2008/3/22オフ会記念 (このお話はフィクションです)
『とある日のお話』 2008/03/23(日) ID:M9xD9U6a0
264 名前:とある日のお話・アナザー 投稿日: 2008/03/23(日) 19:59:15 [ hqRhMKAE ]
「えーっと、東口ってこっちだよな……?」
土曜日の新宿駅。多くの人で賑わっており、至る所に人がいる。
「人多いな……、うぜぇ」
つぶやく俺。人ごみが大嫌いという性格は、自分の書く小説の主人公にも反映されていたりする。
今日は某巨大掲示板のとある物書きスレッドのオフ会ということで、普段めったに来ない新宿になど来てしまっている。
そしてやっとの事で東口にたどり着く。
時間は既に、集合時間の1時を少し回ってしまっていた。
「確か集合場所からの写メが、掲示板にうpされてたよな……」
眼鏡をかけてもなお悪い視力を頼りに、写真と実際の場所を照合しながらフラフラと歩いていく。
すると改札口の脇に、数人の男女がたむろしていた。
(あれか……?)
見知らぬ人に声を掛けるなんて、自分としてはかなりの勇気のいることだったが、意を決する。
「えと、あの……オフ会の人たち……ですか?」
“何の”オフ会なのかは、もし間違っていたら恥ずかしすぎるので口に出せなかった。
「あ、はい。そうですよ」
そのうちの一人が、にっこりと微笑んで返してきてくれた。
(うわぁ、なんつー明るい笑顔をしなさるんだコノ人はっ!)
はっきり言って日陰者としての自覚がありまくる俺は、こういう『陽』の人に弱かった。
265 名前:とある日のお話・アナザー 投稿日: 2008/03/23(日) 20:00:20 [ hqRhMKAE ]
それから30分ほど待ったが、俺の後に新たに来る人はいなかったので、早速昼食をとりに新宿の街へと繰り出した。
しかしさっきから気になっているのだが、メンバーの中のとある男性が、ずっと同じ女性にばかり話しかけているのだ。
すらりとした感じのその女性。恐らくは20を過ぎたか過ぎていないか、くらいだろう。めちゃくちゃ綺麗だ。まあ、男なら夢中になるのも仕方ないのだろう。
だが、先ほどの笑顔の素敵な人が、その男性にときどき蹴りを入れていたりする。どういう関係なんだ?
お店につき、席の準備のため少し待機室で自己紹介などをした。
先ほどの女性は吉良の介さん(男性だと思っていたので驚いた)、吉良の介さんにばかり話しかけていたのがアニヲタさん(他の人には目もくれていなかった)。
他にも、憧れの06dさんなども来ていた。dさんが自己紹介した時などは、皆感心したり驚いたりしていた。
そして、笑顔の素敵な兄貴はヒロアキさんだと言う(アニヲタさんとは前からの知り合いとのこと)。
順々に自己紹介して行き、俺の番になる。正直これから食事だというのに、コテトリを口にするのは憚られたが仕方が無い。
「俺は、げ……げろ……」
そこまで言った所で皆察してくれたようだ。「あー、はいはい。あの人」とか言ってくれたりしている。皆のヌクモリティに感謝である。
せっかくのしゃぶしゃぶだったのだが、小食のため俺はほとんど食べる事ができなかった。
食事が始まっても、アニヲタさんは吉良の介さんにばっかり話しかけていた。まあ、吉良の介さんも嫌そうにはしていないのだし、良いのだろう。
と思ったら、すぐ隣から舌打ちしたような音が聞こえた。隣にはヒロアキさんが座っているのだが、まさかね……。
266 名前:とある日のお話・アナザー 投稿日: 2008/03/23(日) 20:01:17 [ hqRhMKAE ]
次に、カラオケに行った。
俺はカラオケは好きだ。だが、初対面の人たちの前で大声を張り上げるのも恥ずかしい。
こうなったら初っ端からリミッターを外すしかない、と自分を奮起させる。
あえて他の人が引きそうな曲目ばかりを選び、出せない音程をごまかしつつ叫びまくる。
他の事には一切目が行かなかった。
しばらくして気がつくと、アニヲタさんと吉良の介さんが居なかった。
「あれ? あの二人は……」
言いかけたところで、当の二人が部屋に戻ってくる。心なしかアニヲタさんが消沈していた。
いや、『心なしか』なんてものじゃない。さっきまであんなに吉良の介さんに話しかけていたのに、今では曲のリストに視線を落として黙々と字を追っていたりする。しかも時折ぷるぷる震えていたりする。
俺だけじゃなく周りもアニヲタさんの変貌振りには気がついていたようだったが、そこに突っ込むような野暮ったい人はいなかった。
ただ、どこからともなく笑い声が聞こえてきた気がした。
五時も過ぎ、解散という流れになった。
今日という日を大切な思い出にしようと心に誓い、昼ごろより酷くなった人ごみの中をビクビクしながら帰っていった。
最終更新:2008年07月21日 05:12