『たとわた』小学生編1

16 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 00:51:25.02 ID:XZfflkkd0
登場人物
 天河 桜
主人公。20余年を男として過ごした
20余回目の誕生日に女体化した
その際不思議現象で小学生まで若返る
2度目の青春を謳歌中

 天河 百合華(秋人)
元男。主人公の姉
色々と出鱈目。ギャグマンガで言えば唯我独尊で周囲を振り回す

 一ノ瀬 綾乃
主人公のクラスメイト。女

 二之宮 浩太
主人公の友人。男

 三空 都
主人公の友人。女

 前回までのあらすじ

主人公天河桜花は少し根暗な成人男性
20余回の誕生日の朝、目が覚めると……

体が縮んでしまっていた!!

もがいてもどうしようもないので二度目の青春を天河 桜として謳歌する事を決めた 
詳しくは前回を読めば良いんじゃね?

17 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 00:52:02.62 ID:XZfflkkd0
ギャグマンガが何故面白いかと言うと、恐らくは人物が魅力的なのだろう
人物が普通な物語は、面白くてもギャグ漫画にはなりえない
不条理な世界観や、一コマで傷が治る超常現象
それらを抜きにすれば、実は一番現実と言う物に近いんではなかろーか
幸か不幸か、あらゆる意味で非凡な存在には心当たりがある


なるほど、理想とは案外、簡単に実現するのか

「………朝からケーキか?」
「朝は糖分を取らなきゃ」

何故、市販のショートケーキにはこんなにフルーツが載っているのだろう?
もれなくすっぱいこのミカンやらメロンやらがどうにも苦手なんだが
クリームだけで良いじゃないか。チーズケーキやチョコケーキには載ってないじゃないか

「というか、わざわざ買ってきたのか?」「そうよ」
「自分で作れば安上がりだろうに……」
「作れないもん。アンタも背、届かないでしょ? 今」
「う………」

まったく、この短い身長が恨めしい
後、何だかんだで喜んでる自分も恨めしい

…………踏み台を買おう。今日の帰りに

18 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 00:52:49.00 ID:XZfflkkd0
私が小学生になってからまぁ、ずいぶんと月日が経った訳で
入学前は友達と言える友達が二人しか居なかったが、一応交友関係も広がった
『交友関係を潤滑に進める100の方法』とやらについて教鞭を振るっていたあの姉に感謝すべきだろうか
いや、小学生でそんな計算高い者がいるのは何か嫌だが

「おはよー」
「よぅ」
「あぁ、おはよう。二人とも」

朝から元気が良いのは子供の特権だな
声をかけてきたのは前述した二人の友人。クラスは別だが
私の実年齢との差を考えると、友人と言うよりかは保護者の目線で見守ってしまう
他人にとっては私も6歳の小学一年生なのだがな

「それでね、浩太君がまた先生に怒られちゃって」
「………君は毎日何かをやらかすな。逆に尊敬するよ」
「う、うるせぇ!」

三空 都(ミソラ ミヤコ)と二之宮 浩太(ミノミヤ コウタ)
前者が女で後者が男だ
浩太とは入学前に公園で、妙につっかかってきたのが初対面だったか
そして何だかんだで親しくなり、都とも顔見知りとなった


「ん、もう着いちゃった。それじゃまたねー」
「あぁ、また放課後に」

勿論この二人だけしか友達が居ない訳じゃない
私も男だった時に学んだ教訓を生かし、自ら友好的な関係を築く努力はしている
それはまぁ、一応の成果を見せてはいるが………
ライバルまで現れるのは、予想外だったな

20 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 00:53:55.72 ID:XZfflkkd0
「おはよう、一ノ瀬」
「ふふん、来たわね………」

おや?今日は一段と怖いオーラが出ているな
今日は何があったか……国語は違うよな

「今日こそアンタを超えてみせるわ」
「………あぁ、算数のテストか。そんなに出来が良かったのか?」
「何か忘れてなかった? まぁ、当然でしょ」

一ノ瀬 綾乃
入学して一番に親しくなり、そしてライバルとなった
正直に言えば彼女のほうから勝手に仕掛けてくるのだが、妙に縁がある
席替えを二度ほどやったが、何故かいつも隣である

「常に全力を出して勝ちに行くわ。完璧こそがあたしの目指す究極
 アンタのまぐれも此処までね」

その向上心は素晴らしい事だとは思うが結果はと言うと……

「この点数ならどう!?これなら流石のアンタでも……」
「………ほら」

一ノ瀬 綾乃 97点
天河  桜  100点

「………なんか、ゴメン」
「謝るなぁー!!!」

概ね、こんな感じだ。初対面でのクールなイメージは何処へやら………

21 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 00:55:13.17 ID:XZfflkkd0
一応大学も出てるので、小学校レベルの問題なら負けはしないだろう
そう言えば中学校に上がると、小学校の問題が簡単に感じたな
上位互換という奴か。PSのゲームをPS2で出来る感じの

「……というか、その点数なら何の問題も無いと思うが」
「あんたが上に居るじゃない!」

勤勉な、それも幼い頃に良くありがちなアレだな
所謂、自分より優れているものが許せない、と
言い換えれば競争心みたいなものか
そのひたむきさと勤勉さを忘れずに育って頂きたいものだな

「何で碌に勉強してないアンタがそんなに頭良いのよ!?」
「そう言われてもな………そっちだって、下校途中で一緒に遊んでるじゃないか?」
「それはそれ、これはこれ」

今日はやけに絡んでくるな
勝負事が無い時は、いい友達なんだが………
小学生にしてこんなに悩みを持っているのは、恐らく私だけだろうな

「ほら、次は体育だろう?早くしなければ遅れるぞ」
「体育………?」

「今度は水泳で勝負よ!全力を挙げて25Mを制覇してみせるわ!」
「………頑張れ」

類は友を呼ぶ、と言うが、その類が私本人で無い事を祈りたいな。私の周りの人間は強烈なのが多い
しかしなるほど、私は当分、退屈する事は無さそうだ

22 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 00:56:24.11 ID:XZfflkkd0
「ハァ………ハァ………」
「大丈夫か?」

唇の色が霞み、深緑色の髪からは雫が落ちている

「75Mも泳ぐから……」
「な、何でアンタは平気なの……?」

声にもイマイチ覇気が無い。紺色の水着に包まれた胸が、せわしなく呼吸を表す
そう言えばこの身体になってから、どうやら運動神経も向上したらしい
75Mを一気に泳いで、呼吸を乱す程度だ

「保健室行った方が良いんじゃないか?」
「平気……後ちょっとだし」

肩の部分に手を掛ける
反射的に顔を背ける
いや、着替えを見るのはまだ刺激が強いんです

「………ん?」

更衣室の壁を眺めると、若干違和感があった
外から見た感じとは妙に狭いと言うか……壁を考慮に入れても変だ
と、なると………あまり考えたくは無いが
壁に備えられた姿見を軽く叩く
コンコン、と軽快な音
空洞がある………という事は

「………天河ちゃん?もう行くよ?」
「あ、うん、解った」

23 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 00:57:47.68 ID:XZfflkkd0
「と言う訳で放課後で、私は今女子更衣室の前に居る」

うん?誰への説明なんだろうな
確か、最後に使ったのは6年生だったか……
なんとなく音を立てないようにしながら扉を開ける
そして私の姿を映す姿見
叩けば響く軽快な音

「引き戸でもないし……取っ手も無いか」

傍から見れば怪しいのは私だな……等と心中思いつつ、姿見の端を強く押す小さく音が鳴り、姿見が扉の様に開いた
テレビ台とかでこんなの有ったなぁ。磁石でくっついてる奴

開いた姿見の向こうには、姿見で丁度隠れるほどのくぼみ………というか、穴があった
そしてご丁寧に小学生の身長に合わせたかのように棚が増設されている
其処に、CMで見覚えのあるビデオカメラが設置され、けなげにも風景を録画している………じゃなくて

「………やっぱり盗撮か……で、この鏡はマジックミラーになってるわけね」

ビデオカメラの録画を切る。えーと、録画したのを見るのはどうだっけ?
小学校にこんなものが仕掛けられているとはな。大丈夫か?日本
最近は教職が生徒を襲う時代だからなぁ……

「ビデオカメラ?何か映ってるの?」
「多分だが………私達の着替え、とか」

……………ん?

「…………ナゼココニイルンデスカ?」

24 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 00:59:30.66 ID:XZfflkkd0
小学校では担任が全教科を教える所と、教科ごとに先生が変わるところがある
この学校は後者であり教科ごとに先生が居る

「せんせー、さよーならー」
「おぅ、気をつけて帰れよ」

数学教師鈴木太郎
平凡な名前の割りに甘いマスクと類稀なるって程でもないが運動神経で女性陣に人気ある26歳男
小学校だと数学じゃなくて算数だと言う突っ込みはナシでどうぞ

「じゃあ、戸締りの確認してきます」
「あぁ、すいませんねぇ鈴木先生」

鍵束を持って職員室の外へ
恐らく彼の評判は10人に9人から良い評判を聞けるだろう
この学校に赴任してきた彼が勝ち得た信頼は絶大な物である
というのも彼は外見に似合わず熱血的な教師であり、問題児も彼の授業では大人しくしている
外見と中身が伴っている彼は、たった数年でベテラン並みの信頼を勝ち得ている

ただ問題はと言えば、表に出ている部分が全てではないと言うことである
校内の生徒を下校させ、教室の戸締りを確認
校庭で遊んでいる生徒の姿もまばらになったとき、彼の本性が現れる事になる

「おーい、とっとと帰れー」
「はーい!」

校内に残っている最後の生徒を帰した後、彼は動き出す
湧き上がる情動が彼の歩を早め、逆に理性的な部分が平静を装わせる
これからの楽しみを考えると自然に緩む口を律する
彼は、女子更衣室の扉を開けた

25 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 01:01:21.11 ID:XZfflkkd0
(………来たな)

ロッカーの中で息を潜める
目線の位置に丁度ある三本の線のような穴から外を窺うと、何処かでみた顔が入ってきていた
確か鈴木、と言ったか。クラスの女子が話題にしてたな

「………何?この状況」
「静かに」

因みに一ノ瀬も一緒に入っている
ビデオの方に掛かっていたら、逃がす余裕が無くなった
多分、帰れと言っても帰らなかったんだろうが
彼は姿見の仕掛けの向こうにあるビデオカメラを手に取った
妙に手馴れている………矢張り、あの人が犯人か

「出るぞ」
「え?」

わざわざドアを足で蹴り、大きな音を立てながら姿を現す
何か涼しいな、外
ロッカーの中じゃ密着に近い状態だったもんな……よく耐えた。頑張った
やっぱ小さくても女の子だよな………何だか良い匂いがした
私は変態への道を歩んでる気がしてならんよ

「お前等!?何で此処に……」

鈍い音がした

26 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 01:03:19.52 ID:XZfflkkd0
彼にとっての不幸はなんというか床が濡れていた事か
私の出現に驚いた彼は急激に身体を180度回転させ、その時に足を滑らせて転んだ
出血はしてないがどうやら気を失ったらしい

「………死んだの?」
「いや、呼吸はしてるね」

再生されているビデオカメラ
画面に映ってるのは勿論ヴェルタースオリジナル
なぜなら彼もまた………じゃなくて

「6年に1年に4年………守備範囲低いのか広いのか……」

幼い少女達の未発達な肢体を余す事無く映していた
時には少女が正面に立ち、彼女達の女である証が……そう言えば鏡だったな
これを姉に見せたらどうなるかな………どうにもならないか
あの人は盗撮より、チラリズムの方が興奮すると熱弁してたしなぁ……

「これで終わりか……他にはあるかな」

事態の把握ができてないであろう一ノ瀬を尻目に、鈴木先生の身体をまさぐる
このタイプはメモリーカードにデータを保存でき、カードさえ変えれば簡単に映像が変わると言うタイプだ
これだけでも充分な証拠になりうるので、肌身離さず持っていることだろう
こんな手の込んだことをする人が、此処だけしか盗撮しないというのはどう考えてもおかしい
外のポケットじゃ落ちるかもしれないから、恐らくは内ポケット………
予想通り、青色の四角いカードを見つける
体育館……は、この時期使わないし
教室でスカート盗撮か……女子トイレって辺りかな

『先生………もっと、気持ち良い事して………』

28 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 01:05:22.88 ID:XZfflkkd0
………ん?あぁ、何だか記憶が飛んだ気がするな
これは予想外だわ

『凄い……先生のまだ硬い』
『ほらほら、これが気持ち良いんでしょ?センセーは♪』
『いっぱい出たね………先生はやっぱりロリコンなんだね』

画面に映し出されるのは白濁した液体で顔を汚した、小学4年生の女子児童
R-18な行為に身を窶す彼女達は何処か大人っぽいな
画面の中の少女が、顔に付いた精液を舐め取っていた
場面が変わり、別の児童が毒牙にかけられている
あ、この人見たことある………

「って、レッドライン余裕でぶっちぎってんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」

何かに八つ当たりせずにはいられない
なるほど、この人は甘いマスクの下でこんな腐りきった欲望を持っていたのか
そして実現させたのか。日本始まりすぎて終わったな
言ってる間に6人目の女の子に変わる
学年も1から6までコンプリートか
ロリコンが泣いて喜ぶな………いや、違うか
ロリコンとはあくまで愛でるだけであり、穢すのはただの犯罪者だ
ロリコンが何であるかの談義はまた後にして………
これは一ノ瀬には見せるわけには行かないな。どうしよう

「……何か、いっぱいあったけど」

両の手の平に山盛りなメモリーカード
何処にしまってたんだ……嫌な予感しかしない
それでも見てしまうのはそれぞれの思惑とちょっぴりの好奇心

29 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 01:07:46.89 ID:XZfflkkd0
…………さっきから彼女は何をしているんだろう?
音量を最小にしてビデオカメラを見つめている
多分盗撮された物なんだろうけど

「ん………?」

先生のズボンが膨らんでるのに気付く
さっきは気付かなかったけど、まだ何か入ってるのかな?

「狭いな……」

寝ている人のポケットは結構手を入れにくい
四苦八苦しながら入れてみると、ズボンの布越しに何か熱く硬い物があった

(……何コレ?)

棒状だということが手探りでわかった
それをどうにか掴んで引っ張ってみる
………取れない
少し強めに、上や下へと移動させるが、どうやら固定されてるようで取り外せない

業を煮やして力を入れて引っ張ると、手が滑った
同時に棒状の何かが大きく跳ねるような感覚

「うっ……」
「きゃあっ!?」
「何?どうかした?」
「…………いや、なんでもない」

手には多少、べとべとした液体が付いていた

30 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 01:08:31.34 ID:XZfflkkd0
さて、どうしよう
それにしてもこの人、2桁の生徒に手を出していたのか………
マスコミに売れば格好のネタになるな
しないけどさ
でも、折角だし……

「一ノ瀬!」
「はいぃ!?」

一ノ瀬の腕を引き、更衣室の外へ出す
突然の事態に困惑しているであろう一ノ瀬に早口で指令を伝えた

「絶対に中を覗かない様に。良いね?」
「え、うん……」

扉が新たに人が中に入ってくるのを拒むかのように大きな音を立てて閉まる
これで先生と二人っきり
恐らくまだ目を覚ます心配はない
早速先生のズボンを

            ……中略

(ナレーション)ある日を境に、校内で人知れず性的な行為を疑わせる痕跡が消えたらしい
目立たないだけで、多少残ってはいるが
そしてその事とは関係が有るのかはわからないが、こんな証言を耳にした
ある先生の机に、可愛い便箋に書かれた手紙が有ったらしい
その先生は、手紙の内容を絶対に他人に見せなかったとか

31 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo [] 投稿日:2007/11/08(木) 01:10:39.33 ID:XZfflkkd0
朝日まぶしい登校路
は、すっ飛ばして教室

「やぁ、一ノ瀬」
「おはよう………」

体調でも悪いのか、いつもの競争心の塊のような声に勢いが無い
悩みでもあるのだろうか。大変だな

「昨日さ………アンタ何したの?」
「昨日?」
「何だか、鈴木先生が敬語使ってきたんだけど」
「………あー」
「やっぱ心当たりあるのね?」
「ワタシハナニモシリマセンヨ?」
「その白々しい笑顔、何かムカつくんだけど」
「まー、世の中には知らない方が良いこともあってだな……」

詳しく言えば、公表すれば人生が終わる秘密を私達二人が握っているからだろう
後、物的証拠は全部没収したしな
あの後にも、色々やっといたし
でも、何かあったときに説得に使わせてもらうだけだから安心して頂きたいものだな

…………私も、あの姉の妹なんだな。やっぱり

「………弱味は秘密にしてこそ切り札、と言うお話だったのサ」
「………何の話?」

 ~続く~

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最終更新:2008年07月21日 04:33
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