安価『悪戯』

 今日も蝉の鳴き声で目が覚めた。
 夏休みも残り半分ほどになり、そろそろ宿題に取りかからないと新学期に大変なことになるな…などと半分寝ぼけた頭で考えつつも、真夏日が続くこの時期、なにもする気力が起きないでいた。
 いや、宿題をすべてきちんとやっていったとしても、やはり大変なことになるはずだ。
 なぜなら、夏休み前の俺と、今の私が同一人物だとは、皆にわかには信じられないだろうから。
 夏休みに入ってすぐ、女体化の兆候が見られた俺は、同級生に会わないようにするために、祖父母の住む田舎で暮らしてきたのだ。
 1週間ほどで、俺の体は完全に女性のそれになった。
 胸は大きくふくらみ、骨盤が大きくなったせいで腰がくびれ、178cmあった身長も150cmに満たないほどになっている。
 祖父母は最初は確かに驚いていたが、今では普通に孫娘として接してくれている。そんな環境に、何とか女体化した自分にも慣れてきていた。
 最初は外に出るのが怖かったが、ここには同級生の目がないので、今では普通に外出できるようになっていた。
 祖父母の家で飼われている犬の散歩に、近くを流れる川の河川敷を歩く。
 近所の小学生たちだろうか、子供たちが河原で水遊びをしていた。そんな姿をほほえましく眺めながら歩いていく。
 河川敷の広場で、犬とボール遊びに戯れていると、急に背中に冷たい水がかけられて驚いて振り向くと、さっきまで河原で遊んでいた子供たちが水鉄砲を持って走りさって行くのが見えた。
「こらー!まちなさーい!」
 そう怒鳴ってみたところで、彼らが止まるはずもない。あきらめて犬を連れて帰ることにした。
 土手道を家に向かって歩き、橋のたもとにさしかかったとき、おそらく橋の下に隠れていただろう子供たちが、今度は私のスカートをめくって駆け足で逃げていった。
「わーいわーい!スケスケブラウスとピンクのパンツだ~っ!」
 子供たちは無邪気な悪戯のつもりなのだろうけど、あとで家に連絡して、親御さんにたっぷり叱って貰おうと心に決めた。

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最終更新:2008年07月21日 03:19
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