笑みで応えた。

 

エピローグ

~後日の学食・辰哉~

 学食は、今日も戦場。
 成長期の食欲は、大袈裟じゃなくブラックホールだ。
 誰もが血走った目でこの戦争に生き残る為、戦う。
 生き残ったものだけが、この先の2時間を満腹の幸福とともに迎えられるのだ。

辰哉「・・・で、そんな壮絶な取っ組み合いを繰り広げた後なのに、お前の顔はなんで傷一つ無い卵肌なんだ?」

狼子「うん、俺、こういう怪我一日で治るから。女体化って不思議だな~」

辰「そ、そっかそっか・・・まあ、不思議なのは主にお前だと思うけどな・・・でも、良かったな。その子」

狼「えへ~、そうだな~。・・・ん?あ!刹那ー!こっちだこっちだ!」

辰「え?刹那?・・・え!?綾波レイ!!!?」

 某漫画のキャラクターのように痛々しく包帯まみれの少女は、狼子に気付くと、ほっとしたような顔になって駆け寄ってくる。

辰「あ!誰かと思ったら、刹那ってキミか!」

刹那「!黙れ。こr」

狼「ちっっっがう!!!(かぷっ」

刹「!!~~~~~~~~~~~~~~~~ぃたい・・・」

狼「お前女になるって決めたんだろ!?だったらそういう乱暴な言い方はいけないって教えただろ!この前教えた通りに言ってみろ!」

刹「・・・だ、黙ってください、ぷ、ぷち殺しますわよ」

狼「よく出来ましたっ!」

刹「(*´∀`*)」

辰「・・・こ・・・根本的な解決になってない・・・」

狼「よし!じゃあ次、自己紹介!」

刹「お、俺の名前は円城寺刹n」

狼「違う!!!一人称は『俺』じゃなくて『私』だって何度言えばわかるんだ!!!ペナルティ噛み付き!!!(かぷっ」

刹「Σ(TдT )~~~~~~~~~~~~ぃたいぃ・・・」

辰「自分こそ出来てないくせに・・・」

狼「なんか言ったか!?」

辰「ん?いや、なんでも無いよ。なんでも」

 考えてみれば刹那は、昔の狼子に似ているかもしれない。
 いつも孤独で、何も望まず、誰のことも受け入れない。
 でもそれは、本当は誰よりも愛されることを望んでいるからだ。
 だが、それを誰かに伝えるにはあまりに不器用で、結局周りの誰かを傷つけることでしか自分を表現できない。
 誰かを傷つけた分だけ、自分自身も傷つきながら。

狼「お前、女の子っぽい食事の仕方はちゃんと勉強してきたのか?ちょっとやってみろ」
刹「・・・(コクコク」

 誰かとつながりを持つと言うことは、その中で自分のあり方を模索し続けることだと思う。
 だから人は、寄り添ってくれる誰かが居なければ変われない。
 世界との関わり方が変わってしまうのが女体化で、その世界との新しい関わり方を見つけたときが女体化の完了なのだとしたら、それはきっとひとりきりで成し得ることじゃない。
 変わってしまった自分を受け入れ、新しい自分に生まれ変わるには、寄り添って歩く誰かの力が必要だ。

狼「お~♪よく勉強してきたな~♪なかなか可愛いぞ」

刹「(*´∀`*)」

狼「でもわざとらしい!かわいこぶりっ子するな!仕置きに噛ませろ!(かぷっ」

刹「Σ(TдT )」

 時を止めた少年はゆっくりと歩き出し、少女になった。
 彼女の向かう道の先はまだ見えないが、でも・・・

「円城寺さん・・・あたしたちも混ざっていい?」

刹「!」

狼「いいぞ!お前らも来い!」

「あたしらも女の子のこと色々教えてあげるからさ~♪月島さんが先生じゃ女道は遠のくばかりよ~」

狼「ど、どういう意味だよ!」

「あの、俺らも混ざっていいでしょうか・・・?」

狼「お前らは他当たれ!」

辰「・・・じゃ、俺も噛まれないうちに川合たちの所にでも行きますか」

狼「あ!待て辰哉!お前逃げるなー!!(かぷっ!」

辰「ちょwwwwwいたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!!!!!」

 ・・・その先にはきっと、幸せが待ってる。


辰「(しかし、こうして見るとなんか、あの二人群れの中の狼みたいだな・・・上の者が下の者に噛み付いて自分との関係を知らせる)」

辰「・・・」

辰「あれ?だとしたら俺もその中に入ってる?」

辰「・・・あれぇ~~~~~~~~?????」

 こうして、狼子の群れに2頭目の犬が加わったのだった・・・


~廊下・刹那~

美弥「円城寺・・・これ。返しそびれてたから」

刹那「?・・・ロケット」

美「・・・あ、ゴミ箱から拾った後、ちゃんと、拭いたから・・・さ」

刹「うん・・・」

美「・・・入ってるの、彼氏の写真?」

刹「・・・お爺ちゃん。家族の中で一番、可愛がってくれた人。死んじゃったけど」

美「そっか・・・」

刹「・・・」

美「その・・・今までごめん。・・・なんか、あたしでも協力できることあったら・・・相談、乗るから」

刹「・・・ありがとう」

美「・・・じゃ、また後で・・・教室で」

刹「・・・うん」

 悪い奴ばかりじゃ、ないかもしれない。

【終劇】

 

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年07月21日 02:42
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。