修学旅行がいよいよ明日に迫った。すでに宿泊の部屋割りも、自由行動の班割りも決まり、明日からの修学旅行での行き先での話題以外の話はないようだった。
俺は同じ班の連中と、最後の打ち合わせをしていた。
「楽しみだなぁ、俺、飛行機乗るの初めてなんだよ。」
「俺もだよ。でもこないだ事故があったばかりじゃん?大丈夫かな。」
「なあに大丈夫だって、あんなの、確率的に一生に一回あるかないかなんだぜ?」
俺の言葉に、同じ班のやつらも飛行機の話題に花が咲いた。
その後しばらく旅行先での巡回ルートを話し合い、ようやくまとまった頃には、すでに陽も落ちかけていた。
「じゃあ、こんなもんかな。明日は遅れるなよ。」
「おう、じゃあ明日な。ってかもうこんな時間かよ、やべっ」
机の上に散らばっていたパンフレットをまとめると、おのおの家路に急ぐ。
翌日、旅行前の興奮のせいかあまり眠れなかったが、なんとか集合時間に間に合い、無事に飛行機に乗り込んだ。
しばらくして、飛行機が無事に飛び立つと、安心したせいか急に眠気が襲ってきた。
「──おーい、おきろー。いつまで寝てるんだ?ってか大丈夫かおい。おーい?」
同じ班のやつの声が聞こえた、いつの間にか寝てしまっていたらしい。せっかくの初飛行機体験だったのに、外を見る間もなく寝てしまうとは…。
目を開けて外を見る。視線は低く、すでに地上に降りているらしい。
「ああ、気がついたか。よかった」
「ゆうべあまり寝られなかったからな。せっかくの初飛行機体験なのに、残念だったぜ。」
そう言いながら背もたれを元に戻す。本当なら着陸前に戻さなければいけないと言われてたはずなのだが。
「いきなり気を失ったから焦ったぞ。っておまえ──」
安堵の表情を浮かべてた友人は、一瞬にして驚きの表情に変わった。
「おまえ、なんで胸があるんだ?」
最終更新:2008年07月21日 03:24